プリンスが進化するテクノロジーについて語る。彼の発言から考える業界の変化

 

 

音楽業界

は日々変化している。新しいテクノロジーが出てくる度、世の中は便利になり、消費者が満足するようなシステムづくりが成される。しかしそのテクノロジーとシステムの影響で、悪影響が及ぶ側の人間もいる。そのようなテクノロジーに疑問を感じていたのが生前のPrince(プリンス)である。

1980年にRick Jamesの前座を努めたプリンスから学べること

今でこそ彼の音楽はSpotifyやApple Musicにてリリースされているが、元々彼はYouTubeやストリーミングに反対していたアーティストである。そんな彼がテクノロジーについて語るインタビューが考えさせられるので紹介をしたい。2014年のインタビューなので、少し情報が古いかもしれないが、今でも共通する部分があるだろう。

 

Arsenio:あなたはテクノロジーやインターネットに対して複雑な感情があるようですが、どのようにその感情が変わっていっていますか?自分のアドバンテージのために使用できると思いますか?

プリンス:技術は諸刃の剣なんだ。自分の作品にたいして、きちんと支払われていないアーティストはたくさんいる。インターネットのダウンロードによって、実態がわからないブラックホールみたいになっているんだ。もちろんお金のためだけにやっているわけではないけど、「正義」と「フェアであること」が重要なんだ。

 

技術は諸刃の剣と語るプリンス。もちろん便利な面もあれば、アーティストが損をする面もある。「正義」と「フェアネス」を押し出す彼はまさにプリンスであると感じる。さらに彼はこのように語る。

 

プリンス:「あなたの作品を愛している」や「あなたをリスペクトしている」と言うけど、それと同時に80%の収入を持っていかれているとしたら…しかもその上で自分のコミュニティと環境を整えることを期待されるんだ。多分この部分は編集でカットされるだろうけどね。これが諸刃の剣の鋭いほうの話だね。そのアンフェアな状況に対して行動をしている勇気のある人々もいるから、少しづつバランスが保てていると感じる。

 

その「悪い方面」を改善しようとしている人たちによって、バランスが少しづつ保たれていると感じているプリンスである。確かに一人ひとりのファンのアーティストに対するロイヤリティは減ったと言っても過言ではないだろう。良い意味でも、悪い意味でも「ファン」になるハードルが下がっていると感じる。この辺に関しては「既存のファンを満足させることが大切?それか新しい試みが大切?」という記事にも共通してくるだろう。

この発言と事実を考えると、思い浮かべるのはChance the Rapperであろう。Playatunerではしばらく前から3部にわけて「Chance the Rapperは音楽業界の未来」という記事を書いている。彼のファンとの関係づくりに関しては、まさにその「ロイヤリティを上げる」を実現できていると感じる。しかしこれは単純に「音楽を作る」以外にも、このような「工夫」をする必要がある世の中になったということも表している。もちろんインターネットのおかげで、誰もが平等にアートを公開する機会が与えられるようになったが、その分Chanceのような音楽以外での「工夫」で目立つ必要も出てきている。近年のLil Yachtyなどのアーティストに関しても同じようなことが言えると感じる。

「音楽を無料で聞く」ということが当たり前になった世の中だからこそ、ひねり出した「生存戦略」であろう。「アーティスト/ミュージシャン」にとって、その「生存戦略を考える必要がある世の中」「生存戦略を考えれば注目される世の中」はまさに2つの面がある「諸刃の剣」なのである。それが良いか悪いか置いておき、時代に付いていくか、時代を変えるか、の選択を迫られている。ちなみにプリンスは携帯電話を持っていなかった。この技術の時代に成功しているアーティストたちについては下記の例を読んでほしい。

水面下で帝国を築き上げるアーティストたち。「自分で全部やる」というパワーと美学

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