日本の音楽ファンが知らないであろうアーティストを紹介する企画⑤ レトロなシンセ音からヒントを受ける【Yum Yuck】

 

 

インディーズアーティスト

は音楽において重要なファクターである。ミックステープ文化からバトルからローカルなタレントまで、近年の音楽文化は常にDIY/インディーズ精神と共に成長してきたジャンルである。そんなまだアンダーグランドだが、これから花が咲くであろうアーティストをどうにかサポートできないか?という想いからこの企画を始めさせて頂いた。例えば私がAnderson .Paakをはじめて聞いたのは2011年であり、Dumbfoundeadの曲にBreezy Lovejoy名義で参加している時であった。このように水面下にいるが、数年後は表に出てくるかもしれないアーティストを紹介したいと思う。

最近この企画ではヒップホップ以外の紹介が多いのだが、それにはとある理由がある。それは「ヒップホップにイノベーティブなサウンドを持ち込むことはできないだろうか?」という疑問からはじまった考えである。Dr. Dreが「The Chronic」にて、今までと全く違うサウンドのヒップホップをゲームに持ち込んだように、今までヒップホップになかった要素を混ぜ込み、正しく調合するアーティストが出てくるのを楽しみにしているのだ。そのため新しい形のヒップホップを調合するヒントになるものを毎日探している。そんな「ヒント」にもなりそうな「イノベーティブなサウンドをやっているが、まだ水面下いるアーティスト」を紹介をしたい。もちろん回によってはヒップホップアーティストもちゃんと紹介するので、「ちゃんとヒップホップについて書けよ!」と心配する必要はない。

 

Yum Yuck


 

正直私はこの「Yum Yuck」というアーティストがどのような人物なのかを知らない。南アフリカのケープタウン出身のアーティストらしく、楽曲も上記以外はまだリリースをしていないようだ。YouTubeを調べた結果、どうやら日本でも有名なフランスのファッションレーベル「Kitsuné」と関係があるアーティストであることがわかる。以前からPlayatunerで推しており、メンバーがThundercatに楽曲提供したり、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのオープニングアクトをやっていたりするLAのエレクトロジャズファンクバンド「KNOWER」と同じマネージメントらしく、その繋がりで今回Yum Yuckを知ることになった。

 

ヒップホップへの可能性

Yum Yuckの楽曲はもしかしたらヒップホップファンの耳にはあまり合わない可能性もあるが、私は彼の楽曲を聞いたときに注目したことがあった。それはシンセの使い方である。正直私は彼のボーカルではなくトラックに注目しているのだが、このシンセの音色は近年の音楽シーンを語る上では欠かせないものであろう。P-Funkが作ったとも言えるファンキーなシンセサウンドの世界が、ここ数年で一気に再度表に出てきているのだ。

フューチャー・ソウルからモダンファンクのように、過去を学び、進化し続けている現代のブラックミュージックの導線を見るためには欠かせないサウンドでもある。ハウス、ファンク、ソウルなどの音楽を調合をし、新しいブラックミュージックを作っているムーブメントである。そのような意味で、ヒップホップ界隈でそのムーブメントに最も近い雰囲気のことをやっているラッパーがGoldLinkかもしれない。ヒップホップ界ではMac MillerやAnderson .PaakがPomoというプロデューサーとリンクアップしたり、Kaytranadaのようなアーティストがムーブメントに参加しているが、基本的にヒップホップ界ではトラップ方面のムーブメントのほうが目立つであろう。

そんななか、もしかしたらこのレトロでWavyなシンセ+ダブのようなリズムをもったトラックがヒップホップに新しい要素を持ち込むヒントになるかもしれないと感じた。もしかしたら私の知らないところで既にそのようなアーティストがいるのかも知れないが、今後楽しみに耳を立ててみようと思う。

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