今だからこそみたい!A Tribe Called Questのドキュメンタリー映画

writer: Akashi


 

A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト 以下:ATCQ)の四枚目のフルアルバムと同名のドキュメンタリー映画“Beats Rhymes & Life; The Travels Of A Tribe Called Quest”をご存知だろうか?

2011年に公開されたこの映画では、2006年の復活ライブ以降のATCQに密着し、制作に取り組む彼らの姿などが記録されている。

Q-Tip(Qティップ)がファイフを誘ってラップを始めたのかと思いきや、実はファイフが9歳の時にQティップを誘ってラップを始めさせた、などといった小話(彼らは2歳の頃からの親友)からATCQの解散と再結成に際しての赤裸々な葛藤までもが収録されている。このドキュメンタリーを見ればATCQ作品内にも現れ出ているQティップとファイフの声、思想、フロウなどといったスタイルのコントラストが、日常的な人間面にも現れ出ているのが如実に感じ取れるはずだ。そして幼少期から共に過ごしていた友人としての分かち難い絆がありつつも、同業者としての考えの違いなどでぶつかり合うこともある関係性の、微妙な難しさなども垣間見える。この作品を見れば、その革新性やカリスマ性ばかりがクローズアップされるATCQの自然な姿を感じ取れる。より彼らに対しての愛が深まること間違いなしといえるであろう。

また、ATCQを語る際に着目されがちである天才Qティップとファイフのコントラストばかりでなく、「ATCQのスピリットだ」と言われるジェロビの重要な役回りにも気付くはずだ。一度は脱退した彼が再結成の際に、再度メンバーとして参加していることにも重々納得行く内容となっているであろう。

最新作がリリースされ、再度彼らへの評価が高まった。ATCQの偉大さを唱える人やメディアの存在が頻出しているが、その中でも是非彼らの人となりに触れることの出来るこのドキュメンタリーにも目を通してほしい。ATCQ側からは批判的なコメントを浴びせられたこともある本作ではあるものの、彼らを知る一つの手がかりになることは間違いない。

日本では2012年に公開されており、邦題は”ビーツ、ライムス&ライフ ア・トライブ・コールド・クエストの旅”となっている。レンタルビデオ店などに字幕版も貸し出されているので、英語があまり得意でない方も安心して見ることが出来る。今だからこそ見ておきたいオススメ作品だ。

いいね!して、ちょっと「濃い」
ヒップホップ記事をチェック!