Ice Cubeの名曲「It Was a Good Day」から見る「良い日」。平和な一日に感謝する心。

 

 

Ice Cubeの楽曲

と言えばアグレッシブであり、怒りを訴えるものが多いイメージがあるだろう。彼の代表作であり、N.W.A.のメンバーをディスった「No Vaseline」についてはPlayatunerにて何度か書いてきた。この曲はディストラックの教科書(そんなものはないが)があったとしたら絶対に載るべき楽曲である。

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しかし彼の楽曲で最もヒットし、世間で知られているのは「No Vaseline」ではなく「It Was a Good Day」であろう。The Isley Brothersの「Footsteps in the Dark」をサンプルしたチューンは1993年にリリースされ、ビルボードR&B/ヒップホップチャートで7位を記録した。

 

そんなIce Cubeのメローなヒット曲であるが、実はこの曲をリリースするとき、彼は様々な人に反対されたと語っている。「こんなのIce Cubeじゃない!お前はハードコアな音楽をやらないといけないんだ!」って言われたところ「これはハードコアだよ」って答えたらしい。そんな楽曲のハードコアさは実は逆説的なリリックにあると感じる。Ice CubeはComplexのMagnum Opusにてこのように語っている。

Ice Cube:「The Predator」ではMCingに戻りたかったんだ。常に何かに文句を付けている人ではなくて、自分のフィーリングを伝えたかった。

さらに既にリンクが切れて見れなくなってしまっているが、The Blenderではこのように語られていた。

Ice Cube:俺は当時既にラップゲームのトップにいたんだ。自分が夢を見ていたお金を持っていたし、心も健康だった。1992年にLA暴動があり、人々は俺がそのことについて何か伝えることは分かっているだろう。いつも怒りやギャングスタなものをラップしてるけど、俺が過ごした「良い日」についてはどうだろうか?

1992年に人種差別問題のテンションが高まり、LA暴動があった。多くのネガティブなエネルギーとともに、解決に向かわない現状に不安を感じていた人も多かっただろう。そのなかで重要な役割を担ったのが、1992年に行われた「Gang Truce」である。暴動の直前に敵対ギャング同士が手を組み、ギャング同士のストリートバイオレンスの低下となるきっかけとなった。Ice Cubeはこの出来事に非常に影響されたと語っている。

Ice Cube:敵対ギャング同士が平和条約を交わしたのが、「俺らが望んで、行動をすれば良い日になるんだ」と思うきっかけとなった。

 

そのようなストリートでの出来事がきっかけで作られた楽曲であるが、当時のクルーたちには不評であった。「この曲は全くハードコアじゃない!」と言われるなか、Ice Cubeは「これはハードコアだ」と言い張ったのだ。この曲は確かに「良い日」について語っているが、非常にストリート感があるリリックであるのだ。それは「良い日」の捉え方が一般的なものと全く違うからであろう。

一般的に「良い日」というと、何か良いことがあったり、ラッキーなことがあったりすることを指すであろう。しかしIce Cubeのリリックを見てみると、実際には「今日は◯◯が起こらなかったから良い日だ」というフレーズが多い。「今日という24時間を生きることができるかな」、「バックミラーで確認しても今日は後ろを付けてくるやつはいない」、「今日は警察に嫌がらせされなかった」、「今日は殺人を探しているヘリコプターがいない」という内容がメインとなっているのだ。フッドで起こりうる悪いことが起こらないで、「普通」に生活できたことについて感謝をしている楽曲である。そう考えると、この楽曲は非常にリアルで「ハードコア」なリリックの裏返しであることがわかる。どのような環境で過ごしていても、隙間には何も起こらない日常があったりする。そんな平和な一日に感謝したくなるような楽曲である。

Bonus:プロスケートボーダーのポール・ロドリゲスが出演するNike SBの「It Was a Good Day」も非常に良いのでオススメである。Ice Cube本人、エリック・コストン、Kobe Bryant、Shane O’neill、Theotis Beasley、Lance Mountainも友情出演している。

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