Flying Lotusから学ぶ:「言い訳」を言わずにアイディアを実行する力。「映画学校で教わったこと無視したら映画ディレクターになれた」

 

 

音楽以外のクリエイティブ

の世界で活躍しているアーティストは少なくない。特に映画や映像業界との繋がりは深く、ラッパーの多くは俳優として活動している人も多い。そのなかでも実際に映画をディレクティングしているアーティストと言ったら数が限られてくるかもしれない。近年映画をディレクティングして、超話題になったのが、Brainfeederを率いる凄腕クリエイターFlying Lotus(フライング・ロータス)である。

Flying LotusとAnderson .Paakのインタビューからアーティストとして学べる点を解説/考察

 

そんな彼の超グロく斬新(という噂)な映画「Kuso」は、見ている人を退館させるような映画だったらしいが、映画として歴史に残るものを作ったということであろう。私はまだ個人的には見ていないので、なんとも言えないが、そのエピソードだけでも怖いもの見たさもあり、彼の表現を見てみたいものだ。

音楽で成功したから、その資金で映画界への進出をしたと思われがちであるが、実はFlying Lotusは音楽で有名になる前から常に映画の世界を志しており、元々はLAフィルムアカデミーに通っていたのだ。そんな彼は自分を「映画学校の産物ではない」と語っており、そこで教わったことを「拒否」したと語った。そこから学べることを紹介したい。

 

Flying Lotus:俺は映画学校に通ったけど、映画学校の産物ではないかな。映画学校にいったあと、俺は自分に満足していなかった。学校に通って色々学ぶ前のほうが、面白いアイディアをたくさん持っていたんだ。でも学校では俺が表現したいことの理由が間違えているって教わった。例えば俺は単に「クールだから」という理由で何かを表現したいときもあったけど、「クールだからという理由じゃ足りない、もっとちゃんとした理由が必要」っていつも言われるんだ。「こうしないといけない!」という聖書のようなガイドラインがあって、俺はその感覚から再び抜け出すのに何年もかかった。

 

恐らく元々Flying Lotusは表現したいアイディアが非常に多くある人なのだろう。映画が好きという原動力よりは、何か独自の面白いもの作りたいという気持ちが強かったのか、映画学校では自分のやりたい表現ができなかったようだ。クリエイティビティの「箱」によって、自分のクリエイティビティを押さえつけられた彼は、教わったことに納得をいかなかったのである。いわゆる既存のセオリーによって画一化された結果なのかもしれない。しかし彼はまた自分の感覚を取り戻したと語っている。

 

FlyLo:「こうしないといけない!」ってのがあるから、似たような映画が多くなるんだ。映画として成功するためにはそのようなセオリーに沿う必要があるんだ。でも本当はセオリー通りじゃなくてもいいはずだと思うんだ。「KUSO」は自分の音楽制作と同じように、本当にフリーフォームで作ることができた。

俺の友達であり、音楽と映画どちらも作っているMr. Oizo(Quentin Dupieux)がインスピレーションとなった。彼は「音楽と同じように映画作ってみたら?」って言ってくれたんだ。今はその感覚がわかる。俺は音楽を作るとき、何をするか全く検討がついていないんだ。椅子に座って、何かそのときの気分で色々やってたら、車輪が回りはじめて何かができる。まぁたまに事前にアイディアがあったりするけど、それは稀だ。そうやってKUSOを作った。

 

音楽と同じように、フリーフォームで作ることにより、「自分の映像」ができたと語った。Edbanger RecordsやBrainfeederからリリースしている彼の友人のMr. Oizoの助言がインスピレーションになったようだ。FlyLoの音楽は、「これどんな感じで作ってるんだろう」と気になる内容となっているが、彼はどうやら本当にその瞬間のインスピレーションを表現しているだけなのかもしれない。さらに彼はこのインタビューにおける最も重要な部分をこのように語った。

 

FlyLo:映画を描くときでも、どこに行くかわかんないし、どこに行くかわかってなくてもいいんだ。とりあえず書きはじめて、後は「Let It Be」だよ。あとは待ちすぎないことだ。自分に色々な言い訳を言い聞かせて、アイディアを実行しないってのが一番危険だ。実際にはアイディアを実行しない理由って探せば何百万個も見つけることができるけど、底のない自己不信に陥るだけだ。「◯◯の経験がない」とか「◯◯がないとできない」って理由を挙げるだけで一日潰せる。映画だとその現象に陥ったりすることが多かったけど、今はそれを抜け出してワクワクすることを前に進めているよ。

 

自分に言い訳を聞かせて、アイディアを実行しない危険さ、そしてその現象によって何も前に進められない現実について語った。これは実生活でも実際に頻繁に見ることである。自分のなかで自分に言い訳を聞かせているパターンもあれば、その「言い訳」が外部からくる場合もあるだろう。これは今では米国で大きなメディアとなったVladTVのDJ Vladが言っていたことでもあるが、人が何か新しいことをはじめたりするとき、周りから「そんなのやっても意味ない」とか「お前にはできない」と言われる。しかしそのような人たちが言っていたことを真に受けていたら、何も始められないでキャリアが始まる前に終わっていただろう。他人からだったとしても、自分の中からくる疑問だったとしても、「言い訳」を言い聞かせて「俺にはできないな」と思い込むことはなんとしても避けないといけないのだ。そのため、Flying Lotusは「とりあえずやってみる」と語っているのだろう。その精神が世界にインパクトを残すために必要なことなのだろう。

この「とりあえずやってみて、後はLet It Be」というのは、今まで何度がPlayatunerでも取り上げてきた精神である。HopsinTyler, the Creatorの事例もそうだが、彼らは自分に言い訳を言わなかったのだろう。しかしもちろんリスクヘッジというものも大切なので、起こりうる可能性を洗い出しつつ、回避/回復方法について考えておくのも非常に重要だと感じる。しかし「ダサいと思われるかも」や「ディスられた…」という考えで自分のクリエイティビティと行動力を無にしてしまうのは、あまりにももったいない。

Flying Lotusはこのインタビューで映画学校について文句を言っているようにも聞こえるが、実際のところはそうでもない。彼は映画学校の役割を「業界の構図、世間の現実を伝えるためにベストを尽くしている場所」と語っている。実際に映画業界にて商業的に「成功」するには、このようなカリキュラムで学ぶ必要があるのかもしれない。また、世の中は非常に口数が多く、制作側以外の人材に批判されることも多々あるのだろう。そのような「人々」に「理解される」ものを作るという意味では、このような画一的なカリキュラムが有効なのかもしれない。私は個人的に映画に関しては完全なる素人なので、実際には想像でしかこの部分を書けないが、Flying Lotusのインタビューを聞いている限り、そのような印象を受けた。表に出れば出るほど色々な人に「言い訳の種」になるようなことを言われるかもしれないが、気にしないで自分のアイディアを実行していこう、と思わせられるインタビューであった。

Flying LotusはStones Throwでインターンをしていた。全ては「サイクル」になっていると感じる話

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