SZA「グラミー取れなかったけど本当に重要なのは賞そのものじゃなかった」エゴを乗り越えて感じた「大きな意味」

 

 

成功とエゴ

の2つの要素はアーティストにとって非常に大きい。その2つの要素が自分の人生にプラスに働く人もいれば、「自分はもっと認められるべきだ」という意識から苦しむアーティストもいる。特に近年ではソーシャルメディアでその瞬間瞬間の気持ちを全世界に発信できるため、どうしても自分が上に立ちたい!という気持ちが顕になる場合も多い。

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もちろんその気持ちを乗り越え、ある意味アーティストとしての悟りを開いているようなケンドリックやJ. Coleのようなアーティストもいる。そんな「エゴ」について語ってくれたアーティストがSZAだ。彼女は2017年に「CTRL」にてブレイクアウト・スターとなり、グラミーも5部門ノミネートされた。2017年にブレイクアウトしたアーティストのなかでも特別世間にインパクトがあったようにも思える。しかし彼女は「ベストニューアーティスト」部門を含めて、一つも受賞をすることがなかったのである。一つも受賞しなかったことについて彼女はどう思っていたのだろうか?

そのことについて、彼女はGQにて語った。グラミーが終わった後、彼女はパーティーには参加せずに、ホテルに戻ってブラントを大量に吸いまくったらしい。また非常に素直に「最初は憤りを感じていた」と心の中をさらけ出した。

 

➖ 人々はあなたがグラミーの夜の大スターではなかったことを怒っています。どう思いましたか?

SZA:自分のなかで変換があったのを感じた。ものすごく長い道のりを来たし、このアルバムがそこまでのインパクトを残すとも思ってなかった。そもそもノミネートされて、多くの人が自分の音楽を聞いてくれていることに感謝している。アーティスト活動しているうちに、段々と「評価」とか「賞」に意識を吸い込まれるようになって「このような名誉がアーティスト/人間としての私の”成功”を形成する」とか思うようになってしまう。

でもSpotifyで10億再生も行ったし、アメリカ中が私の音楽と共鳴してくれている。始めたときは、本当に自分たちでも何をやっているのか訳わからなかったのに、今では世界中の女の子たちの人生をポジティブに変えることができている実感がある。これは私とただのトロフィーよりも大きな意味を持っている。

 

➖ グラミーが自分の意識にたいして警鐘になったというか、音楽への初心を思い出させてくれたと思いますか?

SZA:そういう部分もある!終わってから凄く自由で、肩の荷が下りた気がする。自分のエゴに支配させるのではなく、その瞬間瞬間のレッスンや機会をプロセスさせることを学んだ。難しかったけど、とても美しい学びだった。

 

➖ エゴと戦っていると思う?

SZA:もちろん!人々に対してというより、自分のなかでどう感じるかという部分で。グラミーのことでも、醜い方法でアウトプットしたり、正しくない対処法で祝福すべき場を逃す可能性があった。でも乗り越えるためにも、自分のエゴがどういうものなのかを確認する必要がある。

そしてファンがエゴで動いているトリッキーな場合もある。たまに自分の考えが絶対に正しくて、自分が応援しているアーティストが絶対に正しいと思って非常に怒る人とかもいる。そういうファンを見て、「自分の実力不足でガッカリさせてしまった」と感じることもある。変な感じになって「これは私のエゴなのか?自分は救世主にならないといけないのか?」と感じ始める。

グラミーの後から、インターネットを見ていないし、ネット上の意見も一度も見てない。全ては良い方向に向かっていて感謝をしている。私は実際ここまでくることを予想していなかったし、今まで人生でずっと人気がなかった。高校でも、小学校でも、中学校でも、大学でも、職場でもあまり「人気」がある人ではなかった。神が描いているストーリーがあって、私はそこにいる。

 

➖大人で美しい考え方ですね

SZA:いやー実際は乗り越えられるまでめっちゃ怒ってる期間あったよ!

 

グラミーの後から、インターネットを見ていないし、ネット上の意見も一度も見てないとも語ったSZA。彼女が非常に「素直」であり、「エゴを乗り越えた」と感じたのは彼女が綺麗事だけではなく「少しの期間は怒っていた」と打ち明けたことである。「賞」という非常にわかりやすい「名誉」に拘るようになり、自分が受賞しなかったことに怒るアーティストなども多いなかで、「確かに賞で認められなかったかも知れないけど、自分がやったことはもっと大きいからいいや!感謝して楽しもう!」と思える彼女はメンタルはアーティストとして非常に健全なのではないか、と感じる。

「自分は◯◯に値する!」という想いを抑えきれないのもエゴであり、その想いがあったことに嘘をつくこともある意味エゴなのだろう。逆に「自分はそれを実現できなかったからクソだ」と自己不信に陥るのもエゴの裏返しであり、健全ではない状態なのだ。そんななか、彼女は素直にその感情があったことをさらけ出し、その上で自分の世界で自分が作るアートの素晴らしさを認めることができている。

「ベストニューアーティスト」を受賞したAlessia Caraのアルバムが2017年にリリースされたものではないことを受け、怒る人も多かったが、彼女は「Alessia Caraは最高!」とも公言している。賞というものは、「個」として自分だけの世界観を作っている、本来は比べられるべきではないアーティストたちが、一つのレーンに詰め込められる。その世界観から自分が何かを受け取ることができたか?刺さったか?が全てのはずなのだが、「賞」という形のある名誉がために一人のアーティストを否定したくなる「エゴ」が登場する。作品を世に出す恐れと、エゴを認めその妨げを乗り越えたSZAは、今後もアーティストとして多くの人々の心に触るであろう。

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ライター紹介:渡邉航光(Kaz Skellington):カリフォルニア州OC育ちのラッパー兼Playatunerの代表。umber session tribeのMCとしても活動をしている。

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