OutKastのBig BoiとAndre 3000から見る「コンビ愛」。コインの裏表のような関係性
偉大なヒップホップデュオ
OutKastについてはPlayatunerにて頻繁に書いてきた。私が個人的にも大ファンというのもあるが、彼らがヒップホップ業界にもたらした影響は計り知れない。もちろんMCとしてのスキルもそうではあるが、彼らは常に「箱」からはみ出ることを恐れなかった2人である。そんなOutKastであるが、Big Boiは今でも頻繁にソロアルバムをリリースし続けている。逆にAndreに関しては、音楽をやる気力を失ってしまったという内容を語っており、その件についてはPlayatunerにて記事を書いた。
上記では、Andreが「アーティスト/エンターテイナーとして何を目標に生きていけばいいのかわからない」という精神状態になっていることや、「年をとったらラップができない」という彼の意見について書いた。クリエイティブのサイクルが非常に速い彼にとって、「作っていても興奮しなくなってきた」という感情は致命的であり、今後彼がソロアルバムやOutKastの新作を作る可能性の低さも見受けられた。
特に前回の記事で目立った台詞が、Big Boiについての発言である。彼は「Big Boiのほうがラップが上手いし、いつもBig Boiがリーダーとして人々を引っ張ってきた。彼は学校でも非常に優秀で、若くして家庭をもっていた。もしあなたがラップバトルをやったとしてパートナーを選ぶとしたら、Big Boiを選ぶだろう。」と語ったのだ。OutKastの復活を望んでいるファンが多いなか、相方のBig BoiはAndreのこの発言やOutKastの復活についてどのように考えているのだろうか?myAJCにて彼はこのように語った。
OutKast:俺はAndreの準備ができたら、いつでも復活させる。俺は常に準備ができている。彼は現在は違うことにフォーカスしているし、「ブラザー」としてお互いそれをリスペクトしている。今でも2日に1回ぐらいのペースで連絡を取り合っている。彼は俺のブラザーだ。俺らはやるべき音楽を全てやった。最も名誉がある賞もとったし、最も売れたアルバムも作った。俺らは17歳のときからやっているわけだし、彼に少し休息を与えてくれ。
彼はAndreの準備ができたら、いつでも復活させる準備が整っていると語った。Andreは今音楽以外のことを追い求め生きているが、その考えも「ブラザー」として理解し、リスペクトをしているのだ。長年デュオとして活動したグループが仲違いする例は世の中にたくさんあると思うが、この2人は今でも頻繁に連絡を取り合っているのだ。さらにAndreの「Big Boiのほうがラップが上手い」という台詞について彼はこのように語った。
Big Boi:俺らはコインの裏表だ。ラップスキルは表裏一体だよ。誰も俺らのことを止めることはできない。それは俺らが組んでいても、ソロでやっていてもだ。それは自惚れでもなく、リアルなことだ。彼がそう言ってくれたことは嬉しいが、俺らはイコールなんだ。
バトルになったらAndreが殺し、俺が破壊するんだ。
彼らのスキルはコインの裏表のようで、イコールなラップスキルを持っていると語る。実際に世間的にはAndreのラップスキルばかり注目されるが、彼らは2人とも全く違うリリックのスタイル/テーマを持っているため、裏表が合わさり一つのコインになったとき、OutKastとして最強になるのだろう。Big Boiがストリートなラッパーとしてアグレッシブなラップをするなか、Andreがマインドフルなラッパーとして考えさせられるリリックをスピットする。グループとして成長した後も、サウスの大御所としてドッシリ構えたBig Boiと、常に新しいことをやるヒップホップ界の未来の革命児として「3000」の名をつけたAndreは常にそのコントラストが人を惹きつけた。
OutKastといえばB.o.BやHey Ya!のようなテンションが高めな曲が広く知られているが、上記のようなコンシャスな曲も素晴らしい。
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