DNA.の後半のビートはケンドリックのラップが止まらず、ラップをアカペラで録音した後に付け足された。

 

ケンドリック・ラマー

の「DAMN.」が発売され、しばらく時が経ったのもあり、少し話題になる頻度も少なくなったと感じる。間違いなく2017年のトップ5に入るであろうヒップホップアルバムであるが、「DNA.」は2017年で最もハードな曲であろう。特に後半のビートスイッチした後のケンドリックの3連符ラップは、3連符にも関わらず流行りを感じさせないレベルで「スピット」をしている。

 

そんな「DNA.」の後半部分であるが、NPRのインタビューにてこのトラックのプロデューサーである「Mike WiLL Made It」語っている内容がとても興味深いので紹介をしたい。

 

Mike:DNA.は元々前半のビートしかなかったんだ。ケンドリックは最後までラップのレコーディングをしたと思ったら、そのまま止まらずにアカペラでラップを続けたんだ。彼は俺に「このアカペラに周りにビートをつくることってできるかな?」と聞いてきた。俺は「できるぜ」と答えたけど、ケンドリックはかなりハードでクレイジーなラップをしていたんだ。DNA.の後半のアカペラが先にあってビートをつくるのを想像してみてくれ。ただのシンプルなビートじゃなくて、ケンドリックのラップ並にクレイジーなビートにしないといけないと思ったんだ。ケンドリックがビートとバトルしているかのような感覚をつくりたかった。

 

なんとケンドリックはあのクレイジーなヴァースをアカペラでレコーディングしたのである。その後にMike WiLLがトラックをつくるという、基本的にはあまり考えられない方法でこの曲のビートスイッチの後の展開が作られたらしい。さらにこの曲のクリエイティブプロセスに関して彼はこのように語った。

 

Mike:彼はこのビートを「カオス」の音にして欲しいと言っていた。だから俺は彼の目の前でビートを作ったんだけど、彼はかなりオープンだった。彼は頭のなかでは自分が求めているものが明確に見えているんだけど、俺が箱に収まってしまわないように、あまり口出しをしてこないんだ。彼は様々なアイディアを聞きたがっている。たくさんビートをゲットして、そのなかでヴァイブスを感じたものを選んだんだ。

 

やはりケンドリックレベルの人になると「コラボ」であることを相当尊重しているようだ。Thundercatも同じようなことを語っており、ケンドリックのミュージシャンとしての気質が伝わってくる。ケンドリックのリリックになぜ私たちが共感するのか、このような考察をしてみた記事もあるので是非チェックして頂きたい。

エミネムとケンドリック・ラマーが共感される理由を考える。ストーリーテリングと多重視点

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