Thundercat「ケンドリックは音楽を”視る”ことができる」彼が語るケンドリックと他のラッパーとの違いとは?

 

To Pimp a Butterfly

は時代を象徴する作品であった。2010年代にリリースされた作品のなかで最も美しい作品であると感じる。そんなTPABのサウンド面に大きく貢献をしたミュージシャンがThundercatである。Playatunerでは頻繁にThundercatの面白エピソードを紹介しているが、昨日公開された彼のインタビューが非常に面白いので紹介をしたいと感じる。(ケンドリックのDAMN.ラストトラック「DUCKWORTH.」の解説はこちら

① サンダーキャットがケンドリックについて語る

 

Thundercat: 彼は最低限の言葉で言うと最高だよ。なるべく彼とは話すようにしていて、今でも彼とは毎日話すよ。今でも2人であのアルバムがきっかけで、どう人生が変わったかに驚いたりするんだ。 彼と一緒に作業するのは俺の人生において必要なことだったんだ。

インタビュアー:最初はケンドリックがあなたのアイディアを受け入れてくれるかとうかが不安だったって話を聞いたので、必要なことだったというのはとても興味深い捉え方だと思いました。 なんで最初はそう思ったのですか?

Thundercat: これは俺の経験上での話なんだけど、ラッパーの多くは「自分たちの世界」に生きてると感じるんだ。だから外部の人たちがいることを快く思わない人も多い。 まぁラップというものそのものが、必要以上に自分のことを話すことを手法としているのかもしれない。だからこそ自分たち以外にはいない/いらない、という考えをもった人たちも多いのかも。

 

ラッパーが「自分たちの世界」で生きている人が多いと語るThundercat。彼は以前「ラッパーのジレンマ」について語っており、「ラッパーも音楽で会話できる」とインタビューで話している。しかしやはり「音楽家」として活動していない「ラッパー」もやはり多いのであろう。ミュージシャンとしてラッパーたちとコラボしてきた彼だから理解できる感覚なのかもしれない。さらに彼はこのように語る。

 

Thundercat: 俺は何よりも先にミュージシャンであるから、自分が作ったものがパズルの破片のように、他の人たちとの創作物とフィットする必要があるんだ。だから俺はクリエイティブプロセスの中にいるのは自分だけじゃないということを理解している。 それにも関わらず、例えば「必要なものをゲットしたらもう連絡もしない」という一方的な人もいるんだ。そういう経験を何回もしてるから、そういうものだと思っていたんだ。

でもケンドリックは何かあるたびに毎回アップデートしてくれるし、さらに必要なものがあればそれも要求してくれる。俺は他の人に何かを頼むのが苦手なんだけど、別にアルバムを作ってない時でも曲を作ったら彼に送るし、何か新しいアイディアがあったらまず彼に連絡するんだ。

インタビュアー:あなたのような演奏スキルを持ったミュージシャンは基本的に自分と同じレベルの演奏をできるミュージシャンとコラボをすることが多いと思うのですが、あなたはもっと深いところまで見てると感じます。あなたがコラボする相手のなかに見てるものはなんですか?

Thundercat: 俺はただ「彼らが自分たちでやっていることへの単純な愛や想い」を見てるんだと思う。ハイプされていることだからとか、ポピュラーだからという考えでコラボをやることはないかな。 基本的に面白いアイディアとか、誰も旗をあげてない分野をやろうってことが好きなんだ。

ケンドリックとは「俺が全部作業をやって、相手が待つ」みたいな一方的なコラボじゃないのが素晴らしいんだ。そのセッションという「布」の「糸」となるようなものだ。 そして彼は初めて会った時からパーソナリティ的な面では一切変わっておらず、ずっと同じケンドリックなんだ。

 

ケンドリックは典型的なラッパーと違い「ミュージシャン」としてクリエイティブプロセスに参加し、一方的ではないと語る。セッションが布だとしたらケンドリックは「糸」でクリエイティブを紡ぐのだ。さらにケンドリックの作品が何故素晴らしいかを語った。

 

Thundercat: 彼が世間から賞賛をされる度に、本当に彼はその人物像通りだから理解できる。彼の作品は物凄く「重量」があるけど、同時に「羽」のように軽いんだ。片方から見ると政治的であり、もう片方から見るとブラックであることの経験であり、違う方向から見ると全員の経験が含まれている。彼がラップしていることは全員が経験したことではないかも知れないが、「自分」を感じると同時に「彼」と共鳴できるような「人々の音楽」「全員の音楽」なんだ。

ここ数年間人々が彼に感じているものはそれだと思う。彼は単なるラッパーではなく音楽を”視る”ことができるんだ。

 

ケンドリックの凄味とは「ケンドリック」という存在の全てに、別人格のような視点が含まれていることだと私は感じる(これに関してはまた後日詳しく書きたい)。Thundercatが語る「自分を感じると同時に彼と共鳴できる」ということは、そのようなことだと感じる。ケンドリックは間違いなくこの時代の最もな偉大なアーティストの1人であり、現代でもシェイクスピアの文学が研究されているように、未来でもケンドリックの作品が研究されると感じる。このインタビューの後半にある「涙を笑い飛ばす」という箇所もとても興味深かったのでパート②で紹介したいと感じる。(パート②は更新されたこちらにリンクします。)

ケンドリック・ラマーにとって成功とは?若者の命を救うミッションにコミットする彼の理念

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