Dr. Dre「人生の痛みが俺を前に進めてくれる」家族の死と生きて創り続けるモチベーション
人生の痛み
を音楽で表現するアーティストは多い。その自分のなかにある痛みや弱さを音楽で表現したとき、そのネガティブなフィーリングをポジティブな行動に移すことができているのだ。そしてリスナーがその心の露出と共鳴したとき、リスナーは「ファン」となり、救われるのだろう。Evidence、Phonte、そのような心の露出によってリスナーの心を救ってきたアーティストは今までPlayatunerで何度も取り上げてきた。
そんななか、実際には音楽の内容に全面的に出ていなかったとしても、人生の「痛み」を前に進む糧に変換しているアーティストは多い。そのなかの一人がDr. Dreだ。彼は世間的に言う「ギャングスタ・ラップ」の顔として、長年「グレイテスト・プロデューサー」として活躍してきた。しかし彼は自分のキャリアにおけるモチベーションは「人生にて家族や友人を亡くしたことによって感じる痛み」からくるとThe Timesにて語っている。
Dr. Dreは800億円弱の資産をもっているスターであり、レコーディング、プロデュース、AftermathやBeatsを立ち上げた起業家としてヒップホップドリームを体現しているような人物であるが、彼は幾度となく別れを経験している。彼が1歳のとき、兄弟を肺炎で亡くしており、さらには1989年にも弟を亡くしている。元は親友であり、仲違いをしてしてまったEazy-Eも1995年に亡くなっている。それでも前に進み続けた彼はスターダムにのし上がってからも、2008年に息子を亡くしている。彼は自分のモチベーションについてこのように語る。
Dre:いつも何か痛みを感じている。それが兄弟の死からくるものなのか、他の家族の死なのかはわからない。でも存在しているんだ。
でもこの痛みを取り除くのが正解かどうかわからないんだ。この気持が自分の才能や熱意の源泉になっているのかもしれない。わからない。前に人に話したり、セラピーを受けることを提案されたこともあるけど、自分がそれをやるべきなのかを疑問にも思う。もしかしたら変えないで、この気持を持ち続けることが正解なのかもしれない。
彼は自分の周りの人の死からくる「痛み」を熱意の源泉として、活動できているのかもしれないと語った。死を感じてきたからこそ、自分がまだ生きて、OGとして音楽業界に多大なインパクトを残すことができていることにありがたみを感じることもできているのかもしれない。死を感じてきたからこそ、「創る」という生を表す欲求が絶えないということでもあるのだろう。GoldLinkをインタビューした時に「もし生きていることに罪悪感を感じているのではあれば、生き残れなかった人たちのためにも、その気持ちを有効活躍したほうがいい」と語っていたのを思い出す。
Dreは今でも「スポーツ感覚」で毎日のように音楽を作っているらしく、彼の音楽に対する愛とモチベーションは、常に私のような者の心のモチベーションとしても刻まれているように感じる。
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