Soulja BoyやTroy Aveを反面教師に「良い必死感」と「悪い必死感」について考える。

 

2017年がはじまり10日が経とうとしている。

10日では何も判断はできないが、既にこの10日間で嫌な予感がするのは私だけだろうか?2017年はヒップホップにとってどのような年になるのだろうと考え、この10日間に起こったことを振り返ってみたらあまりにもマヌケなできごとが思い浮かんだ。普段はあまりネガティブなことを書かないようにしているのだが、これは個人的意見の枠を飛び越えるレベルだと感じる。

年始からいきなり必死にマヌケなことをやっている人が多いのである。まずはNicki MinajがMeek Millとわかれたと知った瞬間に彼女のSNSに群がる男たちである。こちらに関してはもうネタと化しているが、いくらなんでも必死な人が多い。その中でも一際目立つのがSoulja Boy(ソルジャー・ボーイ)だ。

Nicki Minajにたいして「I Love U」と投稿し、速攻その投稿を消した彼は、実は他の女性セレブのインスタにも必死にコメントをしているのだ。さらに彼の年始の必死感はそれにとどまらない。今に限ったことではないが、彼はさまざまな人をディスり、明らかに注目を渇望しているのだ。

その中で今注目されているのが、Chris Brown(クリス・ブラウン)とのボクシング試合の件だ。

 

Chris BrownとSoulja Boyがとある女性のインスタの写真をイイネしたかしてないかで揉め(かなりどうでもいいので詳細はあまり覚えていないが)、しまいにChris Brownがボクシングの試合でSoulja Boyをボコボコにするという旨である。実際にボクシングの試合がセッティングされているのだが、どうせ最終的には実現しないんだろ、と感じる。さらにはその後Chris Brownにたいして謝罪をしているが、謝罪が受け入れられなかったので再度キレている。ここ数日間、米ヒップホップメディアはこの話題ばっかりでうんざりだ。こんなことより良質な「音楽」について書いてほしい(自分が今この話題について書いているので説得力はないが)。

さらにSoulja Boyは「自分がいかにフッドでギャングスターか」を証明したいがために、彼がフッドにて騒いでる動画を生配信した件も印象的だ。自分がリアルに「ブラッズ(ギャングの名前)」だと言いながら、道を歩いていた青年に絡み、危うく携帯を盗まれる様子が生で配信されてしまったのだ。

 

20人がかりで1人の青年にたいして大口を叩いている様子は、見ているこっちが恥ずかしくなってくる。

実際にはこのやりかたが、彼の注目を浴びる戦略なのかもしれないが、それが音楽の「質」に結びついてないので、意味がないと感じる。彼はSoundcloudで曲をリリースしても曲自体は一生聞きたくないようなクオリティだ(それでもありがたがって聞く人はいるのだが)。大金持ちに見せている彼のインスタグラムも実際には嘘だとバレている。

 

Troy Aveとセックステープ


注目のために必死なのはSoulja Boyだけではない。Troy Aveも必死である。彼は自分のセックステープが保存してあるPCを盗まれたとのことであるが、そもそもそのセックステープはMVに使用するための映像だったとのこと。どちらにせよ彼は自分が女性をファックしているところをMVにして公開するつもりだったらしい。とても悪趣味であるし、センスのかけらも感じられない。

ここまでして得た注目は何になるであろうか?炎上マーケティング的な観点であれば、その後のクオリティが伴っていないと何にもならないのだ。むしろマイナスな評価にしかならないので、彼らは自分たちのキャリアと人生について考え直したほうがいいのかもしれない。Troy AveはSoulja Boyよりはマシであるが、「大人」として自分たちのキャリアを促進させる本質は「良質な音楽」をつくることなのではないだろうか?(彼らがどこまで良質な音楽をつくれるかは置いといて)

 

「良い必死」と「悪い必死」


良い必死というのは世間で言う「ハングリー」であることだろう。ハングリーであることは、自分のキャリアを促進させるために、必死に知識などを「取り込み」、「戦う」ことだと考える。しかし上記の彼らのような「悪い必死」は要するにツイッターの「RT乞食」やらと本質的には変わらないのだ。現在問題にもなっている「デマを拡散し、PV数を増やすWEBメディア」と変わらないのだ。そのようなことをやっているアーティストのどこに「かっこいい」を見い出せばいいのだろうか?このようなことを考えていると、変なことにフォーカスしないで「音楽をつくること」にフォーカスするモチベーションが上がる。

ライター紹介:渡邉航光(Kaz Skellington)カリフォルニア州オレンジカウンティー育ちのラッパー兼、Steezy, incの代表。英語でラップをする。FUJI ROCK 2015のルーキーステージに出演したumber session tribeのMCとしても活動をしている。