Chance The Rapperの「No Problem」をプロデュースした「Brasstracks」が語る制作秘話

 

 

Writer: Luther, Kaz Skellington

 

Future Brass

2017年のグラミー賞にて、ベスト・ラップ・パフォーマンスを含め3部門を受賞したChance the Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)。彼がグラミー受賞スピーチで「自由」を語ったことはまだ記憶に新しいはずだ。そんなグラミーを受賞した彼の「No Problem」のトラックをプロデュースしたデュオ「Brasstracks」はご存知だろうか?

自身の音楽ジャンルを「フューチャー・ブラス」と称する彼らの音楽性は、非常に斬新なものになっている。本日紹介したいのは、Geniusにて公開されている「Brasstracks」本人たちによる「No Problem」の解説である。

 

➖ Chance the Rapperとの繋がりについて

Brasstracks:僕たちが公開する作品にはいつも「Chance The Rapperとコラボレーションするべきだ!」とか、あるいは「Chance The Rapperみたいなサウンドだね」ってコメントがくるんだ。

だからそれをある日ツイートしてみたら、まさかChance The Rapper本人からリツイートされたんだ。それでフォローされたからそれがきっかけでダイレクト・メッセージを送ってみたんだよ。

 

Chanceとのコラボ以前から、たまたまChanceと近い音楽を作っていたと語る二人。それでは、「No Problem」に関してはどのように考えていたのだろうか?

 

Brasstracks:昔のカニエが聖歌隊のサウンドを多く使ったことから、僕たちも影響を受けて「近いことをやってみたい!」と思うようになったんだ。

ただ聖歌隊をレコーディングするだけ、っていう簡単な問題ではなかったんだけどね。そのようなインストに対するマニピュレーションが大事だったんだと言えるよ。4人のコーラスをレコーディングをして、それをオクターブ上げたり下げたりして、16人に聞こえるようにしたんだ。

このトラックには外部プラグインは一切使ってないんだ。プロデューサーになるにはプラグイン買う必要なんてないんだよ。

 

なんと”No Problem”には既存曲のサンプリングはされていないのだという。実際にレコーディングするにあたってレコーディングを複製し、ビルドアウトを行ったのだと二人は語った。さらになんとドラムトラックはAbletonに予め入っている既存のドラムサンプルであり、ベースは$600のベースを実際に弾いてレコーディングをしたらしい。Anderson .PaakやSteve Lacyの話もそうだが、やはりスキルをもっているアーティストは劣悪な環境でもクオリティの高い作品を作れるようだ。もちろん様々なプラグインを使って音源を彩ったり、理想のミックスに近づけることは重要であるので、何が必要なのかを判断しようということなのだろう。

また実は制作当初の段階では、ChanceはAndre 3000とのコラボレーションも考慮していたらしい。「No Problem」の制作以来、注目されつつあるBrasstracks。彼ら名義の曲もかなりオリジナリティがあり、カッコ良いので是非試聴をオススメする。

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