MigosのOffset「近年のラッパーたちは全員Migosみたいなフローでラップする」フローはどう変化していくのだろうか?

 

 

ラッパーの評価基準

にはどのような要素が含まれているのだろうか?ラップにおける基本のエレメントは「リリック、フロー、デリバリー」の3つから出来ていると一般的に言われている。上記の3つであれば、ライムはリリックのなかに含まれるのだろう。しかし近年はラップの評価基準が変わってきていると感じる。むしろラッパーの「ラップ」をそのように評価することが少くなってきていると感じる。

そこで思い出すのがSnoop Doggの「近年のラッパーは皆同じようにラップする」という言葉である。

【Uncle Snoop】スヌープ・ドッグ「近年のラッパーは皆同じようにラップする」。ラップゲームで生き残る方法とは?

彼は「近年のラッパーは皆三連符でラップをする。多分MigosかFutureのどちらかがはじめたスタイルなのかもしれない」と語っており、近年のラッパーが上記アーティストに非常に影響されていることと発言をした。スヌープの近年のラッパーたちのモノマネが面白いので、是非上記の記事もチェックしてほしい。そんな「三連符スタイル」を広めたとされているMigosであるが、本人たちはどう感じているのだろうか?MigosのOffsetは2016年にこのように語っている。

 

DJ Vlad:皆がMigosのようにラップしてるってことについてどう思いますか?

Offset:皆Migosのスタイルでラップしているよ。みーんなだ。俺はMigosのおかげで皆が生きてると思ってるよ。もし俺らが有名にならなかったら、俺らと似たスタイルでやってるやつらは表に出てないだろう。適当にアーティストを選んで、彼らの2013年の曲と2016年の曲を聴き比べてみな?そして俺らの2013年の曲と2016年の曲も聴き比べてみな?そしたらわかるだろう。

DJ Vlad:Migosのスタイルがヒップホップを変えたと思ってますか?

Offset:完全に変えたよ。その称号はゲットしたね。サビ、ヴァース、メロディ、アドリブ、全部俺らが新しく持ち込んだものだ。クリエイターは過小評価されがちだけど、別に怒ってはないよ。金もゲットしてるからね。

 

実際にMigosは「自分たちのスタイル」である自負はあるらしい。近年の三連符フロー、そしてアドリブの入れ方はまさに彼らのスタイルと言っても過言ではないのかもしれない。ここで感じるのは、一昔前のヒップホップでは、このような「同じようなフローが増える」ことはあったのだろうか?

ヒップホップは今までは、似たようなスタイルをやることが「バイト(スタイルをパクる)」とされており、それは最高に「イケてないこと」だと考えられてきた。例えばLil Zaneが2Pacのフローを「バイト」していたときは、それが原因でバッシングされていたのを覚えている。Ja Ruleが2Pacのスタイルを真似ていたときも、エミネムとD12がそのことをテーマに曲を作ったこともあった。フローが特徴的なラッパーたちは常に「バイト」の対象になっていた。その時代の変換としては、2000年代に入り、Ludacrisなどのサウスのラッパーがメインストリームで大ヒットをするようになり、かなりフローをキャッチーにしたラッパーも多かったのかもしれないと感じた。そのような意味ではLil Wayneの現代への影響はとてつもなく大きいだろう。

そう考えると現代のヒップホップシーンは、「ラップ」の精神性的な面も以前と比べて相当変わったと感じる。元々は「皆がノレて歌えるもの」という特徴があったラップであるが、徐々にリリカルになり、難解になっていった。そして難解になったラップはトラップの流れとともに簡略化されるようになった。今後ラップのスタイルがどのように変化していくのかは楽しみである。この辺は下記の記事がオススメである。

【ラップの矛盾?】ヒップホップはリリカルであるべきなのか?時代を追って考える

ライター紹介:渡邉航光(Kaz Skellington):カリフォルニア州OC育ちのラッパー兼Playatunerの代表。umber session tribeのMCとしても活動をしている。

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