ラッパーであれば誰もが共感するWaleとRoyce Da 5’9″の会話。音節にこだわりを持つ
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がどのようにしてリリックを書いているのか?ラップをやっている人だけではなく、リスナーとしても気になるところであろう。「天才」と呼ばれるラッパーたちがいかにスピーディーにリリックを書いているか、という事例は多く紹介されているが、実際の「制作」には苦労と悩みがつきものである。
そんな「天才リリシスト」というフレーズを聞いたとき、誰を思い浮かべるだろうか?私はまずはThe RootsのBlack ThoughtやAndre 3000を思い浮かべるが、絶対に忘れてはいけない存在がRoyce Da 5’9″であろう。彼はエミネムの盟友としても知られているが、リリシストとしては確実にトップレベルに入る。先日「RoyceとDJ Premierが語る他人の作品を評価するときに気をつけたいこと」という旨の記事を書いたが、そんな彼とWaleがツイッターにてリリックを書くときの「苦労」を語っている。
I stayed in the studio today and wrote the same verse 12 times 12 diff ways … I really envy them niggas that truly don’t care sometimes
— Wale (@Wale) 2018年4月24日
Wale:今日はスタジオで同じヴァースを12回、別々の方法で書き直した。たまにそういうこだわりがなくて、気にしないラッパーたちがまじで羨ましくなる…
Waleはヴァースがしっくりこなく、何度も書き直したと語る。世の中には自分のヴァースが「完璧」じゃなくても満足するラッパーもいるが、Waleは違う。そしてこの発言に反応したのがRoyceであった。
Many times. Often times with extra syllables tryna figure out how to squeeze them in there just to end up taking them out because it’s getting too wordy smh @Wale
— ROYCE (@Royceda59) 2018年4月24日
Wale:一時間ぐらいずっとトリプル音節の韻について考え込んだりしたことある…?強迫性障害になったかのような気持ちになったり…これが人生とは信じがたいよ。
Royce:何度もあるよ。よくあるのは、余計な音節をどのようにして詰め込むかを悩みまくった結果、あまりにも長ったらしいから取り除くんだ。まったく…
天才リリシストと呼ばれているラッパーであれば、意図も簡単にラップを書けると思うかも知れないが、現実はそうでもない。一番響きがよく、伝わるであろうリリックを何時間も悩みながら書いているのである。特に「音節」というものは、フローを作る上で非常に重要である。エミネムのように言葉を「曲げ」、音節を変えるラッパーもいるが、ラップがビートの上で上手く乗っているかどうかは、音節への理解によって決まってくる。ラップを書くときに必要なスキルの一つは、「伝えたいこと」と「ビートに上手くフィットする音節の割り振り」のどちらも考慮し、バランスを保つスキルである。良いリリックが書けたとしても、後者がめちゃくちゃであったら、それは良いラップにはならないのだ。RoyceやWaleのようなリリシストでも、後者には非常に時間がかかるのだろう。
この音節を色々いじったりしてみたりする作業は非常に重要であり、そのセンスがいわゆる「フロー」というスタイルになるのだろう。特に日本語だと英語と音節の概念が少し違うと思うので、日本語でラップしている方たちも英語と日本語の音節をブレイクダウンして分析してみたら面白いかもしれない。そして彼らのようなこだわりを持つことより、その言葉に理念が宿るのだろう。
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