MC RenがN.W.A.やRuthless Recordsについて語る。彼らが受けた影響、Eazy-Eの「才能」について

 

 

世界で最も危険なグループ

というおなじみのキャッチコピーで放映されていた映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」は大ヒットであった。この映画をきっかけにN.W.A.、Dr. Dre、Eazy-E、Ice Cubeなどに興味を持った方は多いだろう。Playatunerでは以前から「Ice CubeがN.W.A.について語った」記事などをアップしているが、他のメンバーが語るN.W.A.も紹介したいと思う。

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そんなN.W.A.を語る上で欠かせないのがMC Renの存在である。Eazy-EはN.W.A.で最もラップが上手いのはIce CubeではなくMC Renだと生前に言っており、それだけでもMC Renラップのハードさが伝わってくる。そんなMC Renが語ったN.W.A.像が面白いので紹介をしたい。

 

インタビュアー:2枚目ではストレイト・アウタ・コンプトンに比べても、さらに過激な性的描写があったりしたけど、それはIce Cubeが去った影響とかもあったのですか?

Ren:Ice Cubeがいなくなったから、というわけではないな。当時うちらがやっていることにたいして、様々な人たちが怒っていたり、プロテストをしていたり、とにかく物議を醸していたんだ。「だったらその人たちをもっと怒らせようぜ」みたいな感じで、さらに過激なリリックにしていったんだ。何かしら怒れることを常に世の中に与えておくというメンタリティだった。

 

「何かしら怒れることを常に与えておく」というフレーズが興味深いポイントである。アーティストとしてほとぼりが冷めることがないということだろう。世の中の話題/議論の最前線にいることにより、常に認知度を高めることができる。このフレーズを聞いたとき、Eazy-EがN.W.A.メンバーに伝えた「All publicity is good publicity(全てのメディア露出は良い露出だ)」という名言を思い出す。さらにRenはEazy-EとRuthless RecordsのBootsy Collinsからの影響について語った。

 

インタビュアー:Eazy-Eの「We Want Eazy」や「Eazy Duz It」でもP-Funk/ブーツィー・コリンズの細かいオマージュとかがありますよね。案外それについては話されないけど、皆がブーツィーを彷彿とさせる音楽をやろうと思ったのは何故ですか?

Ren:そうなんだよ。俺らは皆ブーツィー・コリンズが大好きだったし、ブーツィーはドープなんだ。皆P-Funkが大好きだったし、とにかく好きだから自分たちの曲にも入れちゃってたんだ。Niggaz4Lifeを聞いても、Parliamentからヒントを得たフレーズとかが散らばってるのがわかる。

 

元々ジェームス・ブラウンがヒップホップのサンプルとしての金字塔であったが、Pよりのファンクをヒップホップに持ちこみ、メジャーにしたのはDr. Dreの功績と言っても過言ではないだろう。ストレイト・アウタ・コンプトンでもJBのFunky Drummerをオマージュ/サンプリングしたビートであったり、OHIO PLAYERSの「Funky Worm」をサンプルしたりで、西海岸ヒップホップがファンクから受けた影響は計り知れない。

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さらにMC RenはEazy-Eの「才能」についてもこのように語った。

Ren:Ruthless Recordsはとても多様性のあったレーベルだった。N.W.A.からMichel’le、J.J. Fad、Black Eyed Peasの前身となるAtban Klann、ボーン・サグスン・ハーモニー、Above the Lawなど様々なスタイルのアーティストが所属していた。Eazy-Eはリリシストでもなかったし、リリックも書けなかったけど、「人の才能」を見抜く才能があったんだ。アーティストを選ぶ能力だ。

彼はリリックを自分で書かなくても人々は受け入れたんだ。ラッパーとしては考えられないことだけど、Eazyとドレーは自分でリリックを書かないことを公表をしても批判されなかったんだ。

 

Eazyとドレーはリリシストではないことで知られているが、確かにこれが他のアーティストであったらかなり批判の対象になっているだろう。ドレーの大ヒット曲「Still Dre」もリリックはJay Zが書いている。このようにしてみるといかにEazyとドレーがヒップホップのなかで特別な存在かがわかる。

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