DJ Premier「もし俺がヒップホップしかやらないと思っているなら、あなたは俺の歴史を知らない」

 

 

最も偉大なヒップホッププロデューサー

は誰?という議論については、毎日のように米国の床屋や学校などで行われているだろう。Dr. Dreと言う者もいれば、カニエ・ウェストだと言う者もいれば、Large Professorと言うものもいれば、Marly Marlという者もいるだろう。そんななかで、90sのヒップホップサウンドに絶対に欠かせないプロデューサーがDJ Premier(DJプレミア)である。

DJ Premierが選ぶ、自身がプロデュースした曲トップ5

 

最近のDJ Premierと言えばMC Eihtとの共作「Which Way Iz West?」をリリースしており、Playatunerでもこちらの作品のレビューをしている。そんな彼のレーベル「To the Top Records」はTorii Wolfというアーティストをプロデュースしているのだが、Torii Wolfはヒップホップアーティストではないのだ。そのことを受け、Premierに対して「ヒップホップ以外をやるなんてPremierじゃない!」と言う人が多いらしいのだ。そんな発言を受け、DJ PremierはMass Appealにてこのように語っている。

 

Premier:俺が自分のレーベルでTorii Wolfと仕事し始めたとき、インスタで俺に対して「ヒップホップを捨てている」と言う人が何人かいたんだ。「俺がヒップホップを捨てている?6月にMC Eihtとのプロジェクトをリリースしたばかりだぞ」と思ったね。しかも「今後プレミアの曲を一切聞くのをやめる」とか言っている人もいた。多分皆ハグが必要な荒らしなんだろうけど、たまにそういう奴らとディベートして論破してしまうんだ。もし「DJ Premierはヒップホップしかできない」という箱に俺を入れようとしているなら、あなたは俺の歴史を知らない。

 

 

 

彼はこのように語った。実は彼は元々テキサス州出身であり、家ではソウル・ミュージックを聞いて育ったのだ。しかし高校に入り、彼はその反動からロックの世界にどっぷりハマることになる。彼が高校生の時に大好きだったバンドとして、The Smiths、Simple Minds、Siouxsie,Bansheesなどが挙げられており、Iron Maiden、Van Halen、AC/DCなど言ったハードロック/メタルも日常的に聞いていたのだ。AC/DCのライブには何度も行ったと語っており、1984年に大学に入ってからヒップホップの世界に入ったのだ。

さらには彼は2006年にもクリスティーナ・アギレラの「Back 2 Basics」の曲複数をプロデュースしており、楽曲「Aint No Other Man」でもグラミー賞を受賞している。

 

このように彼は様々な音楽からの影響を受け、作品を作っているのだが、一つ感じることがある。それは「DJ Premierの音」である。例えばTorii Wolfの曲をプロデュースしていたとしても、クリスティーナ・アギレラのアルバムをプロデュースしていたとしても、曲を聞けば「あ、これDJ Premierのトラックだな」と気がつくのだ。DJドロップもいらないほど、彼のサウンドというものは確立されており、DJ Premierは様々な音楽を吸収した上で、「自分のオリジナルサウンド」を出すことができているのだ。偉大なプロデューサーには、「様々なスタイルに対応できる柔軟性」だけではなく、その中にも「自分のサウンド」というものが備わっているのだ。Dr. Dreのサウンドももちろん時代によって変化はあるが、そのなかでも「Dreサウンド」というものがあったと感じる。

そのように考えると、以前書いた「ヒップホップサウンドの本質」という記事の内容を思い出す。ヒップホップであるからこそ、様々なジャンルから知識を得る必要があるのだ。

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