【新作チェックしてなくて】業界屈指のインディーズレーベルが解散した後のメンバーの動向。Jarren BentonとDizzy Wright【ごめんなさい】

 

 

Sleep

という言葉はご存知「寝る」という意味ではあるが、スラングでは「その人/作品をチェックしていない」という意味でもある。例えば「I can’t believe I’ve been sleeping on this rapper!」という文章だと「このラッパーを今までチェックしなかったの信じられない!」というニュアンスになる。実際には人間の音楽を聞く時間は限られているので、「Sleep」しているラッパー/作品だらけだと思うが、「Sleepしててごめんなさい!」と言いたくなる作品を紹介するシリーズをはじめたい。

私は個人的に「Sleep」していた作品を聞いたときに得る「うわ!これめっちゃいいのに!」という感情が好きだ。それを感じるために、あえて寝かせる場合もある。今回は2010年代屈指のインデペンデント・レーベル「Funk Volume」が解散した後のメンバーについて書きたい。

インディペンデントに活動する心意気とは?巨大なファンベースを築いたHopsinから学ぶ「段階を踏む」ことの重要性

 

「Funk Volume」と言えば創業者であり、LA出身のラッパーHopsinについては頻繁に取り上げてきた。彼のシングルのいくつかは当時かなりハマったのと、彼自身がアントレプレナーとしてビジネスの参考になるので、彼自身の活動については常に注目をしてきた。所属していたラッパーのJarren BentonとDizzy Wrightの2人はラップゲームにてはまだ新人だったものの、スキルとしては業界屈指のスタイルを持っていた。

しかしHopsinと共同創業者のDame Ritterが金銭的な理由で喧嘩別れし、レーベルが解散になった後、私はHopsin以外の所属ラッパーたちの動向をあまり追っていなかったのだ。そんななか、ふと気になって調べてみたら、Jarren BentonとDizzy Wrightがどちらも2017年にアルバムをリリースしていたのである。特にDizzy Wrightが2016年にリリースした作品は「Best of Playatuner 2016」にランクインしているのでチェックしていなかったことを反省した。作品によっては全くグッとこないものもあるので、恐る恐る聞いてみたら…

あれ?これめっちゃ良いじゃん

となった。そんな私が「Sleep」していた2017年の作品を少し紹介したい。まずはJarren Bentonの最新作「The Mink Coat Killa LP」である。彼はFunk Volumeと契約して、表舞台に出たのが2012年頃であった。既に31歳であった彼は、Funk Volumeのなかでは最年長であり、そのためレーベルが解散した際には「もう36歳だし、そろそろ自分でビジネスができるようにならないとヤバイ」という理由で独立をしている。Funk Volumeでは恐らくサンプルのクリアランス問題もあり、割りと近年のヒップホップっぽいサウンドをやっていたことが多かったが、今回のアルバムはオールドスクールの雰囲気もまとっている。トラックリストを見たら、C.R.E.A.M.(The Charmels)をサンプルしたCR.E.A.M. 2017という曲が気になると思うが、全曲飛ばさずに聞けるクオリティの作品となっている。

特に上記の「Fuck Everybody」は、Funk Volumeが代表者同士のいざこざで解散してしまった後の、Jarrenのなかに溜まった様々な想いが吐き出されている。Funk Volumeだけではなく、コミュニティにとって悪影響を与えている人たちや、ドラッグをイケてるものだと発信している人たち、そして今までドラッグをレファレンスしてきた自分、子供のための貯金ではなく高価なものにお金を使っていた自分などにたいして「Fuck」と語っている。これは自分を棚に上げて批判をするのではなく、人生の壁を乗り越えようとしている期間に、自分の過去と向き合って絞り出した詩なのだろう。Funk Volumeに関しても、「Fuck Funk Volume、俺らは最もイケてるクルーになれるはずだったのに解散してしまった。メンバーの皆はいい感じにやってることを願う」という内容をラップしており、「Fuck Everybody」というタイトルとは裏腹に、大人になって、今まで気が付かなかった世の中の理不尽に気がつくようになったというニュアンスを感じる。

 

Dizzy Wright

そしてもう一枚紹介したいのが、Funk Volumeで最年少ラッパーとして活躍していたDizzy Wrightが今年リリースしたアルバム「The Golden Age 2」である。2013年にリリースされた「The Golden Age」は当時めちゃくちゃ聞きまくったのを覚えている。彼の地元ラスベガスに旅行で遊びにいったときも、ずっと彼の曲を流しながら運転していた。そんな彼が「The Golden Age 2」をリリースしたとのことで、聞いてみたら、かなり良かった。4年前の記憶が蘇るようなサウンドもあるなか、新しいコンセプトの曲も多く楽しめた。

上記のMVは2017年の11月1日に公開されたばかりだが、内容も素晴らしいものとなっている。ホームレスシェルターで子供時代を過ごした彼は「知識を得て、目標を達成する」という内容で「N.I.G.G.A(Never Ignorant Getting Goals Accomplished)」と語っており、これは2Pacのレファレンスでもある。フッドにて何もない生活であったが、そこから目標を達成するために音楽にフォーカスした彼のお話である。そしてこちらの「Word on the Streetz」という曲もなかなかグッとくるものとなっている。

 

毎週月曜日に楽曲を公開するというシリーズで公開された曲であるが、彼の毎日の「グラインド」が伝わってくる曲となっている。

 

「Sleep」していた反省

今回彼らの新作2つに関してSleepをしており、少し反省している。Funk Volumeが解散してからHopsinには話題が集まるが、彼らはあまり話題になっていない。彼らは既に一定のファンベースは築けているが、まだまだファン一人ひとりのサポートが非常に重要な時期であることには変わらない。メジャーアーティストは実際に音楽以外でも収入があったり、大きい契約金をもらっている人も多いが、インデペンデントなアーティストは「リスナー」のサポートが「直接」彼らの活動に関わってくるのだ。そう考えると、既に彼らの過去作のファンだった一人ひとりが、音源を聞くことが重要になってくる。それは購入するという意味でも、ストリーミングしまくるという意味でもそうだろう。そのような意味で、反省もこめて、「Sleepしててごめんなさい!シリーズ」を今後やっていこうと思う。

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