【オールドスクール】スヌープやIce Cubeもサンプルしたファンクバンド「Slave」

Writer: 渡邉航光


 

ブラックミュージックにおいては現行のアーティストを追うことは確かに大切であるが、昔の音楽をディグることもとても大切である。サンプリングなどにおいて「縦の繋がり」が明確に見えるジャンルはなかなか他にはないだろう。そんな想いもあり、Playatunerでは「昔の作品」をレビューしたり、オールドスクールなアーティストを紹介したりしている。今回紹介するのは

今回紹介するのは70年代〜80年代に活躍したファンクバンド

Slave(スレイヴ)

オールドスクールシリーズ

第1回目:The Gap Band
第2回目:The Friends of Distinction
第3回目:The Whispers

 

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Slaveは70年代〜80年代に活躍したオハイオ州出身のファンクバンドである。トランペッターのSteve WashingtonとMark Hicks(Drac)によって1975年にオハイオ州デイトンにて結成された。元々ドラマー/パーカショニストであったSteve Arrington(スティーブ・アーリントン)が1978年にリードボーカルを務めるようになり、彼の功績はヒップホップ界でもリスペクトされている。上記の曲はSlave初のヒット曲だが、この時はまだアーリントンがボーカルではなかったため、80年代前半のSlaveの特徴として有名な彼の声を聞くことはできない。

その後毎年立て続けに「Just a Touch of Love」、「Watching You」、「Snapshot」等といったヒット曲をリリースした。「Just a Touch of Love」は79年なのだが、80年代に入るまではまだ少し落ち着いたファンクをやっており、81年の「Show Time」ではもっとディスコ感の強い楽しげなファンクをやるようになっていった。

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アルバム「Show Time」にてディスコファンク感が強い曲をやるようになったが、このアルバムを最後にリードボーカルをやっていたSteve Arringtonが脱退してしまった。このアルバムに収録されている「Party Lites」が個人的には一番好きな曲なので是非チェックして欲しい。日本の歌謡曲も影響されてそうなメロディやネットリしたアーリントンの声とホーン隊のコントラストが素晴らしい。

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アーリントンが脱退した後ヒット曲が出なくなったのもあり、活動が鈍化していく。さらに惜しくも2011年にはキーボードのMark Leslie Adams Sr.とギターのMark (“Drac”) Hicksが亡くなってしまった。二人共オハイオ州デイトン出身ということもあり、オハイオファンクやデイトンにとってヒーローである。ボーカルのアーリントンは近年はDam-Funkと共にコラボアルバムをリリースしたり、勢力的に活動している。

もちろん後世への影響も大きく、数多くのヒップホップアーティストがSlaveとアーリントンの曲をサンプルしている。その中でも一番有名なのはスヌープ・ドッグの「Gin and Juice」と「Let’s Get Blown」の2曲であろう。

元ネタ Slave – Watching You

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そして下記がスヌープ・ドッグの大ヒット曲Gin and Juiceである。サビがそのままWatching Youのサビのメロディと使用している。スヌープ・ドッグのこの時代の曲は70年代80年代ファンクヒッツのメロディをそのまま使用しているパターンが多い。彼がファンクの大御所に認められる理由もそのリスペクトにあるのであろう。

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こちらの曲もラップを始める前のAメロがそのままWatching Youである。

 

その他にもアーリントンのソロなどはN.W.A.の「Gangsta Gangsta」でもサンプルされ、ストレイト・アウタ・コンプトンでもIce Cubeがデビュー前にクラブでラップしているシーンにて使用されている。Ice Cubeの「Nigga You Love to Hate」でも使用されている。

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