『彼らの音楽を言葉で表すことほど、難しいことはこの世に存在しないと感じる』Shabazz Palaces新作ライナーノーツの前半を公開!
Playatunerライナー・ノーツ(通称:Playa Liner)をスニークピーク!7月28日発売Shabazz Palaces「Quazarz: Born on a Gangster Star」&「Quazarz vs. The Jealous Machines」から
Shabazz Palaces(シャバズ・パレセズ)
彼らの音楽を言葉で表すことほど、難しいことはこの世に存在しないと感じる。シアトルのIshmael Butler(Palaceer Lazaro)とTendai “Baba” Maraireによって2009年に結成されたこのデュオの音楽は、むしろ言葉で表してはいけないようにも思える。スピリチュアル・ジャズ、アフロ・フューチャリスティック、エレクトロ、ダブ、サイエンス・フィクション、オルタナティヴ・ヒップホップなどのキーワードを全部当てはめたとしても、しっくりこない。あえて言葉にするとしたら、「これが100年後のアンダーグラウンドで流行ってる音楽だよ」と言われたときに、「まじで!?」と納得してしまうような音楽ということだ。(下記はThundercatがベースで参加している)
IshmaelのことはDigable Planets(ディガブル・プラネッツ)のButterflyとして知っている方も多いだろう。彼らが1993年にリリースした「Reachin’ (A New Refutation of Time and Space)」はゴールド認定もされており、グラミー賞のベスト・ラップ・パフォーマンス賞も獲得している。Ishmaelの持ち前のジャズ・サウンドが特徴となっており、収録曲の多くが、彼の父親が所有していたジャズ・レコードからサンプリングされたものとなっている。
一方で、もう片方のTendai “Baba” Maraireの存在は知らない方も多いだろう。彼はジンバブエ人であり、彼の父親はジンバブエの偉大なmbira(カリンバ)奏者であり、ジンバブエの音楽をアメリカに紹介した第一人者的な存在である。彼はジンバブエのカルチャーとヒップホップをクロスオーヴァーさせたプロジェクトChimurenga Renaissanceとしても活動をしている。
「宇宙」から?
しかし、Digable PlanetsやChimurenga Renaissanceのサウンドを期待してShabazz Palacesを聞くと混乱するだろう。むしろ混乱を期待して聞くのが正しいのかもしれない。彼らの音楽はまさに「宇宙」からきているのだ。そんな彼らはこの度「Quazarz: Born on a Gangster Star」と「Quazarz vs. The Jealous Machines」を同時リリースした。
このアルバム名を見たときに思い浮かぶのは「両方についてるQuazarzってなに?」という疑問である。さらにそのQuazarzがどのようにアルバムに関連してくるのか、という疑問も浮かぶ。P-Funkの元ヴォーカリスト/ギタリストGlenn Goinsが組んでいたバンドQuazarを思い出す方もいるかもしれないが、どちらも「Quasar(クエーサー)」という単語が由来だろう。Quasarとは「離れた距離にある、恒星のように輝いて見える天体」のことである。あまり専門的なことはわからないが、非常に明るいため、光学望遠鏡では内部構造が見えないものらしい。そんな単語から生まれた「Quazarz」というコンセプトは非常に面白いものである。
この2つのアルバムに登場する「Quazarz」とは、遠い宇宙から来たキャラクターである。Ishmaelの「感覚」が、地球外生命体に投影されたものとして描かれているものだろう。そして「Amurderca」という、アメリカと「Murder(殺人)」を混ぜたような名前の星に、Quazarzが音楽大使として調査をしにいくというコンセプトのアルバムのようだ。端的に言うと「Quazarzの冒険」である。彼がこの世界に対して感じた数々の「違和感」、そして普段から現代社会に感じている疑問をこのようなコンセプトで表現しているのだ。この「違和感」という単語がこのライナー・ノーツのキーワードになってくる。
ライナー・ノーツの続きは、7月28日発売のShabazz Palaces「Quazarz」国内盤をご覧ください!
このストーリーはQuazarzのものであるが、この空気と暗闇は私たちのものだ。だから偽りに光を当てる
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