Chance the Rapperとグラミーのできごとから見る「行動」の美学。行動した1人と業界を変えた4万人のヒップホップファン

 

音楽業界の未来

と言ったらChance the Rapperであろう。Playatunerでは今までに「Chance the Rapperは音楽業界の未来かもしれない」という記事をパート3まで投稿しているが、彼は音楽家だけではなく「活動家」としても世界を変えようと努力をしていると感じる。先日のシカゴの公立小学校への寄付からもそのようなことがわかる。

Chance the Rapperが大学で講義をした内容に音楽業界の未来が詰まっている①

 

業界を変えた1人のヒップホップファン


彼の素晴らしさと言ったら「音楽」というよりは「未来を見せる力」だと感じる。実際の音楽も素晴らしいが、ネットを通して人々に「誰でも世界を変えられるんだ!」というインスピレーションを与えることができるのが彼の一番の魅力であろう。そんな彼に触発され、音楽業界を変えたのがヒップホップファンのMax Krasowitzである。

商業作品ではない作品で、グラミー賞を3部門も受賞したChance the Rapperであるが、彼がこの度初となった。何故彼が初であったのだろうか?実は元々グラミーにノミネートされるには「米国にて販売/流通されている作品」という条件が2016年まであったのだ。確かにクオリティの高いものをフィルターするにはその条件が必要であったのかもしれないが、ネット時代には商業作品ではない素晴らしい作品などは腐るほどある。

そんななか、普通のミックステープアーティストであったら「どうせグラミーにノミネートなんかされないんだ」や「彼らはそういう新しいムーブメントなんかチェックしないから…」と思ってしまうであろう。しかしそんな状況に対して立ち上がった人がMax Krasowitzである。彼は無料の素晴らしいプロジェクトたちがグラミーの機会をもらえないという状況に疑問を感じていた。そんな彼が起こした行動は

インターネットで署名を集める

であった。実際にグラミーがちゃんと見てくれるかはわからないし、何か成果が残せるかもわからない状況でも、自分ができることをやってみる。そんな彼に賛同した4万人以上の署名がグラミーを変えたのだ署名はこちら)。実際にグラミーはその署名を受け、条件を変更したのだ。そして2017年のグラミーにてChance the Rapperは3部門受賞しているのだ。彼の「とにかく行動をしてみる」ことが実を結んだ瞬間であった。彼の勇気ある行動が、今後のインディペンデントアーティストの道を作ったのだ。実際にChance the Rapperもこのプロジェクトに署名をしており、「誰もがChance(機会)を与えられるべきだから」とコメントしている。

change.org

いち音楽ファンとして「行動を起こしたら馬鹿にされそう」とか「必死になっていると笑われそう」という恐れもあっただろう。しかしMaxは自分が正しいと思ったことに対して「行動」をしたことがきっかけで、大きく音楽業界を変えたのだ。我々は彼に感謝をしないといけない。

【祝】Chance the Rapperが3部門グラミー賞を受賞!彼の受賞スピーチを翻訳!「インディペンデント」とは?

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