Jay-Zの4:44がリリース5日でプラチナ認定される。そのからくりと理由とは?

 

 

Jay-Zの4:44

のリリース方法に対して批判が集まっている。Tidal限定でリリースされた彼の新アルバムは、Tidalユーザー以外は聞くことができなく、日本からは登録もできないようになっている。Playatunerの一聴レビューはこちら。

【ネタバレ】Tidal限定のJay-Zの新アルバム「4:44」を一回聞いて感じたことの全て【一聴レビュー】

 

そんな4:44であるが、なんとリリース5日でプラチナ認定(100万枚相当)されたとのニュースが入ってきた。これがどれだけ異常に早いのか?例えばケンドリック・ラマーのDAMN.は今年で最も売れたヒップホップであるが、プラチナ認定されるまでに1ヶ月かかっている。ちなみにエミネムのMarshall Mathers LPは1週間で180万枚近く売れているが、この時代に5日間で100万枚相当のTidal限定ストリーミングは、どう考えても異常である。

しかしこれにはからくりがあるのだ。以前Jay-ZのMagna Carta Holy Grailをリリースした際に、1ヶ月以内にプラチナ認定になった。サムスンユーザーに無料で配信されたこのアルバムであったが、米DJBoothによると、サムスンが100万枚相当のデジタルアルバムを購入したので、実質的にはリリースされた日にプラチナになったと換算されているらしい。

そして今回も同じパターンである。Tidalの株を33%持っているスプリントが4:44を100万枚相当のデジタルセールズを購入しているらしく、RIAAの代理もそのように認めている。そのため、今作もリリースされた瞬間にプラチナ認定されているようなものである。

 

この件に関しては、そもそも認定のレギュレーション的にも、認定の価値的にも様々な議論が行われている。冷静になって考えてみれば、CDのリリース日に自分で100万枚のCDを買うこととあまり変わらないのかも知れないが、今までのアーティストの功績や記録を全部ぶっちぎってしまう、いわゆる「ドーピング」であることには変わらないであろう。

Jay-Zがサムスン、Tidalと引き続きスポンサー型のアルバムをリリースした理由がなんとなく見えてくる。今回のプラチナ認定はJayにとって13枚目のプラチナ・アルバムである。そして彼のアルバムは全部プラチナ認定されている。彼は「全アルバムがプラチナ認定されている」という状態を保つために、確実にプラチナ認定されるパートナーシップを組み、リリースしているのではないだろうか?もしかしたら全アルバムがプラチナ認定という肩書きを持って引退したいのかもしれない。

私は「アーティストはやりたいことを、自由にやるべき」という理念を持っている。なのでJay-Zのリリース方法に対しては文句はない(早く聞かせてくれよという気持ちもあるが)。むしろアーティスト本人が考え抜いて出したリリースの方法や工夫も、作品の一部だと感じている。今回のリリース方法は批判されているが、実質Wu-Tangが世界に一枚だけのアルバムを1人に高額で売ったのと同じような構造であると感じる。そのため4:44に関しても、フィジカルでリリースされるまで日本では聞けないという状況に、むしろ少しワクワクしていた。毎週日曜日に郵便受けに投函されるターゲット(アメリカの割りとなんでも売っている店)のチラシを見て、CDがリリースされるのを楽しみにしていた小学校時代を思い出した。

しかし!

これがリリース方法の工夫ではなく、「数字」を確実にあげ、ハリボテのプラチナ認定をゲットするための方法だとしたら、やはり100%賛同はできない。理由は理解できるし、彼の気持ちも察するが、このようなプラチナ認定は「音楽」や「作品」という本質から外れた「認定」となってしまうのではないだろうか。そもそも「認定」とはなんのためにあるのか?そこについて議論をし直す必要があるのかもしれない。4:44が素晴らしい作品であることは変わらないので、なおさら認定の意味について考えたくなる。

ビルボードトップ50に入らずにゴールド認定されたRuss。彼の活動から音楽業界の変換を考察する。

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