Dr. Dre「The Next Episode」の元ネタとなった曲のプロデューサーが語る「サンプリングが大嫌いだった」

 

 

サンプリング

は自分がリスペクトしている音楽を新しくリノベートする役割以外にも、様々な意味を持っていると感じる。そのうちの一つは「若い世代に紹介」する役割であろう。特にブラックミュージックはサンプリングのおかげもあり、昔の曲が常に現代にて蘇っており、時代を超えて常にフレッシュに愛されている。

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サンプリングを使用したヒップホップは時代とともに進化をしてきたが、その進化について考えるとき、90年代の最後にリスナーを2000年代へと誘ったアルバム「Dr. Dre – 2001」を思い出す。そのなかで最も印象に残るサンプリングを使用した曲は「The Next Episode」であろう。サンプルを実際に生演奏で再現したという意味でも、90sのイメージとはかけ離れたサンプリングサウンドとなっている。

サンプリングにたいしてマイナスなイメージを持っているアーティストは多くいる。(プリンスはその1人であった)この曲の元ネタはDavid McCallumの「The Edge」なわけであるが、この曲を手がけた人物がDavid Axelrod(デイビッド・アクセルロッド)である。彼は今年の2月に他界してしまったが、彼も元々サンプリングが大嫌いだったのだ。そんな彼が生前のコンサートにて語った映像が面白いので紹介をしたい。

 

(曲のイントロにて)

David: 一つ言わないといけないことがあるんだ。このコンサートのギャラは少なく、実はこのコンサートの実現を可能にするほどのギャラをもらっていないんだ。しかも私はシャルロットストリートホテルに泊まりたいと言ったけど、「宿泊と朝食以外は全部自腹であればOK」と言われたんだ。通常だったらそんな条件じゃ宿泊/ライブはできない。

 

なんとこのコンサートを実現するほどのギャラをもらっていないというDavid Axlerod。そんな彼はどのようにして実現させたのだろうか?

 

David:さて、普通だったら、このコンサートの実現なんてできないだろう。どうやってできるようにしたかって?この曲のおかげだよ!ハッハッハッハッ!

俺はとんだ皮肉偽善者だ!俺はサンプリングというものが大嫌いだった。ミュージシャンの仕事を奪っていたから反対していたんだよ。とんだジョークだ。実際にはサンプリングのおかげで「全部Fuckだ!」って言えるレベルのお金が入ったんだよ。だから俺は今ではサンプリングを愛してる。

ありがとうドレー。

 

そう、彼は通常であればコンサートを開けないようなギャラであったが、Dr. Dreの「The Next Episode」とアルバム「2001」が信じられないほどの大ヒットであったため、そんなことを気にしなくてもいいほどのお金が入ったのである。それまでは、そこまでの大ヒットではなかったのかもしれないが、「The Next Episode」にてこの曲は現代にて蘇ったのだ。彼の曲はDJ Shadow、Wu-Tang、De La Soulなどにもサンプリングされており、ヒップホップにおける彼の功績は大きい。

もちろんサンプリングによって権利の問題などが起こる場合もあるが、このように昔の曲がサンプリングによって蘇り、さらに元ネタを作ったレジェンドにも還元できている状態を見るととても嬉しく感じる。RIP David Axelrod.

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