J. ColeのDreamville所属のCozzから学ぶ「カムアップにかかる時間」J. Coleやケンドリックが参加する彼の「Effected」は要チェック作品

 

 

現代のヒップホップ・レーベル

でトップレベルのラッパーたちが集まっていると言ったらどこを思い浮かべるだろうか?多くの人はケンドリック、SZA、ScHoolboy Q、Ab-Soulなどが所属するTDEを思い浮かべそうであるが、忘れていけないのはJ. ColeのDreamvilleである。Dreamvilleに所属しているアーティストは、実際J. Cole以外は知名度が爆発的にあるというわけではないが、トップレベルのラップスキルを持っているラッパーたちが集まっている。なかでもJ.I.D.とEarthgangは個人的にも激推しである。PlayatunerのBest of 2017にはトップ10以内にどちらも入っている。

Playatuner代表が選ぶ2017年のベストプロジェクト10位〜1位!

 

そんなレーベルDreamvilleであるが、注目すべきラッパーがいる。それはLAのサウス・セントラル出身の「Cozz」である。彼は1993年生まれの24歳であり、16歳の頃にラップをはじめたと語っている。そんな彼は2013年に「プロ」を目指し始める。そして最初のビデオ「Dreams」をリリースして、いきなりJ. Coleと契約しているのだ。

 

普段Playatunerでは、アーティストとしての「成功」は長くかかり、「何回転んでも起き上がれるか」という忍耐が重要だという事例をいつも紹介している。Rapsodyと9th Wonderも「7~8年ぐらいは何も起きない」と語っており、むしろその蓄積があるからこそアーティストとして「ロンジェヴィティ」ができてくるのだ。適当に流行りに乗っかって一晩でバズる人もいるが、そのような人の「アーティスト」としてのキャリアはあまり長続きしない例が多い。Cozzもかなり早い段階でJ. Coleと契約するという一種の安心をゲットしているが、彼の場合は活動期間は短いが少し違う。

Cozzが初ビデオ「Dreams」で話題になったのは、元々巨大レーベル「インタースコープ・レコード」の力が少し加わっていた。音楽活動を通じて知り合った友達がインタースコープ・レコードでインターンをしており、彼がインタースコープのA&RにCozzのデモを聞かせたことがきっかけで、MVづくりやPRをそのA&Rに手伝ってもらったのだ。そこからJ. ColeのマネージャーがColeに聞かせたところ気に入り、契約に至った。ここまで聞くと「ただのラッキーなやつじゃん」と思うかもしれないが、そんなことはない。彼は学校にいかなくなったあと、仕事をしながらもラップに全てを捧げてきたのだ。通常であれば、「機会」がきたときにその機会をキャッチできる実力になるために何年も積み上げるというところ、彼はたまたま訪れた「最初の機会」でその実力を既に身につけていただけの話である。

論理的に考え、真面目に活動している限りは「機会」は訪れる。その機会を有効活用する実力が既にあるかどうか?ということである。Cozzみたいに早く認められなかったとしても、次の機会のときのために力を蓄え、アウトプットをし続ければいいのだ。あのJay Rockでさえ、メジャー契約の機会を掴み損なっている。逆にCozzはこれから「J. Coleのアーティスト」ではなく、「Cozzというアーティスト」になるために成長をする必要があり、今後も努力をし続ける必要があるとHot97にて本人も語っている。2014年にリリースした「Cozz & Effect」は素晴らしい作品であったが、あまり話題にはならなかった。

 

俺はラップを救えると思うが、まだ誰も俺のことを知らない

彼は細心のMV「Questions」でそのようにラップする。そう考えると、表に出るまでに長年かかるアーティストも、一旦プラットフォームを与えられ、ある程度の知名度をゲットするアーティストも、やることの本質は変わらないのだろう。機会が目の前にあるときに、それを無駄にしないために実力とカタログとなる作品をアウトプットし続けることである。Cozzは非常に素晴らしいラッパーでありスキルもあるが、「アーティスト」として今以上に成長するのが非常に楽しみである。今でも一週間ぶっ続けて音楽を作り続ける彼には大きな期待が寄せられる。

以前はMobb DeepFabolousBig Seanなど、様々な例を紹介したが、圧縮された短い時間で詰め込むか、長い期間かけて自然と理解していくか?「目標にたいするプロセス」を考え、一人ひとりにあったスタイルで活動することが重要なのだろう。

Cozzの新アルバム「Effected」はケンドリック、J. Cole、Curren$yが参加しており、要チェックである。

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