「グラフィティライターは死なない」スウェーデンのラッパーがグラフィティに捧げる想い

https://www.youtube.com/watch?v=TQrId0aJp2I

 

ヒップホップの4エレメント

DJ、MC、ブレイク、グラフィティということは有名な話しであろう。しかしヒップホップというとDJとMCに注目がいくなか、グラフィティカルチャーをレペゼンしているヒップホップグループがスウェーデンにいるのを知っているだろうか?

彼らの名前は「Looptroop Rockers」。2010年まではLooptroopという名前で活動しており、Promoe、Supreme、Embee、CosM.I.C.からなるヒップホップグループだ。彼らの曲はグラフィティライター/アンダーグランドヒップホップグループとして、警察や政府にたいして自分たちの想いを語っている内容が多い。

この曲では「ベルリンの壁が崩壊された後も、ヨーロッパは格差の壁をつくった」という内容をラップしており、第2次世界大戦後のヨーロッパの現状を語っている。戦争が終わった後も、西ヨーロッパの裕福な国と、ベラルーシやウクライナのような国を別け続けているのを問題視しているのだ。彼らはヨーロッパのアーティストならではの問題定義をしているのだ。

そんなLooptroopのなかでも一番精力的に活動しているのがラッパーの「Promoe」である。彼の曲に「These Walls Don’t Lie」という曲があるのだが、グラフィティアートへの想いが詰まっているので紹介したい。(先週のPlayatuner – Da Bounce1に取り上げたので是非聞いてみてほしい)

 

グラフィティライターは死なない


 

These Walls Don’t Lie(壁は嘘をつかない)」という題名からもわかるように、この曲ほどグラフィティへの想いが詰まっている曲はないだろう。

この曲には一人のグラフィティライターの人生が語られている。彼の名前は通称「Bingo」。BingoはLooptroopの大ファンであり、グラフィティを通して彼らの音楽を広めていた。Looptroopと同じくスウェーデン出身の彼は、頻繁にファンレターや彼のグラフィティアートを送っていたという。

グラフィティアートは深夜に高所にて作業したり、時には危険が伴うときがある。Bingoの存在を知っていたPromoeはある日、とある知らせを受けたのだ。それが「Bingoがグラフィティ中に電車にはねられた」という悲報であった。Promoeはその知らせを受け、Bingoをはじめ、亡くなったライターたちへのトリビュートソングとしてこの曲を作ったのだ。

 

Deep into the music and his art man, his true love
Didn’t even notice when the train pulled up
And before the bloodstains faded or the engine cooled off
That very same train hit another writer: Olaf
愛するあまり、音楽とアートに深く入りこみ
電車が近づいたことに気が付かなかった
電車のエンジンが止まるまえに、また一人のグラフィティライターが亡くなった。

Fearin’ no evil, people said we had no morals
That’s fine, their corrupt world it really wasn’t for us
悪を恐れることはしなかった、人々は俺らのことを「モラルのない奴ら」と言った
それでもいい、この汚職まみれの世界は俺らの居場所じゃなかった。

 

この愛するカルチャーが自分たちの居場所となったこと、さらに音楽とアートに集中しすぎて周りの危険が見えなくなってしまう人がいることを語った。さらにこれは彼の「ラブソング」だと語る。危険もあるが、このカルチャーへの愛はなくならない。

 

Hated us, we hated them and both sides found out what a war is
We were winning in the beginning then found out ‘bout the horrors
Don’t get me wrong my love a hundred percent, no less
And peace to my people, we grow with the knowledge
世界は俺らを憎み、俺らも彼らも憎み、戦争というものを知った。
最初は勝っていると思っていたが、恐ろしさも知った。
でも勘違いしないでほしい、俺はまだカルチャーを100%愛している。
知識とともに成長するんだ。

To cats from South Africa, writers from New York
Australia, Spain, France and Germany, up north
Still the same rapper tellin’ cops to fuck off
And all my writers: Survive! This my love song to y’all
南アフリカ、ニューヨーク、オーストラリア、スペイン、ドイツ
俺は昔と同じように、警察に「失せろ」と言うようなラッパーだ。
そして世界中のグラフィティライターたちよ、生き残れ!これはお前らへのラブソングだ。

グラフィティライターは死なない。

この壁は嘘をつかないからだ。

この曲には、大人になったLooptroopとPromoeのグラフィティへの想いが詰まっている。若いときは「法律と警察はFuckだ」としか語っていなかったかもしれないが、さまざまな悲しさを乗り越えた彼の言葉はさらに重みを増している。カルチャーを愛しているからこそ、ライターたちに生き残り、カルチャーを伝え続けてほしいという想いが込められているのだろう。