【J-Wave】Playatuner代表がナビゲーターを務めるラジオ番組「Booze House」Vol.2まとめ「OutKastから始まるアトランタの台頭と分岐」 #Booze813 #Jwave

 

 

J-Wave × Playatuner

10月からJ-Wave にて、Playatuner代表Kaz Skellingtonがナビゲーターを務める新番組「Booze House」が始まった。毎週木曜日26:00〜の30分間となっており、ブラックミュージックをはじめとする洋楽を掘り下げる番組となっている。

この番組ではJ-Waveとタッグを組み、番組で話した内容のリキャップをPlayatunerにて記事化していく予定だ。また、番組情報を発信していくツイッターアカウントは下記となっている。

「Vol1. 自己紹介」のまとめはこちらから

 

Vol.2 OutKastから始まるアトランタの台頭と分岐

ヒップホップにおいて地域というものは非常に重要だ。元々1970年代にNYサウスブロンクスにてはじまったヒップホップだが、その後全国に広がり、様々なアーティストが色んなスタイルでヒップホップを成長させていった。そのなかでも、現在のシーンにおいてジョージア州のアトランタは外せない場所となっている。いわゆるサウスと呼ばれるこの場所であるが、現在はFuture、Migos、21 Savage、2Chainzなどのトラップ・ミュージックをイメージする人が多いように、常に最前線を走っている重要な土地だ。

そんななかで、アトランタという土地を世に広め、後に出てくるアーティストのために道を作ったアーティストがOutKastなのではないか、と語る。第二回はそんなOutKastのカムアップを紹介しつつ、多くの人が知っているであろうトラップとはまた違うベクトルでOutKastのDNAを受け継ぎ進化したアーティストたちとムーブメントを紹介した回となった。30分ではどうしても説明が雑になってしまう部分もあったが、ざっと下記ような内容を語った。

OutKast以前のアトランタのヒップホップというと、80年代にベース・ミュージックのようなものがあったり、1992年にはArrested Developementが「Tenesee」グラミー受賞したり、Kriss Krossが「Jump」で大ヒットをしたり、UGKなどのヒップホップ・アーティストもいた。さらに1980年代後半にはLA ReidとBabyfaceが、La Face Recordsをアトランタにて設立する。La Face Recordsは後にTLC、Toni Braxton、Ciara、そしてOutKastも所属するようになる重要なレーベルになる。

 

OutKastとDungeon Familyのカムアップ

1994年にOutKastがデビューアルバム「Southernplayalisticcadillacmuzik」をリリースするが、彼らのデビューまでの道のりが結構面白く、個人的にも非常に気に入っているエピソードと紹介した。OutKastのメンバー、Andre 3000とBig Boiは同じ高校で、学校で最もラップが上手い二人としてライバル同士であったのだ。放送では、彼らがOutKastを組み、「ダンジョンファミリー」に所属することになったきっかけ、そしてどのようにしてレーベルLa Face Recordsと契約するに至ったかを説明した。

さらに彼らの1stシングル「Player’s Ball」の制作秘話も説明し、いかにOutKastが「フッド・クリスマス・アンセム」を作ったかを語った。この内容は詳しく下記の記事でカバーされているので、オススメである。

【Andre 3000生い立ち】伝説のヒップホップデュオ「OutKast」を読み解く〜第1章Andre 3000生い立ち編

【Big Boi生い立ち】伝説のヒップホップデュオ「OutKast」を読み解く〜第2章Big Boi生い立ち編

【OutKastデビュー編】伝説のヒップホップデュオ「OutKast」を読み解く 〜第3章まるで少年漫画のようなデビュー編

 

この曲が収録されている「Southernplayalisticcadillacmuzik」は1995年のThe Source Awardsでベストニューアーティストを受賞する。そのとき西海岸/東海岸どちらのアーティストが受賞するかという緊張感があったが、西でも東でもないサウスのOutKastが受賞したのだ。会場にはブーイングが起こったわけであるが、Andreがステージで発言したことがその後の歴史を動かした。Andre 3000が受賞スピーチとして、下記の発言をしたのだ。

 

Andre 3000: まずは神に感謝したい。でも俺は「狭い心を持ったやつら」に嫌気がさしてるんだ。デモ音源も持っていても(出身地が原因で)誰も聞いてくれない。ただ、俺が言いたいことはこれだけだ。

「サウスが言いたいことがあるから聞いとけよ。」

 

その後、Killer Mikeがこの映像を見たときに感じたことを語っており、彼の発言にアトランタのイノベーションが現れていると語る。

 

Killer Mike: NYのヒップホップに憧れ、真似事をするのではなく、切り離して「自分たちしかできないことをやる」というマインドセットを作ってくれたんだ。NYに認められるためにやるのではなく、自分のスタイルを「見せつけてやる」という気持ちだ。

 

このAndreの発言については、こちらの記事にまとめてあるので、要チェックである。

サウスがヒップホップ界に存在を示した日。東と西がメインであった時代に切り込んだ2人組

(ダンジョンファミリーが2001年にリリースしたアルバム「Even in Darkness」から)

 

その後、90年代中盤〜2000年代にはJermaine DupriのSo So Defも大きな役割を担った。 Da Brat、Jagged Edge、Xscape、Dem Franchise Boyzなどが所属しており、アトランタのシーンを作っていく要因となった。

2000年代にはLudacrisも出てきたことにより、「Dirty South」というフレーズがより広まる。俳優としても成功している彼は、イリノイ生まれだが、かなりアトランタを代表しており、最初の5枚は全てプラチナ認定、4枚がビルボード200で1位を獲得、グラミー賞は3回受賞という快挙を成し遂げている。OutKast並に「Dirty South」というフレーズを世に広めたアーティストであろう。2000年代にはLil Jonと「Crunk」というジャンルがポピュラーとなり、トラップが世に出る土台を作ったと考えられている。

(ダンジョンファミリーのOrganized NoizeがプロデュースしたLudacrisの曲)

 

 

後はT.I.やYoung Jeezyがトラップというジャンルを広めていく。「Trap」という言葉が、音楽として最初に使われたのは恐らくダンジョンファミリー内だと推測することができる。実際にはOutKastの曲でも頻繁にTrapという言葉は使われていた。Future、Migos、21 Savage、Gucci Maneもちろんサウンドもポピュラーなものとなったが、今もその「トラップ」を体現しラップしているアーティストが最先端にいる。

 

分岐

アトランタ=トラップということは、恐らく大体のヒップホップファンが知っているということで、この後はメインストリームメディアにはなかなか取り上げられない、OutKastの影響をかなり受けつつも、トラップとは少し違うベクトルで進化したアトランタのヒップホップを紹介した。トラップとは別ベクトルの最先端にいる「アトランタ/サウスのヒップホップ」として彼は、Spillage Villageというクルーを紹介した。

Spillage VillageはJ.I.D.、Earthgang、Hollywood JBなどが所属するクルーであり、彼らはリリシズムだけではなく、アトランタの最大の強みでもあるダーティサウスの風味、メロディアスだけどハードなビート、盛り上がれるけど少し怪しい雰囲気といったダンジョンファミリーの要素に直接影響されているのがわかる。

 

この「アトランタっぽい」というサウンドが別方向で複数あるのが、今後もこの土地の強みとなるのだろう。実はLil YachtyもOutKastに最も影響されてると明かしている。

Spillage Villageが世に出るに当たって、重要な役割を担っているのがJ. Coleである。J. Coleはノースカロライナ州出身であるが、アトランタのJ.I.D.とEarthgangを自身のレーベルに招き入れており、Spillage Villageを世に出すことに注力をしている。そんな彼が参加したSpillage Villageの曲がこちら。

 

こちらの曲はDJ Khaledの「Major Keys」にインタールードとして収録されているが、Spillage Villageの曲である。アトランタサウンドの豊富さを考えると、今後も最先端に居続けることが予想できる。

J. Coleのレーベルが新しく契約したデュオ「Earthgang」を紹介。アウトキャストを彷彿とさせるアトランタスタイル

 

感想

最後に「OutKastから始まるアトランタの台頭と分岐」というテーマについて、このような感想/結論を語った。

 

Kaz:その土地にて音楽カルチャーが発展するには、レーベルが実際に開拓していくことが重要なんだな、と思いました。◯◯出身というアーティストは多いけど、それだけではなく、そこで実際にレーベルが立ち上がり「業界/経済圏」を作ること、そしてレーベル/業界が内部に入り、サウンドに責任を持ってシーンを育てていくことが重要なんだと感じました。

 

10月18日放送のVol.3のテーマは「エミネムのリリックと居場所」!要チェック!

また、Vol. 2はRadikoのタイムフリーでも聞くことができるので、まだ聞いていない方は是非チェックして頂けると幸いです。メッセージはこちらのサイトの「Message」から、またはTwitterにて#Booze813をつけて投稿してください。

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