Juice WRLDインタビューOA!Stingの名曲「Shape of My Heart」をサンプルした曲特集!#booze813 #Jwave

 

J-Wave × Playatuner

2018年10月からJ-Wave にて、Playatuner代表Kaz Skellington(渡邉航光)がナビゲーターを務める新番組「Booze House」が始まった。毎週木曜日26:00〜の30分間となっており、ブラックミュージックをはじめとする洋楽を掘り下げる番組となっている。

この番組ではJ-Waveとタッグを組み、番組で話した内容のリキャップをPlayatunerにて記事化していく予定だ。また、番組情報を発信していくツイッターアカウントは下記となっている。

Booze House Twitter

 

放送第6回目は「Classic Samples Vol.1」ということで、先日のJuice WRLDのインタビューを公開しつつ、彼の大ヒット曲「Lucid Dreams」と同じ元ネタ「Sting – Shape of My Heart」を使用している楽曲を紹介した。

 

Sting – Shape of My Heart

 

映画「レオン」の主題歌としても広く知られているStingの「Shape of My Heart」。1993年にリリースされた「Ten Summoner’s Tale」に収録されている。

Stingの曲は非常に詩的であり、Stingはこの曲を通してポーカープレイヤーのストーリーを伝えたかったと語っている。彼は単にギャンブルで勝とうとしている人ではなく、「運」というものに感じる神秘的なロジックを追求するために、カードでギャンブルをしている人なのだ。彼はポーカープレイヤーなので感情を表すのが苦手であり、トランプのマークに込められている意味と違い、自分の「心の形(Shape of My Heart)」や愛という感情を表現する難しさを語っている。そのポーカープレイヤー/運/ロジック/心の形という要素が混ざり合り、孤独さが伝わってくる。

 

スペードが兵士の剣であることは理解している
クラブが戦争の武器であることも理解している
ダイアが芸術のためのお金だということも理解している
でも私の「心の形」はそれのどれでもない

 

このような歌詞となっているサビであるが、この自分の生業としている「カードの形」と自分の中にある「心の形」対比が非常に詩的である。一瞬歌詞を見ると「なぜギャンブラーが題材なんだろう」と思うかもしれないが、カード/ポーカーというものを通して「心の形」を表すことの難しさも語っており、心に染み渡る歌詞となっている。「プロフェッショナル」であることは時に自分の感情を表さない切なさもあるという捉え方もでき、映画「Leon: The Professional」キャラクターにもぴったりだ。

 

Nas- The Message

1996年にリリースされた「It Was Written」に収録されているNasの名曲であり、Trackmastersがプロデュースしている。1stアルバムとは違い、2ndアルバムのマフィオソな世界観をセットオフしている。 多くのラッパーが出てきて、売れてきているラップ戦国時代みたいなときに、Nasが自分がストリートミュージックの王座に座っていることを示した楽曲である。

個人的には「Thug Changes, Love Changes, and Best Friends become strangers(サグも変わる、愛も変わる、そして親友たちが他人になる)」というパンチラインが心に残っている。このアルバムでどのようにNasがメインストリームの成功を掴んだかは下記の記事を参照することをオススメする。

Nasが「大ヒットスター」になる上で重要な役割を担った人材。「二枚目のジンクス」を破ったチームから学べること

 

Juice WRLD – Lucid Dreams

 

Juice WRLDショートインタビューOA

Kaz:どのようにして音楽の世界に入った?

Juice:人生ずっと音楽とともに過ごしてきたんだ。もちろんリスナーとしてもだけど、楽器も弾くんだ。

Kaz:自分の曲はプロデュースしないの?

Juice:まだしたことないけど、いつかするよ。

Kaz:それは楽しみだね。結構言葉の入れ方や、リズムの取り方的にロックやポップパンクなどからの影響を受けてる感じがするんだけど、どんな音楽を聞くの?

Juice:Devil Wears Pradaとか、Fallout Boyとかも聞くよ。

Kaz:そういう音楽を聞くようになったきっかけは?

Juice:トニー・ホーク・プロスケーターのゲームだね。そこでSenses Failや3 Inches of Bloodとかのバンドを知ったよ。

Kaz:まじ?トニー・ホークのゲームってサントラ最高だよね。俺もめちゃくちゃ好きで、俺は「Underground 1」でJurassic 5や、90sのヒップホップをたくさん知ったよ。

Juice:Undergroundシリーズは最高だね!「Underground 2」と「American Wasteland」が好きだね。

Kaz:「American Wasteland」はかなりロックよりだよね。

 

これはBooze House第一回放送を聞いた/読んだ方であれば、知っていると思うが、まさに自分と同じであり、かなり親近感が湧く内容であった。

その次は、カムアップの話や自分のキャリアを追いかけようと思ったきっかけを聞いてみた。特に日本では社会的にも自分のやりたいことをやるのは、難しいことでもあるので、この質問を毎回アーティストに聞くようにしている。

 

Juice:俺は割と音楽を真面目なキャリアとしてやることに反対している家族で育ったんだ。大学にいって勉強して、いい仕事につけと言われていた。それでもある程度良い人生を生きれると思ったけど、もっとリスクをとりたいと思ったんだ。「Life is about taking risks…」人生とはリスクをとることだ。世の中は、自分が生まれた箱から出ないで、ずっと同じ箱のなかで生きてそのまま死ぬ人が多い。それは個人的に悲しいけど、そういう人はそれを悲しいことだとということも気が付かないで生きていくんだ。

失敗するのは怖いけど、人間は完璧じゃないから失敗するのは当たり前だし、それは人生についてくるものだ。でもそれを乗り越えたら、自分の理想としていた姿にたどり着く。

Kaz:そのように感じるきっかけとなったアーティストとかっている?

Juice:俺は学校でテストの成績は悪くなかったけど、本当に授業でずっと座ってるのが無理だったんだ。いつも「なんで他の人達と同じようにできないんだろ」「なんでこんなに勉強に集中できないんだろう」って悩んでいたんだ。思春期に、そうやって自分の人生の道を迷ってるときに、Tyler The CreatorやOdd Futureの存在を発見したんだ。彼らの誰にもコントロールされない姿勢、自分たちがやりたいことをやる姿勢には非常にインスパイアされたよ。

 

彼の人生のフィロソフィー、そして自分のキャリアを進むきっかけとなったアーティストを教えてくれた。19歳にして、「人間は完璧じゃないから失敗するのは当たり前だ」と理解している人はなかなかいないだろう。重要なのは「失敗」そのものではなく、失敗した後に再度トライをして、失敗を「検証」に変える力なのだろう

最後に、彼の大ヒット曲「Lucid Dreams」の元ネタであるSting「Shape of My Heart」について聞いてみた。

 

Kaz:Shape of My Heartについては元々知ってた?

Juice:いや、知らなかった。曲を書く直前に知って、リビングでビートを流してたら、母親が「それStingじゃん」って言ったのがきっかけだ。そのときにStingについて調べてみて、そこで知ったんだ。

Kaz:Stingが「Lucid Dreams」を気に入ってたらしいね。

Juice:凄く光栄だよ。こんなに最高なフィーリングはないね。

Kaz:映画「レオン」は見たことある?

Juice:それがないんだよね。後でチェックしてみるよ。

 

元ネタについては曲を書く直前まで知らなかったと語ったJuice WRLD。実際にStingを聞いてみた結果「Stingは最高だよ🔥」と語っており、このようにプロデューサーがサンプリングすることにより、若い才能の音楽の知見が広がることも多い。特にJuice WRLDは元々幅広い音楽を聞いているので、これからも様々な音楽に影響された音楽を作り続けるだろう。彼は女性関係についてラップしている曲も多く、「自分の本心から経験を歌うのと、人の真似をしてそういう内容を歌うのには大きな違いがある」とも語っており、そのようなリアルさもあり、多くの人に共感されて大ヒットしたのだろう。

 

Craig David – Rise & Fall Feat. Sting

こちらは本家のStingも参加しているCraig Davidの楽曲。

 

「Shape of My Heart」であるが、NasのThe Messageからはじまり、実はそこまで多くの曲にサンプリングされているわけではない。Sugababes、Monica、Lil Zane、日本からは宇多田ヒカルなどもサンプリングしているが、実は2018年になってからのほうがメインストリームでサンプリングされている印象が強い。Juice WRLD以外にもTory LanezのPieces、RussのParkstone Driveが2018年にこの楽曲を使用しており、この楽曲が再評価されているようにも思える。

 

感想

Kaz:元ネタがいかに名曲か、そしてStingの詩的な表現がいかに多面的であるかを改めて実感した。その多面性が自分の人生のどこかの要素と共鳴し、心に刺さる。

(余談)Stingの楽曲はそのような楽曲が多く、今回は紹介していないが、特に「Englishman in New York」という曲の「誰に何を言われようとも、”自分”であれ」と連呼する歌詞は、日本に帰国し今までと違う文化/社会で生きるなかで、何度も口にした。

 

次回は私が敬愛するラッパーEvidenceの「人生と死の刺さるリリック」を紹介します!(Radikoのタイムフリーで一週間聞くことができます。)

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