6lackから学ぶ、時間をかけて音楽キャリアを形成するということ。「音楽でお金を稼げるようになるまで8年かかった」
アーティストとしてキャリアを積む
ということは、簡単なことではない。自分の表現を世に提示し、それが評価され生活できるようになるまでに、多くの人が挫折をする。そして気がついたら自分の表現に背を向けて生きている自分に気がついて、アーティストであることを辞めてしまう人も多い。インターネット時代では、一晩にして爆発的に知名度が上がるような人がいるのも確かであるが、そのような事例を鵜呑みにするのは非常に危険である。この件に関してはRapsodyと9th Wonderが非常に良く語ってくれているので、是非こちらを読んでほしい。
そんななか、同じようなことを語ったのが6lack(ブラック)である。以前彼がデビューした際にPlayatunerでも紹介記事を書いたが、彼ははたから見たら「急にデビューして有名になった人」だと思われているだろう。しかし彼はポッと出のアーティストではない。彼はこのようにツイートしている。
it took me 8 years to see any kind of real money, and I’d do it all over again because it ain’t about “if” it’s about #when
— bear (@6LACK) 2017年10月18日
音楽でちゃんとしたお金を稼げるようになるまでに8年かかった。(またその期間を繰り返すか?と聞かれたら)俺はまたその期間を繰り返すだろう。なぜなら成功は「もし◯◯になれたら」という話ではなく、時間の問題だからだ。
sacrifices are real. u lose money/friends/moments & you’ll push ur body & it’s health to new limits. but if u love it, go for it. one life.
— bear (@6LACK) 2017年10月18日
生活を「犠牲」にするというのは本当だ。お金/友達/モーメントを失うし、自分の健康や体の限界も突破する。でももしその活動が本当に好きなのであれば、やってみるべき。人生は一度しかないから。
もしこれが一瞬でシーンに出てきた人のツイートだとしたら「うんうん」という程度にしか賛同しないが、彼は水面下の音楽活動にて苦労をしてきた人である。自分のアーティスト性を理解してくれないレーベルと契約し、全く納得できない形で5年間「ヒットソングを作り続けろ」と命令されてきた経験を持っているのだ。その間も特にヒットはしていないので、経済的にも、「自分が好きなことをやるためにリスクを追っているのに、やらせてもらえない」というフラストレーション的にも、精神的にすり減ることが多かったのであろう。
しかし彼はそのレーベルから解放された後、「ヒット曲」ではなく、自分が信じている曲を作るようになり、LVRNと契約し彼にとってもの「ヒット曲」を作ることができたのである。その年月と様々なものを犠牲にしたからこそ、彼はハリボテではないスキルを得ることができたと言っても過言ではない。
上記で貼った記事でもRapsodyが9th Wonderに「最初は何も起こらない。一般的に知られるようになるのは7〜8年後だ」と言われたと語っている。
「有名」になる?
もちろんフィジェットスピナーについてラップした子供や、テレビでカウンセラーに暴言を吐いたティーンエイジャーが一晩で有名になっている事例もある。しかし「有名」になることが目的なのか、アーティストとして大きなインパクトを残すのが目的なのかを考えたとき、このような事例はあまり業界的にも良い選択とは言えないだろう。目先の話題とお金のために、音楽ファンの業界にたいするロイヤルティを下げているだけのようにも思える。
そんな「長年の努力と辛抱」のなか、6lackが音楽における成功を「もし」ではなく、「When:時間の問題」だと語っている。この話を聞いて、私が思い出したことがある。それは超偉大なプロデューサーQuincy Jonesが言っていたことだ。彼は以前紹介した「小さい頃はギャングスターになりたかった」という記事にてこのように語っている。
音楽やっている人は全員偉大だ。成功するかしてないか、それだけの話なんだ。自分の才能を知っていれば、「自分は今はまだ成功していないだけだな」ってわかるだろう
努力が絶対に報われるかは正直わからないし、努力の仕方を間違えれば全く報われない場合も多い。しかし単なる「頑張り」ではなく「グラインド」は、確実に自分のためになるであろう。自分の「グラインド」を信じて、10年間孤独に耐えながら活動し続けるのか、「自分はもういいかな」と感じて辞めるのか、そこに人生の分かれ目があるのかもしれない。
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