若手がレジェンドを知らなかった場合はどうするべき?ジェネレーションギャップに対するNOREの回答はこちら

 

 

若手 VS オールドスクール

ヒップホップでは頻繁にこのような構図のニュースが流れてくるように思える。ヒップホップという文化に重きを置き、それを保守するために若手をディスるレジェンドもいるなか、自分は新しいことをやっているという自覚があるために昔の音楽をリスペクトする必要性を感じていない若手たちも存在している。Lil Yachtyの件以降、最近はレジェンドをディスリスペクトする若手はかなり減ったと思うが、若手を「トラッシュ」と呼ぶベテランは多い。

そんななか、ケンドリック・ラマーのように自分が立つ文化がどこから来たのかをリスペクトしているアーティストは「先人たちをリスペクトしよう、それと同時にオリジナリティを意識して進化をさせよう」と両方の視点から語っている。

Kendrick Lamarが「コンシャス」であることについて語る。50 Centから学んだこととは?

 

本来であればそのような「勢力構図」にならないのが理想的なのだが、実際に近年の若手が「歴史」を知らなかったという事例は多い。Lil Yachtyがインタビューで「ビギーと2Pacの曲を知らない」と答えて叩かれまくったのも、Lil Uzi VertがラジオインタビューでDJ Premierのビートでラップすることを拒否したのも記憶に新しい。そんなときにヒップホップ業界は毎回彼ら若手にたいして怒りを露わにしてきたが、本当に彼らに怒るのが文化のためになるのだろうか?そのような疑問があるなか、N.O.R.E.がインタビューで彼なりの意見を語った。

 

NORE:学校では「社会」とか「歴史」の授業があって、先生が生徒たちに歴史を教える。だから勉強をするのが必須なんだ。そして教えるのは俺たちの役目だ。

こないだDJ Dramaと話していて彼は「Lil Uzi Vertはまだ20歳とかだったし、DJ Premierを知らなかったのは彼のせいではない」と言ったんだ。俺はこのように返した。

「確かに彼のせいではない。でもあなたのせいだ。Lil Uzi Vertはあなたが抱えている若手アーティストだし、歴史を教えてこなかった結果とも言える。」

NORE:実際に歴史を知って「より良いアーティスト」になれるかはわからないけど、「より良い人」にはなれる。アートに感謝できる人になる。何故かというと、自分もいつかは年をとるからだ。そしていつか自分の曲を知らない若手たちが出てくる。そして自分がしたように、同じようにディスリスペクトされたりするだろう。その時に「こいつは勉強するべきだ」って思ったりするかもしれない。いつまでも21歳でいることはあり得ないんだ。

 

Lil Uzi VertがDJ Premierを知らなかったのは、彼のメンターでもあるDJ Dramaに責任があると語ったNORE。学校に「社会」の授業があるように、ヒップホップでも経験値がある人が若手を教えるべきと考えているのだ。実際にヒップホップやフッドでは、既に有名になった人が才能のある若手をコーサインする流れが多いので、「音楽」だけではなく「知識」のメンタリングも必要ということなのだろう。さらに彼はこのように語る。

 

NORE:実際にヒップホップの歴史を人に教えるのは楽しいんだぜ。もしFutureのファンだったら、Nate Doggとかを聞かせてもいいかもしれない。そこから徐々に最初のシンガー・ラッパーのTJ Swann(Juice Crew)とかまで行ってもいいかもしれない。そしてFutureに行く前に、T-Painとかも絶対に忘れてはいけないよな。全員がお互いのために「道」を作ってきたんだ。もし「一つ」しか知らなかったら自分の心は狭い範囲で限定されてしまう。

オールドスクールな人たちが現代に共感できなかったとき、色々な反応をすることができるけど、そのなかでも一番簡単なのは「ヘイト」することだ。「俺の時代では…」と言うのは簡単なんだ。俺だってたまに言うさ。過去に生きるのは素晴らしいことだし、過去が俺たちを作った。でも「今」を見れなくなるのが、「年寄り」という言葉の意味だ。それは決して馴染むために必至になれと言っているわけではない。

ヒップホップは歴史を教えるものであるべきだ。若手がDJ PremierやGang Starrを知らないなんてあってはいけないことだ。若い世代に手を差し伸べれば、彼らも手を出してくれる。そしたら俺みたいな考えの人も増えるはずだ。

 

彼が言っている手を差し伸べるという部分は、恐らく「歴史を教える」という意味だけではないようにも思える。才能のある若い世代にさらに機会を与えるという意味も含まれているように感じる。そして経験値がある人が、若い世代を「教える」。そのように文化は守られつつも、次の世代へと進化していくのだろう。そのような「還元のサイクル」によって文化というものは真の意味で守られるのだ。

彼が言っていることと近い内容を以前Playatunerを開始したばかりのときに書いたことがある。これはLil Yachtyが炎上したときに書いたものだったのだが、彼も今ではSlick Rickを聞いたり、オールドスクールを勉強しているのだ。このように文化を勉強し、「アプリシエイト」できるプラットフォームがあるのがインターネット時代の最大のメリットでもある。そこで突き放すか、文化の当事者意識を芽生えさせるかは発信側次第なのだろう。特にクオリティの低い情報が大量に入ってくるインターネット時代では、なおさら「メンタリング」という精神が重要になってくるのかもしれない。

「最近の若者は先人たちをリスペクトしない」という批判について。Lil’ Yachty、ラップブーム、私のミッション

playatuner side banner

いいね!して、ちょっと「濃い」
ヒップホップ記事をチェック!