アンダーグランドラッパーの新しいプロモーション方法?ケンドリックやDrakeへ「パクリ」を訴えた人たちから見る

 

インターネット時代

では様々なプロモーション方法が生まれた。YouTubeであったり、インスタグラムであったり、Twitterであったり、現代においてアーティストにソーシャルがもたらす影響はかなり大きい。むしろ今ではレーベルに最初から所属し有名になるよりも、上記のようなツールを活用して有名になるほうがプライオリティが高くも感じる。そんななかでアーティストの新しいセルフプロモーションになるかも知れない方法を実践しているアーティストがいる。

昨日少し話題になっていたので、ケンドリック・ラマーのファンであればこのニュースを知っている人もいるかも知れない。サウンドクラウドにて楽曲を公開しているラッパーのD.ZIGNが「ケンドリックのDNA.は自身のI Got I Got I Gotという曲のパクリだ」と公言しているのだ。その曲がこちら。

確かに冒頭のI Got I Got I Gotというフレーズは同じであり、フローも少し似ている。しかしビート内でのフレーズが入るタイミングが違うのと、そもそもこのテンポのラップだとこのフローにはなりやすいと感じる。実際にケンドリックがパクったのかどうかは議論してもしょうがないことなので、置いておこう。重要なのは、このことについて公言するまで、この曲は300再生しかなかったのだ。そこからインスタグラムにて訴えかけたところ、1日で9000再生になっている。

9000再生といえばプロからしたら大したことないと感じるかも知れないが、300再生でくすぶっているアーティストからすると嬉しい誤算であろう。このようなこともない限りこの曲は、注目もされなかっただろう。

DNA.の後半のビートはケンドリックのラップが止まらず、ラップをアカペラで録音した後に付け足された。

 

ドレイクの例

そしてもう一つの例はドレイクだ。以前ドレイクがライブにて新曲を演奏したときに、XXXTentacionというラッパーが「俺のパクリだ!」と声を挙げたことを覚えているだろうか?

Drakeが新曲にてXXXTENTACIONのフローをパクっていると言われているが、どうだろうか?

XXXTentacionは元々アンダーグランドにてカルト的なファンベースを持っていたが、このできごとがきっかけで一気に名前が売れたのである。数万再生であった楽曲も3500万再生まで伸びている。実際に彼の場合は現代のラッパーの流行りである「三連符ラップ」をしているので、ドレイクがパクったというより皆同じことをやっているというほうが正しいだろう。三連符ラップに関してはスヌープオジさんが解説をしてくれている

ここでわかるのは彼らの共通点は「超有名アーティストと自分の曲の共通点を探し、SNSで公言する」ということである。確かに本人たちからしたら、ショックであるかも知れないが、実際に彼らのキャリアにてプラスになっていることは明確である。少し前までは「有名ラッパーをディスってビーフに持ち込むことにより売名」という手法をとっているラッパーが多かったと感じる。しかしソーシャル時代にて、大勢の人がいつも悪口を言っている世の中では、既に有名でないとあまり効果がないようだ。そんななか「共通点を見つけて、パクリを訴える」という手法は新しい形のセルフプロモーションとなっているのかも知れない。もちろん飽和したらまた有効ではなくなるのと、一定リスナーを納得させられるぐらいには似ていないと意味がないが。

とてもイケてる手法とは思えないが、もし本当にこのような事態になったときのためにも、日頃から本質的な実力を蓄えておくことがアーティストにとって最も重要なことだろう。

【Uncle Snoop】スヌープ・ドッグ「近年のラッパーは皆同じようにラップする」。ラップゲームで生き残る方法とは?

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