Pharell Williamsが「自分を見失った瞬間」について語る。人生の「ダーク」な期間に学んだポテンシャル

 

 

自分を見失う瞬間

は誰にでもあるだろう。実際に言葉通り「見失う」というのはよくよく考えてみると不思議な表現であるが、今後どのような方向にいけばいいのかがわからなくなることは人生にてよくある現象であろう。そんなとき、どのように対応すればいいのか迷う時、案外それを乗り越えたアーティストたちのエピソードを見ると何かを掴めるかもしれない。

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はたから見れば成功をしてハッピーなアーティストでも、実は壁にぶつかっていたりする。それはプライベートでの出来事かもしれないし、「アーティスト」としてかもしれない。そんなアーティストとしての壁をぶち破るという意味では、Playatunerは今までにRun the Jewelsの例ケンドリックの例を紹介してきた。今回はPharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)の例を紹介したい。N.E.R.D.がComplexconにて語ったインタビューを元に紹介したい。

 

(Tyler the Creatorの声)

「Nothing」をつくるとき、バンド内で意見の違いとかあった?もしあったとしたら、「Life as a Fish」とか「Inside the Clouds」の方向性に行きたがったのは誰?

Pharrell:その2曲があのアルバムの方向性としてやりたかったことなんだ。でも当時のレコード会社は俺らを理解していなかったのと、世界が徐々に変わっていっていることに気がついていなかったんだ。人々が音楽を消費する方法がちょうど変わってきていた。ダウンロードする人もいれば、インターネットという素晴らしい場所で、自分の作りたい音楽をつくって、ビルボードにチャートインしなくても売れるというプラットフォームができつつあった。でも昔の「チャートインすることが、楽曲を評価するバロメーター」というシステムのまま、レコード会社はインターネットというものを理解できなかったんだ。だから「クラブで流れるようなアップテンポな曲をつくれ」って言われて、俺らはそうしたんだ。

Shay Haley:あのプロジェクトは俺らにとって「ダーク」な期間だった。EDMがちょうど今まで以上に売れていた時期で、レーベルからも他のグループと比較されていたし。とても暗くて、憂鬱なクリエイティブ期間だった。

Pharrell:だから俺は「Hot-n-Fun」が大嫌いなんだ。「Life as a Fish」と「Inside the Clouds」があのアルバムで一番よかった曲だ。

 

自分たちがやりたい方向性ではなく、レコード会社に認められるために音楽を作ってしまったと語るNERD。それは「ダーク」な時期だったと語り、今後くる「自由な音楽をやる時代」に対応できなかったとも語る。個人的には「I’ve Seen the Light」と「Inside the Clouds」が特に素晴らしいと感じる。その後彼は「方向性」についてこのように語った。

 

Pharrell:「Inside the Clouds」とか「Life as a Fish」はあのアルバムの「宝石」だった。他のアップテンポの曲は、自分たちがレコード会社に喜ばれるために手を伸ばしたのが見え見えなんだ。その時に、自分たちの「北極星」を見失った感じがした。自分たちの方向性がわからなくなったんだ。自分たちが目標とした姿ではなく、「認められる」姿を目標としてしまったんだ。

でもその時の出来事を何一つ後悔していないんだ。もしあの時の「混乱」がなければ俺らは今ここにいない。あの混乱があったからこそ、自分がやるべきことを理解している。ChadとShayがどう思うかはわからないが、俺はあの時期が本当にツラかったということを恥ずかしがらずに言える。でもそのツライときが人間には必要なんだ。その時期が自分のキャラクターをつくるものになる。そうやって一回落ちると、自分の回復力、そして立ち上がる自分のフルポテンシャルを知ることができる。だから俺にとっては暗い時期だったけど、今は太陽が当たる場所にいる。

 

自分達がなりたい自分になるのではなく、他人に認められる自分になろうとしたことで「北極星(方向性)」を見失ってしまったと語るファレル。しかしその選択を後悔していないのだ。そのときの葛藤、混乱は確かにツライ時期であったかも知れないが、その時期があったからこそ今の自分がある。自分が気がつくことができなかったポテンシャルに気がつくきっかけになるとともに、その反省点を活かすことによって自分の今後の活動の糧にすることができるのだ。これは音楽ではなく、仕事や起業でも同じことが言えるだろう。自分の方向性を見失ってしまったとしても、そのときの経験が結果的に「太陽」に当たるために必要な経験になるかもしれない。

マネージャーによるとThe Neptunes/N.E.R.D.のなかでも特にPharrellは活動初期のレコード会社との大切なミーティングなどでも「マイペース」すぎて机に乗ってラップしはじめるような人間だったらしく、彼がいかに「自分のやりたいことをやる」という人間だったことがわかる。社会的には「社会不適合者」だと思われるかもしれないが、その心の原動力に素直に従った結果、彼は「Pharrell Williams」になれたのだろう。そんな彼のマクドナルドを三回クビになった話もオススメである。

Pharrell Williamsとマクドナルドのお話【モチベーションストーリー】

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