「エミネムに影響されましたか?」Vince Staples「いや、全然…」インタビューから見るVinceのリアルさ

 

 

 

 

「リアル」

ヒップホップ業界で頻繁に使用される言葉である。リアルの意味は時と場合によって違うだろう。Playatunerでは今まで様々なアーティストの「リアル」について記事を書いてきた。そして若手ラッパーのなかで、最も「この人リアルだな…」と思うのがVince Staples(ヴィンス・ステープルズ)である。彼のリアルさについては以前下記の記事で書いた。

Vince Staplesが「リアルな音楽」の意味を語る。

そんな彼は常に世間にたいして「100」でいてくれる(自分にとって100%「真」であること)。そんな彼の「リアルっぽさ」を感じることができるインタビューが公開されているので紹介をしたい。ある意味噛み合っていない、いびつなインタビューで読んでいるだけでも面白いが、彼がどのような人なのかを垣間見ることができるだろう。From: Vulture

 

➖ 眠いですか?

Vince: いや、眠くないけど、なんか年取った感じだな。骨が痛くなる

➖ でもまだ25歳ぐらいですよね?

Vince:クレイジーなのは今自分が何歳なのかよくわかってないんだよね。多分22か23なんだけど、さっき飛行機に乗ってて、「1993年に生まれた俺は何歳だ?」って思ったんだけど眠すぎて「まぁいいや」ってなっちゃったんだ。

➖ アルバムが出ることに緊張していますか?

Vince:緊張はしたことないな。緊張するほど何かを気にしたことがない。特に何かが起こるわけでもないし。

➖ いつも最悪のケースを想像をして、そこから作り上げていくって言っていましたが、このアルバムの最悪のケースは、そこまで悪くならないですよね。

Vince:今年はもうライブスケジュールを埋めちゃってるから、あとは皆が座って聞くだけだね。人々が自分の音楽を嫌いになるってのは、別にそんなに気にならないし気にすることでもないと思うんだ。それを大変だと思う人はいるけど。俺的に、人が自分の音楽をどう思うかはどうでもいい。

 

いきなり素晴らしい回答のオンパレードである。インタビュワーが敷いたレール通りにいくインタビューももちろん面白いが、このように予想もしていない答えからアーティストのパーソナリティが見えるのが、インタビューの醍醐味であろう。さらに新しいアルバム「Big Fish Theory」の情報はほぼ解禁しないということについてこのように会話が進む。

 

➖ プロデューサーとかクレジットをまだ一切公開しないということは、アルバムがリリースされてもWikipediaには何も載らないってことですかね?

Vince:あぁ多分載ると思うよ。それが正しいかはわからないけどね。だってこないだエミネムのアルバムのトラックリストに何故か俺の名前が載ってたし。エミネムには会ったこともないのに。

➖でもエミネムはあなたにとって特別な存在ですか?エミネムに影響されたりはしましたか?

Vince:いや、全然

➖されてないのですか?

Vince:8 Mileは好きだけどね。あと小さい頃My Name Isは好きだった。あとWithout Meもかなり好きだったね。でも面白いのは、本当は誰も(影響とか)そんなこと気にしてないんだよ。皆ただ「俺は彼のことをよく知ってるよ!」とアピールしたいだけなんだ。

俺らはその「ハイプ」を売るために活動してるわけじゃないんだ。音楽を作るためにここにいるんだ。Def Jamにいる人々がそういうイメージにしたいなら、彼らがそれを勝手にやればいい。俺の仕事は単に曲をつくって、「ディーラー」に渡すだけ。そしたら「ディーラー」が「バイヤー」に渡す。インターネットという世界で最も大きい「ギャラリー」にね。

 

恐らく「普通」のラッパーであれば、エミネムなどの偉大なアーティストについて聞かれたら、実際にはそこまで影響されていなくても「彼の音楽は素晴らしい/影響された」と答えるであろう。それがヒップホップファンへのアピールにも繋がるからだ。でもそれは単に「知っていますよアピール」でしかないとVinceは指摘した。もちろん本当に影響されているアーティストもいるだろう。しかしエミネムレベルでも、実際にはそこまで影響されていないアーティストはきっぱり「影響されていない」と答えるのがVinceである。

これは、数回しか行ったことない店を「いきつけ」と呼んでしまう精神性にも共通すると感じる。人間は、自分が「良く知っている」とアピールしてしまう生き物であり、それは全く悪いことではないと感じる。むしろ人間にとって自然な行動だろう。しかしその「知らない」を恐れずに素直に表現できるVinceのような人間はとても強いと感じる。特にインターネット時代のヒップホップでは「知らない」ということが原因でバッシングを食らうことも多々ある(Lil Yachtyの件がまさにそうだろう)

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