Chance The Rapperが大学で講義をした内容に音楽業界の未来が詰まっている②

 

①はこちら

去年の5月に最新ミックステープ、”Coloring Book(カラーリング・ブック)”をリリースしたChance The Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)。インディペンデントアーティストとしてグラミーにノミネートされ、彼の功績は既に相当大きいものだ(追記:3部門受賞した彼のスピーチはこちら)。

彼は今年、地元シカゴの大学に呼ばれ、1時間以上にもおよぶ講義をおこなった。その内容を見ると、今後の音楽業界の流れが見えてくると感じたので後半の要約を紹介をしたい。第③はこちら

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Chance The Rapper

➖ そもそも音楽業界とか音楽ビジネス自体が新しいコンセプトなんだよ。

音楽業界のビジネスがどのようにして成り立っているかと知っている人はいるかな?そもそも音楽をパブリッシングするってアイディア自体も新しいんだ。

説明すると、音楽をリリースするにあたって「マスター(原盤)」と「パブリッシング(出版)」の契約がある。

・マスターは、そのレコーディングしたもの自体に対する権利だ。アーティストがレコーディング契約を結んだとき、録音した音源の権利はレーベルが所持するんだ。

・パブリッシング契約は「音源」としての楽曲ではなく、その楽曲のアイディアだったり、曲自体にかかる権利を、パブリッシング会社が所持することだ。

つまりその楽曲のメロディーとかを演奏したら、パブリッシングの契約として、権利者にお金を払わなければいけない。

レコーディングされた音源をサンプリングしたときとかは、マスターの権利を持っているレーベルにお金を払う。

これが意味がわからないって人はいる?そうなんだよ。これって昔からある「音楽」というものに当てはめるには、クソ間抜けなシステムなんだ(笑)

 

 

既存の音楽業界のシステムが「間抜け」だと表現するChance The Rapper。それが何故かを説明する。

 

 

Chance the Rapper

そもそもこの知的財産とか、楽曲に制限をかけたりとか、「音」自体をビジネスで回したりとかそういうコンセプトが新しいんだ。でもそれとは裏腹に「音楽」自体はとても古くからあるものなんだ。

大昔のことを考えてみると、例えばミュージシャンが道端で演奏していて、誰でも無料でそれを聞くことができたんだ。そのうちの誰かが「帽子にお金を入れさせてよ」って提案をしたのが、音楽がビジネスとして始まった最初の例だろう。

それ以来、音楽で金を儲けようとしている業界は「音楽を作る人、聞く人」に追いつこうと必死になっているけど、「音楽」が前に進むのが速すぎるんだ。「業界」やビジネスと違って、音楽の形については、さまざまな人が常に新しいものを作ろうとしているからだ。

例えばカセットが出たとき、レコードが売れなくなる!と騒いだ人たちがいたり、Napsterが出たとき「もう音楽業界は終わりだ!」と騒いだ人たちがいたりしたけど、そのような技術を受け入れた上で、どうやって活動をするかが大切なんだ。

全ての人が全ての音楽に簡単にアクセスできて、逆に全てのアーティストも全ての人にアクセスできるプラットフォームというのが、これからの音楽業界の流れだと思う。

 

全曲を無料で配信し、さらにグラミー賞にもノミネート(追記:3部門受賞)されているChance The Rapperが語る音楽業界像は、音楽の未来とでも言えよう。彼の「音楽」にたいする想いと考えは、さまざまなアーティストに影響を与えるだろう。音楽業界と音楽を聞く人たちのチキンレースとなっている現状で、新しいビジネスのありかたを提示しているようにも思える。パート③はこちら⬇

Chance the Rapperが自分の収入源について語る。彼のビジネスの原点。

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