Vanilla Ice「今でも毎年300万枚ぐらい売れてる」チャートを分析し、その真偽を確かめる

 

 

ラップ曲史上初

ビルボードシングルチャートで1位を獲得したのがVanilla Ice(ヴァニラ・アイス)のIce Ice Babyである。Vanilla Iceの存在をネタ扱いするものがいるが、Ice Ice Babyは間違いなく歴史上に残る曲である。そんな彼のインタビューで、興味深いものを見つけたので紹介をしたい。

 

インタビュワー:黒人のラッパーたちは、あなたをどのように思っていましたか?

Vanilla Ice:関係は最高だったよ2Pacもビギー友達だった。2Pacは大きくなる前から友達だったし、N.W.A.のオープニングアクトもやった。観客もほぼ黒人だったけど、売れてからスタジアム級のライブをやるようになって、メインストリームになったんだ。

俺の作品は1億6000万枚も売れたんだ。20何年か前にリリースしたアルバムが今でも毎年200万枚〜300万枚売れてるんだ。多分今年も既に300万枚〜400万枚ぐらい売れている。社会現象だよ。

 

彼の回答を聞き、最初は「へーすげ〜」と思ったが少し経ってから「本当かな?」と思い始めた。まず気になったのは1億6000万枚という数字である。何を換算して1億6000万枚なのだろうか?実際にそのぐらいの数字売れていたとしたら、ビートルズやマイケル・ジャクソンレベルである。Vanilla Iceはビジネス・インサイダーの「最も売上枚数が多いアーティストランキング」でも50位以内にも入っていない。もし毎年通算1億6000万枚売れているとしたら軽々とトップ50ランキングに入るだろう。Wikipediaによると、「Ice Ice Baby」が入っているアルバム「To The Extreme」は1600万枚のセールスと記載されている(それでも充分凄い)。

さらに毎年300万枚売れているとしたら、必ずビルボード・チャートに毎年入っているだろうと思って調べてみた。そしたら驚くことに、チャートにはちょいちょい登場しているようだ。ストリーミング時代のメリットとも言えるだろう。しかし最も売れた曲「Ice Ice Baby」はHot100チャートでは、21週チャートインとなっており、実際に毎年300万枚相当に換算できるかと言うと、微妙なところである。もしかしたら全ての要素を換算すると、数百万枚相当のロイヤリティが入っているということなのかもしれない。

しかし、例えばエミネムはアルバムをリリースしていないにも関わらず、今年のストリーミングのランキングにて12位にランクインしている。単体の楽曲の売上は120万楽曲ほどであり、オーディオストリーミングを枚数に換算すると恐らく70万楽曲ほどになる。アルバムの単純な売上も合わせると、この半年で230万枚ほどのセールを見せていることが予想できる。今でも3枚のアルバムが常にチャートインしているエミネムが2017年にこの枚数だとしたら、Vanilla Iceが400万枚は難しいだろう。

数字の真偽はわからないが、ストリーミング時代のメリットの一つが浮かび上がってくるインタビューであった。インタースコープの創業者ジミー・アイオヴィンが「カタログセールス(過去作品)の売上が今はとんでもなく好調だ」と言ったように、昔の曲でも気軽に聞けるのが「技術」が我々にもたらしたメリットである。このメリットを活かしつつ、現代のアーティストにも上手く売上が回るような仕組みができたら、音楽業界はまた一歩前に進むのかもしれない。

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ライター紹介:渡邉航光(Kaz Skellington):カリフォルニア州OC育ちのラッパー兼Playatunerの代表。umber session tribeのMCとしても活動をしている。

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