トランプ当選後、マックルモアが綴った娘への想いを読んだ私の想い

Writer: 渡邉航光(Kaz Skellington)


 

macklemore-letter-daughter

https://www.instagram.com/p/8D_I7aQK4f/

 

Playatunerは今週、大統領選挙について複数の記事を書いてきたので、もうそろそろ選挙ネタは終わりにしようと思っていた。しかしMacklemore(マックルモア)の、娘へ宛てたコメントを改めて読んでみたら、とても素晴らしかったので再度掲載しよう思う。そして日本人としてアメリカで育った自分の想いも書かざるを得なかった。

マックルモアが2ndアルバムをグラミー選考から外した理由。人種とヒップホップから考える彼の作品

当選が決まり数日たった今、彼のスタント的な発言に感化され、過激な人種差別行動を起こす人たちが既に出現している。見た目や宗教観などが自分と違うというだけで、「この国から出て行け」と酷い言葉を投げかけられた人たちが多数いる。

https://twitter.com/i/moments/796417517157830656

一度既にシェアした内容ではあるが、是非「彼の想い」と「未来へ向けてのメッセージ」を読み取って頂けると幸いだ。

 

I am disappointed, shocked and shaken at my core by what has transpired tonight. I gathered around the TV with my family and loved ones, ready to celebrate history being made. My daughter had this little blue dress on. I was ready to pop the Martinelli’s and hold her, watching Hilary Clinton become the first female president of the United States of America. But…It didn’t happen. I had a sick feeling in my gut, riddled with anxiety as the polls started coming in. After hours of a growing pit in my stomach, it was over. I left the TV, grabbed my daughter and took her to bed. But now, as I’m laying next to my her as she sleeps, I remember. Remember what I have control over and what I don’t. I don’t have control over Donald Trump becoming president. That has been decided. But what I do have control over is where I go from here. I will teach my daughter to love. All people, regardless of the color of their skin, gender, religious beliefs, sexual orientation or where their birth certificate says they’re from. I will teach her how important it is to be an advocate for humanity. Not just the portion of humanity that benefits her. I will teach her non violent communication. That in the face of hatred we must love each other even harder. Not give in. Not get discouraged or feel like our progress in the past is void. Keeping fighting for all of us, with an emphasis on those that and have been the most affected by systemic oppression. I will teach her that when she is silent during moments of injustice, she is siding with the oppressor. I will teach her that walls divide people, and by their nature cannot bring us closer. And that just because someone holds the most powerful position in the world, does not make that person right, just or fair. Donald Trump is not raising my daughter. I am. I get to encourage and nurture her to be who she wants to be. Teach her that her voice and actions can change the world. Teach her that she can do anything that a man can do. And one day, even become president of the United States of America. I have work to do. It starts now. And that work is the only thing bringing me peace at the moment

Ben Haggertyさん(@macklemore)が投稿した写真 –

 

(要約)とてもショックを受けている。開票時に家族でテレビの前に集まり、娘に初の女性大統領が誕生する瞬間を見せようとした。娘は青いドレスをきて、楽しみにしていたが、その瞬間が実現することはなかった。テレビから離れ、娘を寝かしつけた。寝ている娘を見て、自分がコントロールできることとコントロールできないことがあると思い出した。トランプの大統領就任を阻止することは出来ないが、自分の娘をどう育てるかは自分次第だ。娘に人種、宗教、性的嗜好、出生地など関係なしに人を愛することを教える。不公平に対して黙っているのは、迫害者に味方をすることだということも教える。トランプが彼女を育てるのではなく、彼女を育てるのは私だ。彼女の声と行動が世界を変えることもできるし、彼女がなりたいものになれるということも教える。自分には(彼女を育てるという)大きな「仕事」ができた。そしてその「仕事」が自分の心に平穏をもたらしている唯一のものだ。

 

実際の問題は彼が当選した瞬間に気が大きくなり、他人をすぐさま傷つけるような人たちが、この世にたくさん実在するということだ。自分たちが他人より優れているという感覚を得るために、「自分とは違う」という理由で他人を侮辱する人たちが、実際に行動を起こしてしまうことだ。マックルモアが娘に対して語る

娘に人種、宗教、性的嗜好、出生地など関係なしに人を愛することを教える。不公平に対して黙っているのは、迫害者に味方をすることだということも教える。

という部分が娘へというより、未来へのメッセージに見えてくる。Brexit後に起こった人種差別行動も同じだが、今後もこのようなことが続かないように、必要なことは「多様性を認める教育」だと信じている。論理的に相手を理解しようする姿勢と、教育がどれだけ大切かを改めて知った。さまざまな考えやカルチャーがある世界では、見方によっては「正解」や「間違い」が簡単に変わるので、それを論理的に判断し、許容する教育の大切さも改めて知った。さらに理解できない事柄には「恐れ」という感情が生まれ、その「恐れ」がやがて「理由のない憎しみ」に変わるということも(スター・ウォーズのヨーダが言っていたように)。

自分には(彼女を育てるという)大きな「仕事」ができた

この部分を見て、我々が今やるべきことは未来のために、その「仕事」をすることだろうと感じた。ラッパーのように「言葉」の影響力が強いアーティストは特にそうなのかも知れない。

ライター:渡邉航光 (Kaz Skellington)カリフォルニア州OC育ちのラッパー兼Playatuner代表。2015年にフジロック出演したumber session tribeのMCとしても活動をしている。

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