コモン、Jay-Z、エミネムなどのトランペッターを務めたKeyon Harroldインタビュー。アーティストとして「機会」を掴む方法、マイルス・デイヴィスの映画等

 

 

ヒップホップ

に深く関わりのあるミュージシャン/演奏者と言ったら誰を思い浮かべるだろうか?以前同じ問いかけからはじめた記事では、「Chris Daveというドラマーがいかにヒップホップの世界にも影響を及ぼしているか」、ということを書いた。そんなChris Daveの「Chris Dave and The Drumhedz」にも参加しており、多くのヒップホップ・レジェンドと共演するトランペッターがKeyon Harrold(キーヨン・ハロルド)である。

彼を映画「MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間」で知った方も多いだろう。彼はロバート・グラスパーが音楽を担当した当映画で、主演のドン・チードルの演奏部分の吹き替えを担当している。マイルス・デイヴィス役の演奏の吹き替えということもあり、まさにマイルス/ドン・チードルのスタントマンとして活躍した。彼はジャズに限らずコモン、Jay-Z、エミネム、ディアンジェロ、エリカ・バドゥ、Big K.R.I.T.、Mos Defなどとも共演しており、ヒップホップにも縁が深い人物である。ソウルクエリアンズの時代にコモンのトランペッターとしてキャリアをはじめた彼に25分間お話を聞くことができた。

 

Keyon Harrold Interview 2018.2.2.


➖ 最初はどのようにして音楽の世界に入ったのですか?

Keyon:音楽は家族がきっかけだね。私の家族は大家族で、16人もいるんだ。祖父がドラムとビューグルの合唱団をはじめたのもあって、私たちは全員何かしらの楽器をやらないといけなかったんだ。そのなかでも私はたまたま、そのまま練習をし続けて音楽の道を進み続けたんだ。

 

➖ 他のご家族は音楽を続けているのですか?

Keyon:続けてるやつもいるよ。俺の兄弟のEmanuelはGregory Porterのドラマーをやっているよ。他にもプロデューサーをやっているやつもいるし。でも16人もいるんだ。毎日がパーティのようだったよ(笑)親が牧師だから、いつも教会で音楽をやっていたし、常に色んな音楽と触れ合っていたね。

 

➖ ロバート・グラスパーと同じ学校「The New School」に通っていたと聞いたのですが、他に当時一緒に通っていた人はいますか?

Keyon:私が行ったときは素晴らしい時だったよ。Bilal、Casey Benjamin、MarcusとE.J. Strickland、Mike Moreno、Georgia Ann Muldrow、Chris Turner、Jesse Boykins IIIとか本当に素晴らしいミュージシャンが集まっていた。

 

➖ 素晴らしいメンバーですね…!実際にプロとしてのキャリアは学生時代にはじまったのですか?

Keyon:そうだね。最初にNYに引っ越したとき、私は「ジャズ・スター」になりたかったんだ。それ以外のジャンルはやりたくなかった。でも私のプロとしての最初の仕事はコモンのライブだったんだ。「Like Water for Chocolate」から彼のトランペッターとしてツアーにも参加し、それがきっかけで自分の「アーティスト観」が変わったよ。

 

➖ 「ミュージシャン」から「アーティスト」になるという意味ですか?それか他のジャンルにたいしてオープンになったという意味ですか?

Keyon:どちらもだね。もちろんヒップホップは元々アプリシエイトしていたけど、あまり深くは入っていなかったんだ。コモンと仕事するようになってから、今まで聞いたことがなかった音楽と触れ合う機会が増えた。J Dilla、DJ Premier、Hi-Tekなどのビートの元ネタを聞いてみたり、色々なことを学んだよ。

元々はマイルス・デイヴィスとかフレディ・ハバードとかのリックをコピーして、「彼らのようなアーティスト」になるために勉強をしていたけど、自分のクリエイティビティを追求する「自分」というアーティストになることを学んだよ。そこから徐々にビートもつくり始めたんだ。今まで知らなかった音楽の世界を知ることができたね。

 

➖ その頃あなたは何歳ぐらいだったのですか?

Keyon:18歳とかだったかな。コモンは今でも一緒に仕事をしたりするよ。

 

➖ コモンのホワイトハウスでのTiny Deskにも参加してましたよね。

Keyon:そうだね。Karriem Riggins、Robert Glasper、Derrick Hodge、Elena Pinderhughes、Bilalもいたしとても楽しかったよ。

 

➖ 最初に参加したツアーはどのぐらいの期間だったのですか?

Keyon:最初は3年ぐらいだったかな。「Electric Circus」までだね。

 

家族が全員ミュージシャンであったこと、そしてNYの「The New School」に在籍したことにより、様々なドアが開けたこと、コモンのトランペッターになったことにより、ジャズ以外の音楽にも視野が広がったことを語ってくれた。彼の「アーティスト」への精神的成長も非常に興味深い点である。そんな彼が「アーティスト」としてカムアップした方法、そして「機会」について語る。

 

➖ 私がやっているWEBマガジンではアーティストをエンパワーメントする内容の記事が多くて。特に日本だと自分が好きなことで「プロフェッショナル」になるというのが、社会的にあまり認められていないことでもあるので、アーティスト目線の記事を書くようにしています。アーティストたちがどのようにしてカムアップしたかのお話を聞くようにしているのですが、実際にどのようにしてアーティストとしての仕事を掴みましたか?もちろんコネクションとかもあると思いますが。

Keyon:アーティストとしては、やっぱり本質的には自分に嘘をつかずに「真」であることが一番重要だと思うんだ。自分の熱意がなんだったとしても、「自分を止める者はいない」と信じるしかないんだ。まぁ愛しているものであれば、どういう状況でも追いかけると思う。それは練習をし続けるという意味でもそうだし、自分に足りないことを分析して改善するという意味でもそうだ。

でもそれは外に出てコネクションを作る前にしないといけないことだ。スキルをゲットした後には外に出て「きっかけ」を作る必要がある。自分にとってそのきっかけとなったのは、NYに引っ越して「The New School」に在籍するようになったことだ。The New Schoolとあの「Electric Lady Studio」は非常に近い場所にあるんだ。当時「Electric Lady Studio」にいくと、エリカ・バドゥが「Mama’s Gun」の作業していたり、D’Angeloが「Voodoo」を作っていたりしていた。そこに顔を出すようになったんだ。

 

➖ ソウルクエリアンズですね!

Keyon:そう。全ての部屋で素晴らしい音楽が行われていたんだ。それは自分にとって非常にインスパイアリングなものだった。適切なタイミングで適切な場所で、適切な人たちと一緒にいれば、自分の人生は変わるよ。でもちゃんと自分の目標にフォーカスして、たくさん練習をして、スキルを蓄えておけば、その「コネクション」を作った瞬間に上手くいくようになる。

 

➖ そうですね。コネクションを作ることにフォーカスする人もいますけど、最初にスキルを得るための「コミット」が何よりも先にくる必要がありますよね。

Keyon:もちろんだよ!それが全てだよ!

 

➖ 最高のミュージシャンが集まっているスタジオで「何もできませんわー」ってなるわけにはいかないですもんね。

Keyon:まぁそういう「アクシデント」はたまに起こるけど、大体は自分の「インフラ」を整えたときに「機会」は入ってくるんだ。「この人の曲だったら俺はこういう感じでできるな」という考えを既にしてあったり、いつ起こるかわからない機会の準備が既にできているんだ。朝起きて偶然何か凄いことが起こって「オーマイガー!」って感じではないんだよね。

 

➖ インターネットの発達によって「起きたらスターになっていた」という状況を夢見る若い世代が増えたのかも知れないとも思っていて、そういう積み重ねがあまりないまま「一晩でスターになった」アーティストもいると思うんですよね。でも「ひと夏だけの話題」みたいな感じが多いのかなと。

Keyon:そういうアーティストはあまり長続きしないよね。それは学んでないからだ。知識とクラフトの「穴」を掘っていないと、そうなってしまう。人間は過去から学んだ分の距離しか前に進めないんだ。例えばヒップホップだったら素晴らしいプロデューサーやMCたちを研究する必要がある。機材を学んで、使い方を身に染み込ませる必要がある。皆が好きなあの偉大なアーティストも、全員膨大な時間を「研究」に費やし、汗をかいてきたんだ。

理解しないといけないのは、世間の人が見る姿は、既に何年も費やした後の姿なんだ。私は多くのアーティストと一緒にやっているから「新人」ではないけど、自分のソロ活動に関してはまだ駆け出しなんだ。でも何年も音楽をやり続けているから、自分にとっては新しいことではないし、自分でやっていることに自信を持てる。アーティストの遊んだり楽しんでる姿はメディアで見ることができるけど、努力している姿は観客からは見えないんだ。

 

➖ Jay-Zがインタビューで「人々は結果を真似するけど、プロセスを見ようとしない」と言っていたのですが、まさにそれですよね。アーティストだけではなく、アスリートも多分グレイトな人は今も練習している。

Keyon:まさにそうだね。「練習をする」が「水を飲む」と同じような感じで自然なことなんだよね。

 

アーティストとしのコネクションも大事だが、まずは「スキル」にコミットすることが一番重要だと語る。そこをクリアし、アウトプットをしていれば、機会は巡り巡ってくる。適切なタイミングで、適切な人たちと一緒にいることの重要さ、しかもそれは単に「友達」としてハングアウトしているのではなく、プロフェッショナルとしての準備ができていることである。また、「人間は過去から学んだ分の距離しか前に進めない」というフレーズが非常に印象深い。後ほど出てくるが彼は適切なタイミングで花が咲くように「種」を植えておくことが最も重要だと語る。話題はJay-Zへと移る。

 

➖ Jay-Zの話題になったところで、Jay-Zについて聞きたいんですけど、彼の「American Gangster」に参加していますよね?

Keyon:そうだね。「Roc Boys (And the Winner Is)…」と「Party Life」でトランペットを演奏したよ。

 

➖ アンセムですね!あなたはJay-Z以外にも多くのヒップホップ・レジェンドと共演していますよね。エミネムとも仕事をしています。

Keyon:私は本当に恵まれているよ。こういう「グレイテスト」なアーティストと一緒に共演できたことを幸せに感じるよ。

 

➖ そんなヒップホップ・レジェンドとの共演で印象に残ってることとか、インスパイアリングなエピソードってありますか?

Keyon:そうだなー自分的に凄く興味深いのは、実際に一緒に作業しているときは、あまり何も考えてないってことかな。さっきコミットして努力していれば「機会」が入ってくるって話をしたじゃん?そんな感じで、ふと気がついたら「あ、Nasだ…」とか「あ、Jay-Zだ…」とか「エミネムじゃん…」って感じで目の前にいるんだ。

例えば「Roc Boys」とかは、あれは最もドープなアンセム・ソングと言っても過言ではない。でも実際にあの曲をレコーディングしているときは、特別な感じはしなかったし、単なる「数あるうちの1曲」だった。でも少し経ってからその状況を思い出してみると「私はなんて素晴らしい時間を過ごしたんだろう」って感じるんだ。

 

➖ 確かに一度外に出て客観的に見ることによって、その時間の素晴らしさに気がつくことってあるのかも知れませんね。

Keyon:他には何か素晴らしいエピソードあるかな。そういう素晴らしい経験が多すぎて逆に思いつかないよ(笑)でも一つだけ言えるのは、私は彼らのようなアーティストたちと一緒に仕事ができて本当に幸せだ。そしてそれは自分が今まで積み重ねてきたハードワークによって巡り合った機会だ。Mac MillerからBig K.R.I.T. からファロア・モンチまで。そしてJay-Zからエミネム…そうやって一つ一つを積み重ねてきた。俺が最も尊敬しているアーティストの一人でもあるMos Defのようなアーティストと肩を並べて学ぶことができた。全ては「グッド・ヴァイブス」だよ。

 

あまり具体的なエピソードは出てこなかったが、とにかく「素晴らしい」体験であったのだろう。細かい出来事ではなく、大きな枠として「経験」として昇華している印象であった。そんな彼はミュージシャン以外とも共演をしている。

 

➖ 「音楽」の世界だけではなく、シルク・ドゥ・ソレイユに参加したり、ショービジネスでもコラボをしていますよね?実は私はシルク・ドゥ・ソレイユのファンなんですよ。

Keyon:私はシルク・ドゥ・ソレイユの「Michael Jackson: Immortal World Tour」に3年近く参加していたんだ。これは凄く特別な体験だった。マイケルが亡くなった直後のショーだったし、マイケルは生前シルク・ドゥ・ソレイユと一緒にショーをやることを願っていたんだ。残念ながらマイケル本人は亡くなってしまったけど、あのコラボレーションはそのバックグラウンドがあったから実現した。

また、マイケルは生前ホーン隊とツアーをしたことがなかった。彼はジェームス・ブラウンを非常にリスペクトしていたから、逆に彼と同じバンド編成にしなかった。最終的にホーン隊を入れてやってみるというときに亡くなってしまった。だからこのシルク・ドゥ・ソレイユのショーがマイケルとホーン隊が一緒にツアーするはじめての機会だったんだ。マイケルのミュージカル・ディレクターを長年務めたGreg Phillinganesに抜擢されたことを光栄に思うよ。

 

➖ 非常にレジェンダリーですね…実は私は大学卒業するときにシルク・ドゥ・ソレイユに履歴書を送ったことあるんですよ(笑)

Keyon:まじか!(笑)それは非常に面白いエピソードだね!何をやろうと思ってたの?

 

➖ そもそも新卒を募集していなくて、あまり関係ない専攻だったからそれは特に決めてなくて、単に「素晴らしいショーを作りたい!」しか考えてなかったです(笑)

Keyon:あそこは非常に面白い組織だからね。ミュージシャンだけではなく、トップレベルのアスリートや様々な分野の世界最高峰のエンターテイナーたちと一緒に仕事ができるという意味でも非常に特別な場所だよ。

 

超個人的な興味からシルク・ドゥ・ソレイユに参加したことについて聞いてしまって恐縮だが、マイケルのエピソードを知ることができた。このマイケルのシルク・ドゥ・ソレイユのショーについて、亡くなった後であったため、「マイケルの本意ではない」と批判していたマイケルファンもインターネットにいたが、マイケルの願いでもあったのだ。彼は音楽の世界だけではなくそんな「特殊な組織」で世界最高峰のエンターテイナーたちと肩を並べて最高のショーを作り上げていたのだ。

その後、彼自身のアルバム「The Mugician」について聞いてみた。こちらのプロジェクトは彼がトランペットの吹き替えを務めた「Miles Ahead」とも関連深いものであった。

 

➖ あなたのアルバム「The Mugician」についてお聞きしたいです。「Musician」と「Magician」という2つの言葉を混ぜ合わせた造語ですが、ドン・チードルが名付け親だと聞いたのですが。

Keyon:実際は私とドン・チードルのコラボって感じだよ。私とドン・チードルとロバート・グラスパーとかで、SXSWにて「Miles Ahead」について語るイベントがあったんだ。私たちがどうやってあの映画のスコアリングをしたかについてね。彼は私のことをリスペクトしてくれているから、こう言ってくれたんだ。

Keyon、あなたは本当に最高の仕事をしてくれた。だってマイルス・デイヴィスだよ?世界の誰でもなく、マイルスのトランペットの吹き替えをやったんだ。あなたはマイルスのスタントマンをやったようなものだ。それは簡単なことではない。まるで”マジシャン”だ。

ってね。そこ私は「お、マジシャンとミュージシャンを掛け合わせて”Mugician”って感じかな」って答えたんだ。彼はそれが気に入ったのか、実際にイベントで私を紹介するときに「Keyonは”Mugician”だ!」って言ったんだ。そうやってこの名前がついた。

 

➖ その名前が脳内で”クリック”して、「これをアルバム名にしよう」って思ったわけですね。

Keyon:そうそう。帰宅した瞬間に「The Mugician」というタイトルの曲を作った。元々アルバムは違う名前にしようと思っていたんだけど、色々巡り巡って「The Mugician」になったんだ。

 

➖ このアルバムにはあなたの母親からのボイスメッセージが含まれていますよね。あなたの母親はキャリアや人生においてどのようなインパクトを与えましたか?

Keyon:母はいつでも俺のモチベーションの源泉だ。彼女は「戦士」のような人だよ。人生のハイからロウまで経験をし、勝利も失敗も経験し、まだ立っている。14人も子供を産んで育てたし、誰一人として違う扱いを受けていない。私は今NYに住んでいて、他のきょうだいたちは皆違う地域に住んでいるから、母は定期的に全員の携帯にインスパイアリングなボイスメッセージを残すんだ。だからああいうボイスメッセージは30個ぐらいあるんだ。たまたま電話して良いことを言ったとかではなく、彼女はいつもあのような勇気が湧くことを言ってくれる。だからあの音声は編集したものでもないし、ボイスメッセージにそのまま音楽を付けたんだ。

あなたにはいつもこう教えていた。絶対に諦めるな。そして絶対に屈しないこと。人生には幾多の試練が待ち受けているけど、その試練はあなたを強くするためにある。もし”もう無理だ”となったら私に言いなさい。あなたなら絶対にやり遂げることができる

要約すると上記の内容のメッセージであるが、彼の母親は定期的にこのようなインスパイアリングなボイスメッセージを残すらしい。

 

Keyon:この曲が完成したあと、母親は心臓発作で倒れた。もう先が長くないかもしれないと思っていたから、仕事でアフリカに飛び立つ日に、セントルイスに行ってこの曲を聞かせたんだ。手術のために麻酔をする直前だった。曲を聞かせて手術をした後、彼女は回復をして、今では日常生活に戻ることができてるよ。

 

母親とのエピソードを語ったKeyon。以前Evidenceの記事でも紹介したが、このような録音を作品にすると非常に美しい経験が返ってくる。そんな彼の楽曲はインスト曲が多いが、実際にメッセージが込められているものも非常に多い。そんな彼にメッセージを込めることについて聞いてみた。

 

➖ あなたの曲はインスト曲が多いですが、同時に楽曲に多くのメッセージが込められていますよね?多分Playatunerの読者はラッパーが多かったり、「言葉」を聞くことに慣れている人が多いです。そのなかで、「メッセージ」が込められているインスト曲は新鮮に聞こえたりするのかもな?と感じます。言葉にメッセージを込めるのは簡単ですが、「音」そのものにメッセージを込めるときに意識することはなんですか?

Keyon:自分にとって作曲は「呼吸をする」のと同じ感覚なんだ。何かを作曲するとき、言葉を使用したりしなかったりする。言葉がある場合は「なんとなく」という感覚で歌詞を書いたりしない。絶対に何かしらを伝えないといけないと思っている。コードとかを弾いて曲を作っている時は、自分の腹の奥と心の底から感じたものしか使わない。そしてそれを感じながら作ったとき、大体そこには既に「腹の奥と心」から出てきた「音」が込められている。

私は常に「コンシャス」なんだ。アーティストとしては、常に自分が素直に感じている「真実」を映すべきだと信じている。「自分の世界で何が起きているか?」ということと、自分がどれだけ「映し」になるかを考える。そのメッセージが誰かにとってインスパイアリングになるからだ。自分が受け取ったメッセージは、他の人が受け取れるようにバトンを渡さないといけない。アーティストとしては、そのメッセージが自分のところに来たときに、それを他の必要としている人たちに伝えることが重要なんだ。それはリスナーかもしれないし、ライブにくる人かもしれない。

 

➖ そしてそのメッセージがまた他のリスナー/次世代に伝えられ、「サイクル」としてさらに多くの人の元に届く。

Keyon:そうだね!それが人生のサイクルだ。

 

➖ 本当は映画「Miles Ahead」についてもっと聞きたいことあったのですが、持ち時間の25分がいっぱいになってしまったので、最後にアーティストとしての目標をお聞きしたいです。

Keyon:目標は常にインスパイアし続けること、色んな人とコラボをし続けること、自分の世界を広げ続けること、学び続けること。人々から手が届くアートを作り続けて、それで感謝されること。自分の「真実」を反映させること。そしてそれでお金をもらうことだ。

 

➖ もちろんですね!これも先程の「サイクル」に関連してきますね。もしどこかでお金が止まってしまったら、最終的に作品のメッセージも循環しない。業界がお金の動きを止めるのではなく、アーティストにお金が回ると、アーティストたち自分の「アート」を作り続けることができる。そして素晴らしい作品ができたときに、リスナーはそれを購入してメッセージも循環する。アーティストにもっとお金が回らないとなーと、最近はそういうことを考えています。アーティストとして「成功」することについてとか。

Keyon:そうだ!アーティストが成功するには「種」をたくさん植えないといけないんだ。さっきの「Roc Boys」の話で言ったことだ。実際に誰かとコラボしている時は、どの曲がどんな存在になるかなんてわからない。どんなツアーになるかもわからないし、たまたま出会った人たちが自分の人生においてどんな存在になるかもわからない。でもその「わからなかった」ものが、自分のブレイクアウトのきっかけになったりするんだ。たまたま出会った人に対して、クソ野郎でいることもできるけど、優しくしたから、その出会いがブレイクのきっかけになることもあるんだ。だからたくさん種を植えまくれば、いつか花が咲く。そしていつかその出来事がなんで特別だったか?という理由を後から知ることになる。すぐに花が咲くこともあれば、かなり時間がかかる場合もある。いつか、昔起こった出来事を思い出して、「そういえばあれがきっかけだったな…」と気がつく時がくる。

 

➖ ありがとうございました!これから種をたくさん植えてきます!

Keyon:Awesome!ありがとう!

 

非常にインスパイアリングな話をたくさんしてくれたKeyon Harrold。彼はヒップホップ業界でも、ジャズ業界でも「トランペッター」としてだけではなく、「アーティスト」として活躍し続けるだろう。特に「種」を植える話には共感した方も多いのではないだろうか?ジャズアーティストをやっている人からするとシルク・ドゥ・ソレイユのようなサーカスに参加するということもかなり特殊に見えるかも知れないが、これも「学び続け、種を植える」という目標が故の行動なのだろう。案外人生とは「まさかこのきっかけがこんなに凄いことになるなんて!」の繰り返しなのかもしれない。

そしてインスパイアリングなお話が多く、聞く予定であった「Miles Ahead」について深く聞けなかったことをお詫びする。「Miles Ahead」も映画として非常に面白く、ドン・チードルの演技も最高なので要チェックである。

複数のヒップホップ世界線をクロスオーバーするアーティストから学ぶ。「最も危険なドラマー」Chris Daveとヒップホップ。

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