Fort Minorの「Remember The Name」がリリースから11年たった今でもストリーミングされまくっている理由を紐解く

 

Linkin Parkのマイク・シノダ

今の20〜30代であれば、リンキン・パークの音楽を嗜んだことはあるだろう。彼らはラップとロックを混ぜ、一般世間にもニューメタル/ラップコアというジャンルを広めたと言っても過言ではない。リンキン・パークのファンであれば、もちろんラッパーのマイク・シノダのサイドプロジェクト「Fort Minor」を聞いたころがあるだろう。

元々ヒップホップヘッズだった人には該当しないかもしれないが、Linkin Parkの「Reanimation」やFor Minorのデビューアルバム「The Rising Tied」はヒップホップへの導線をかなり上手く引けていたと感じる。Pharoahe MonchBlack Thought、Planet Asiaなどのラッパーをフィーチャーした作品は、多くのキッズにヒップホップを紹介した。

そんなマイク・シノダのFort Minorだが、リリースから11年たった今でもSpotifyやPandoraのようなストリーミングサービスにて「Remember The Name」がストリーミングされまくっているのだ。もちろん当時もアルバムで50万枚、シングルで100万枚の大ヒットではあったが、何故この曲が現代のリスナーにも頻繁に聞かれているのかを紐解いてみた。

 

① リリック


この曲のテーマをまとめると「コミット力」「決心」「決意」だろう。アーティストとして自分の名前を広めるためのコミット力、自分の目的を達成するという決意について語っている。この内容は今でも愛される要因の一つとなっている。

This is ten percent luck, twenty percent skill
Fifteen percent concentrated power of will
Five percent pleasure, fifty percent pain
And a hundred percent reason to remember the name

これは10%の運、20%のスキル
15%の意志の力、5%の喜びと15%の痛み
そして俺の名前を覚える理由は100%もある。

というサビから始まり、ヴァースで自分の決心について語る。

He doesn’t need his name up in lights
He just wants to be heard whether it’s the beat or the mic
He feels so unlike everybody else, alone
In spite of the fact that some people still think that they know him

名前にスポットライトが当たる必要はない。
彼はただマイクを通してでもビートでも人に聞いてもらいたいだけだ
その気持を他人と共有できずに孤独を感じている
周りは彼のことをよく知っているつもりかも知れないが。

Forget Mike
Nobody really knows how or why he works so hard
It seems like he’s never got time
Because he writes every note and he writes every line

マイクのことなんて忘れろよ。
なんであいつがあんなに頑張るのか、誰もわからない
常にノートに書いているからいつも時間がないようだ

この曲から感じるコミット力に共感する人がこの曲を頻繁に聞いていると思われる。この世の中で自分の目標を達成するためには孤独であり、痛みを伴う道を強い気持ちで歩かないといけない。意志がある人たちはもちろんこの曲に共感できるだろう。

しかし世の中そんなに志をもっている人ばかりではないと感じる上記の理由以外にもこの曲が今でも愛される理由があるだろう。

 

② プレイリストの効果と一般化


さらに考えてみると、現代にて曲がバズるためにはSpotifyやPandoraのプレイリストにフィーチャーされることが必須だ。この曲がプレイリストにてフィーチャーされるときは必ずと言っていいほどプレイリストに共通点がある。それは「トレーニング」だ。

この曲はヒップホップのワークアウト系のプレイリストでは定番となっており、YouTubeのコメントを遡って調べてみても「スポーツの試合の前や、練習前に聞く」と言った人が多かった。元々この曲はスポーツについてラップした曲なわけではないが、「決意」「コミット力」というテーマで共感する人が多いのだ。

特に海外では日常的にジムでトレーニングすることは一般的であり、そのようなヒップホップ人口以外の「トレーニング人口」の心を掴んでいるのだ。マイク・シノダのように大きい志ではないかも知れないが、「毎日少しづつコミットする」という目標を達成するための糧となっているようだ。

マイク・シノダの「決意」がホビーの壁を飛び越え、人々に共感された結果なのだ。

このような「想い」の共感から様々なスポーツイベントや試合などにも使用され、すっかり目標のために「グライド」をしてきた人たちのアンセムとなった。このように◯◯が◯◯するための音楽というものは時代を超えて愛されるのだ。

エミネム「Lose Yourself」をプロデュース/作曲したJeff Bassが15年経った今語る。

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