Joey Bada$$の「1999」17歳のリリシストが私たちに見せてくれた未来と希望

 

 

活躍するティーンネイジャー

はどの業界にもいる。そのような若くして素晴らしいスキルを持っている者たちは、常に業界の「光」として期待されてきた。私がJoey Bada$$をはじめて聞いたときも、彼に対して「光」を見た。「Survival Tactics」をリリースした当時の彼は17歳になったばかりであったが、彼の示す「将来」を楽しみにさせるようなポテンシャルを持っていた。

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そんな彼が17歳の頃にリリースした1stミックステープが「1999」だ。2012年6月12日にリリースされたこの作品はFreddie Joachim、Chuck Strangers、Lewis Parker、Lord Finesse、MF Doom、J Dillaなどのビートが収録されており、Joey Bada$$は90sヒップホップを正統伝承した「新世代のMC」としてヒップホップ界に羽ばたいたのである。

元々彼は2010年にYouTubeにフリースタイル動画をアップし、それがWorldStarHipHopにシェアされたことがきっかけで、現マネージャーであり、Cinematic Music Group代表のJonny Shipesに発掘されたのである。そこから故Capital Steezとの楽曲「Survival Tactics」をリリースし、MTVなどにもフィーチャーされた。「1999」に収録されている曲はどれもかっこいいが、私が特に何度も聞きまくったのが「Waves」であった。

私は毎朝通学/通勤をしながらこの曲を聞いていたのだが、彼はまさに「未来」と「希望」を見せてくれたと感じる。彼の言葉を脳裏に染み込ませつつ、リリックを口ずさみながら玄関を出て行っていたあの感覚を、今でもこの曲を聞くと思い出す。特に下記のフレーズを口ずさみながら歩いていると、自然と前向きになれたのだ。

 

Momma told me follow dreams, should never have to ask her, to
So that’s what I do, became an MC master
母さんは「夢を追え」と言ったから、彼女に確認する必要はなかった
だから俺はそうした。MCマスターになった。

Hope one day I’ll attract the likes of even Madlib
Go gold on mad shit and hear my songs mastered
Until then, all I can do is imagine
Imagine
I’mma make it all happen
いつか俺はMadlibのような人を惹き付けるようになるんだ。
ゴールド認定もされたい。マスタリングされた自分の曲を聞くんだ。
それまでは想像するしかできない。
想像をし続けるんだ。俺は全部実現させる。

 

この「想像するんだ」という箇所は楽曲の最後になるのだが、最後に「自分が成功をしている想像をする、そして実現させる」というフレーズで締めているのが、とても希望に満ち溢れたティーンネイジャーっぽさがあって素晴らしいと感じる。年を重ねるにつれ、10代の頃には感じていた「漠然とした希望」を感じなくなる。しかしこの曲を聞く度に、「あぁ最近自信がなくなっていたな。でもまだ行ける。」と思わせてくれるのだ。自分の生き方に納得がいかなかったときも、毎朝この曲を口ずさみ「想像」をしていた。

さらに楽曲の途中に出てくる「世の中には”リアル”な人が必要なんだ。100%の自分をさらけだし、音楽と一緒に成長をする」という2Pacのインタビューもあり、最後の「全部実現させる」というフレーズに向けてのビルドアップも心に染みる。彼の「若さ」がヒップホップ業界だけではなく、生活レベルで「希望」を教えてくれたのである

Joey Bada$$の「俺は2Pacより上手い」発言を徹底的に掘り下げる。彼の意図とは?

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