Ice CubeがBone Thug-n-Harmonyの伝記映画をプロデュースすべき理由

 

ボーン・サグスン・ハーモニー

90年代ヒップホップのファンであれば、オハイオ出身であり、Eazy-EのRuthless Recordsに所属していたヒップホップグループ「Bone Thug-n-Harmony(ボーン・サグスン・ハーモニー)」を知っているだろう。1993年にデビューした彼らはラップにメロディを持ち込んだ先駆者であり、今のヒップホップにおいても多大な影響を与えている存在だ。

そんなグラミー賞も受賞しているボーン・サグスン・ハーモニーであるが、Ice Cubeが彼らの伝記映画をプロデュースするかもしれないという噂が立っているのだ。彼らは去年の年末に、スヌープ・ドッグと「Puff Puff Passツアー」にて一緒にアメリカ全土を回っていたのだが、そのときに伝記映画の話題が頻繁に挙がったと語っている。

まだ可能性の話しでしかないらしいが、これを聞いたとき私は「ボーン・サグスン・ハーモニーの伝記映画は絶対に作ったほうがいい。Ice Cubeさん、頼む」と思った。何故かというと、このグループはそもそも映画のようなできごとの上で活動しているのだ。メンバーひとりひとりが一本の映画にまとめきれないような体験をしているのだ。その一部を紹介したいと思う。

 

Bizzy Boneの誘拐事件


なんとボーン・サグスン・ハーモニーの一番若いメンバーの「Bizzy Bone」は4歳のときに誘拐事件の被害者になっているのだ。彼の義理の父は「母が亡くなった」と彼に嘘をつき、2年間も誘拐していたのだ。当然Bizzyの母親は彼をずっと探していたわけだが、偽名を使用しさまざまな州を渡っていたためFBIでさえ見つけることができなかったのである。当時は虐待をされており、外で他人に名前を聞かれても偽名を使うように教え込まれていたとのこと。

最終的には彼のベビーシッターが、行方不明の子供たちを題材にした映画「Adam」のエンディングで流れる行方不明の子供たちの写真を見て通報したことにより、母の元へと戻ることができた。しかし母の元へ戻ったあとも、新しい義父に再び虐待をされ、母とともに家を出ている。その後、生活の糧がなくなった彼はドラッグを売るようになり、そのときに出会った仲間たちが「ボーン・サグスン・ハーモニー」となるのだ。

 

Flesh-n-Boneの服役


Lazie-Boneの兄であり、Wish Boneの従兄弟であるFlesh-n-Bone(フレッシュンボーン)はまれに見るワイルドさだったとメンバーは語る。正直話しを聞くとワイルドの域を飛び越えていると感じるが、1999年に友達との喧嘩中にAK-47を取り出し、撃ち始めたのがきっかけで8年服役している。彼は裁判所で素直に謝ったのだが、彼も子供の頃に酷く虐待されていたのもあり、トラウマ克服などの心療治療を受け、2008年に釈放された。釈放されたあとは再度ボーン・サグスン・ハーモニーと合流し音楽活動をしている。メンバーは「彼がワイルドであったが、男として自分の行動に責任をもって成長しないといけない」と語っている。彼のラッパーとしてのワイルドな人生像だけでも伝記映画にする価値はありそうだ。

 

亡くなったレジェンドたちとの共演


ボーン・サグスン・ハーモニーが特別だと感じるのは、亡くなったヒップホップレジェンド「Eazy-E、2Pac、Notorious B.I.G.、Big Pun」が生きている間に全員と共演しているのだ。この全員と生きている間に共演したアーティストはボーン・サグスン・ハーモニーだけであり、このフィーチャリングから広がる世界観だけでも映画になるだろう。

 

ストレイト・アウタ・コンプトンでのとあるシーン


映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」にてHIVで亡くなる直前のEazy-EにDJ YellaとMC Renがデープを渡すシーンを覚えているだろうか?実はこのテープ、Eazy-EのRuthless Recordsに所属していたボーン・サグスン・ハーモニーの音源なのだ。Eazy-Eが亡くなったのが1995年なので、彼らの1995年にリリースされた2枚目のアルバムを届けにきたのであろう。このアルバムのタイトルが「E. 1999 Eternal」となっており、Eazy-Eへのトリビュートの意味が込められている。映画をつくるとしたらこのシーンからはじまり、Eazy-Eが音源を聞いたときに、ボーン・サグスン・ハーモニーの紹介が入るようなイントロでも良いだろう。

このようにボーン・サグスン・ハーモニーの伝記映画をつくるべきだと感じる。N.W.A.並に要素がてんこ盛りなキャリアを送ってきている彼らは、若い世代にも伝えられるべき存在だろう。特に現代のトラップや、メロディがついたラップなどは、ボーン・サグスン・ハーモニーがいなかったらもしかしたら存在していないかもしれないと考えると是非映画にしてほしいところだ。ヒップホップ界でも映画界でも重鎮となったIce Cubeに是非プロデュースしてほしい。

ライター紹介:渡邉航光(Kaz Skellington)カリフォルニア州OC育ちのラッパー兼、Playatunerの代表。FUJI ROCK 2015に出演したumber session tribeのMCとしても活動をしている。

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