DumbfoundeadのMVから見る米エンタメ業界のアジア人の立場について
Writer: 渡邉航光(Kaz Skellington)
LAを代表する韓国系アメリカ人のラッパー「Dumbfoundead」
LAにて数々のバトル大会にて功績を残し、アジア人ラッパーとしての存在を全世界に示してきたDumbfoundead(ダムファウンデッド)彼のラップはリリックもフローも間違いなくトップレベルである。そんな彼の「Safe」のMVが業界内で話題になっていたのを知っているだろうか?。
いつものように白人ばかりの前回のアカデミー賞を見ていて感じたことをこの曲に落とし込んだ。
2016年のDumbfoundeadはこう語る。この曲の中で気になったリリックを要約していく。
the other night i watched the Oscars and the roster of the only yellow men were all statues,
we a quarter of the population there’s a room of fuckin’ 1 percenters laughing at you,
こないだオスカーを見ていた時、黄色い肌の人はあのオスカー像だけだった。
私達は人口の1/4を占めるが、人口の1%の人達が集まった部屋の中で私達を笑っている
guess i gotta play the villain,
ODB up at the Grammys on the mic like “Wu-Tang is for the children!”
どうやら悪役をやらざるを得ないようだ。
アジア人に対してはそのような扱いだが、会場では「Wu-Tangは子供たちに適切な内容だ!」と言わんばかりにオール・ダーティ・バスタードがマイクを持っていた。
さらにこの曲中では映画/エンタメ界のアジア人の活躍の場の少なさを語っている。他の人種と違いこのような状況でも今まで静かにしていたアジア人、そしてこのような扱いをしていても安全だと思っているこの業界をぶった切っているのである。
確かに今まで女性や黒人などの映画界における抗議というのは聞いたことあるがアジア人がそのような動きを見せている話はあまり聞いたことがない。それを受けてか近年白人男性以外を主人公に配置する映画も増えてきたが、アジア人は今だに少ない。(アジアが舞台となっている作品は別だが)
アジア人キャラを置き換え?
単純に上記のようなアジアが舞台になっている映画が少ないだけだったらまだ話は違うのだが、最近ではアジア人として原作で描かれているキャラクターをスカーレット・ヨハンソンが演じたり、他の人種によってアジア人のキャラが置き換えられるという事象も実際に起きている。当の日本ではあまり批判している人は見ないものの、アメリカに住んでいる人たちからの批判は大きい。
そのような中でアジア人ラッパーとして声を挙げ、さらに有名映画のワンシーンを全部自分の顔で置き換えるという皮肉を効かせたDumbfoundeadの「Safe」のMVは業界にどのような影響をもたらすのであろうか。最後のシーンでは実際に「顔がハリウッドっぽくない」という理由で白人の俳優に置き換えられ、追い出されるエンディングである。
今回このような内容でアメリカで話題になっているDumbfoundeadであるが他の曲もかなり良いので聞いてみて欲しい。私は実際に彼と話してサイファーをしたことがあるが、最高にクールで優しい人だったのを覚えている。
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