OutKastのAndre 3000「Hey Ya!をリリースするのを恐れていた」アーティストとして克服する恐怖

 

 

 

 

スタイルを変え、進化する

アーティストはリスペクトに値する。周りからの評価がつきもののこの世の中では、自分の「表現」に沿って「アート」を出し続けることはとても難しい。批判を恐れずに自分が出したいと思ったものを出す、そんなアーティストはとても重要なのである。常に進化をし、スタイルを変えてきたヒップホップアーティストと言ったらOutKastのAndre 3000であろう。彼はまさにイノベーターである。

伝説のヒップホップデュオ「OutKast」を読み解く〜第1章Andre 3000生い立ち編

そんなOutKastのキャリアのなかでも、最も大きな変化と言ったら「Hey Ya!」が収録されているアルバム「Speakerboxxx/The Love Below」であろう。実質Andre 3000とBig Boiのソロアルバムとなった形であるが、実はあのAndre 3000もHey Ya!をリリースする際に「恐れていた」のである。2014年のHipHopDXにてこのように語っている。

 

Andre:私は完全に恐れていた。ラップの世界は全員険しい顔をして、タフになりたがっているんだ。そのなかで歌おうとしてるんだ。最初にHey Ya!を演奏したときは、あまり良くなかった。とても神経にくるし、怖かった。最初にL.A.Reid(レーベルの代表)に曲を聞かせたときもそうだった。「これがシングルになるよ」と言ったら「正直この曲を理解できない。でもどうなるかとてもワクワクするよ。」と答えてくれた。彼は何が起こるかを見守ってくれていたし、そうしてくれてよかったと思う。

神経にくる。でもある程度そういう強い神経を持っていないといけないと思うんだ。もし何事も心地よすぎると、何も前に押し出していないんだ。自分を引き伸ばさないといけないんだ。

 

この曲をリリースするにおいて、彼は相当恐れたと語る。初披露もあまり良くなく、彼のレーベルの代表からの評価もあまり良くなかった。しかしレーベルの代表はAndre 3000のクリエイティビティを信じたのである。あのAndreでさえ、このように恐れることもあるのだ。しかし結果的にこの曲は空前の大ヒットとなり、しまいにはヒップホップアーティストとして唯一のグラミー/アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞することになる。

ここで思い出すのはDr. Dreとエミネムの話である。Dr. Dreが最初にエミネムに出会い、彼と契約すると言ったときに関係者全員に「それは絶対止めておけ」と言われたのだ。しかし彼は「頭」ではなく自分の「心」に従ったのだ。Run the Jewelsのアドバイスなどもそうであるが、「心」に従うアーティストはやはり強い。

Run The Jewelsがアーティストへのアドバイス「他人の目なんてFuckだ。」

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