Nas「悪いイメージに貢献したくない」ベテランラッパーの責任とインパクトについて語る。

 

 

ラッパーのメッセージ

についてはPlayatunerにて頻繁に取り上げてきた。そのメッセージがどのようなバックグラウンドからきていて、何を学ぶことができるのか?そのようなことを考える時間を過ごすことにより、さらに音楽が好きな人が増えると信じているからという理由もあり、そのような記事がPlayatunerの注目コンテンツになっている。

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Playatunerではそのようなメッセージが与えるポジティブな「学び」を発信することに注力しているが、現実では「表現」というものは一筋縄ではいかない。音楽は音楽であるが、その人物像やコンテクストも考慮せざるを得ないのが作品であり、特にヒップホップだとそれがさらに顕著であるように思える。先日のBig Punの息子の記事も、Big Punの「アーティストとしての顔」と「暴力的な顔」について書いたものであった。

そんな人物像や「リアルライフ」という観点が非常に重要なのが、ベテランラッパーであると感じる。Jay-Zが「4:44」で「Grown Man Bars」をやったように、年を取るにつれラップの内容に「責任」を求める人が多くなってくる。そしてそれがリアルライフでの「共感」にもなり、どの年齢になっても世代を超えて人の心を動かすのだ。少し前のインタビューであるが、そんな話をNasが語ってくれているので紹介したい。

 

Nas:最初ラップをはじめたときは、自分がロールモデルになることは考えていなかった。徐々にスポットライトに当たるようになり、自分という存在を知っている人が増えてから、自分の行動に責任をとらないといけないと思い始めた。世界が自分にスポットライトを当てているから、ニュースなどで見る「貧困がゆえに起こる事件」と「悪いイメージ」に貢献したくなかったんだ。「大人」としてやらないといけないことがあると感じた。

 

自分が最初にラップをはじめたときは、「ロールモデル」になることは考えていなかったと語るNas。しかし、自分の立場と影響力を目の当たりにし、ポジティブな影響を与える責任があるということを徐々に感じはじめたのである。そして、彼はヒップホップアーティストにありがちなこととして、このようなことを語った。

 

Nas:ヒップホップアーティストのなかには、逆戻りしている人たちもいる。ストリートから来て、成功してそのような生活から既に抜け出しているのに、問題の全てを「ストリート方式」で解決しようとする人たちだ。俺の年代になっても「ストリート」なハードなやつであることに捕らわれている人が多いんだ。

もちろん俺はストリートから来ているし、ストリートは常に俺と共にあるけど、それは俺が今まで以上にストリートでハードな態度を取るということではない。このスポットライトのなかで、「ストリート」だと思われたいがために、自分の人生を投げ捨てるのは、非常にナンセンスだ。

 

成功してストリートから抜け出しているにも関わらず、ハードでいないといけないという風潮に物を申しているように思える。もちろんストリートにたいして還元することによって、自分がフッドを支えるというのは非常に重要な考えであり、Nasの「ストリートは常に俺と共にある」というのはそのようなことを表しているのかもしれない。しかしそれは周りにハードだと思われたいがために、レックレスな態度を取り、問題を増やすのとは違うことなのだろう。これはJ. Coleも「4 Your Eyez Only」にて語っていることである。そしてそのような態度が、自分のレガシー/インパクトにも影響してくると語る。

 

Nas:この年齢になって、全く適切ではない音楽を作っているやつもいる。俺の年代のNY出身のアーティストで、現代にてインパクトを残すことができていないやつらは、大昔に自分が去った人生を今だにレプリゼントしているようなふりをしているからだ。

 

Nasが常に最前線にて活躍し、今でも最もアイコニックなラッパーとして君臨しているのには、「何歳になっても自分の身の回りを表現するリアルさ」があるのだろう。そのように考えると彼の「Untitled」アルバムは、成功したラッパーのロールモデルとして、「リアル」なアルバムとなっている。Jay-Zの「4:44」も同じく自分が実際に現代にて行っていること/感じていることを表現したからこそ、共感する人々が多かったのだろう。

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