Staff Blog:ジャズファンクの伝説ロイ・エアーズに会ったときのことを思い出す

 

 

今まで見に行ったライブ

には非常に良かったライブと、正直なんとも言えないライブがあった(当たり前であるが)。その「良かった」ライブというのは、見た後に考えるきっかけになったものが多い。ライブに夢中になるだけではなく、見た後にも「体験」が続くのだ。

【ライブレポ】Thundercatのグルーヴ、超絶テク、シュール&キュート全ての頂点に立った笑顔のライブ【LIQUIDROOM】

そんななかで、印象に残っているライブがジャズ・ファンクのレジェンド中のレジェンドのRoy Ayers(ロイ・エアーズ)である。恐らく一年半前ぐらいに見たときだったと思うのだが、マイアミ出身のラッパー友達に誘われ見に行ったのだ。このときに個人的にロイ・エアーズとお話する機会があったのだが、Playatunerを始める以前であり、「取材」という形ではなかったため、スタッフブログという形で、少しそのときに感じたことを紹介したい。

1960年代から活動しており、様々なラッパーにサンプリングされ、ヒップホップ界でも伝説的なステータスを保有するまさにレジェンドであるが、彼は非常にフランクなお爺ちゃんであった。ロイ・エアーズの存在を知らないヒップホップファンは、映画ストレイト・アウタ・コンプトンのDr. Dreの登場シーンで彼が部屋に寝っ転がりながら聞いていた曲が上記のロイ・エアーズのヒット曲と言えば知っているかもしれない。

そんな彼とワインを飲みながらお話しをさせて頂いたとき、私は自分がファンクバンドをやっていると自己紹介したのを覚えている。たまたま居合わせため、音源は持っていなかったが、彼は52歳も年下であり、初対面の私にとあるアドバイスをくれたのだ。先日の「Wyclef Jeanが語る音楽のサイクル」という記事を書いたときに思い出したので、彼に失礼にならないように敬意を持って、差し支えない範囲で紹介したい。

彼は私に「今あなたがやっている音楽は、現代のマスには理解されないかも知れないが、音楽はサイクルになっているんだ。だから今はマスから注目されなかったとしても、ずっと自分が納得するものを作り続けていれば、いずれかは世間が自分の感覚を理解してくれる時期は来る。」と言ってくれたのだ。その「いずれかは」がいつになるかはわからない。そのときは「はえーなるほど」としか思わなかったのだが、今考えてみると、自分が活動で迷ったときに、決断の主軸となっている考え方にもなっていると感じる。

今考えてみると、私が彼の言葉から受け取ったメッセージの本質は「いつか認められる」ということではない。それは「自分が心から良いと思ったことやろう。いつかは認められるかもしれない。でも認められなかったとしても後悔はしないんじゃない?」ということだったのではないだろうか?そしてPlayatunerで「ScHoolboy Qのアーティストへのメッセージ」であったり、「Run the Jewelsからのアドバイス」のような記事を書いているうちに、ロイ・エアーズが言っていた言葉をなんとなくより鮮明に感じることになった。

この音楽のサイクルという話をロイ・エアーズとしているとき、彼のバンドメンバーが会話に参加してきたのを覚えている。彼はその「音楽と文化のサイクル」の例として、「YouTubeでBuck Dancingと検索してみ!1800年代後半とか1900年代前半のダンスから、ブレイクダンスを感じることができるから!」と教えてくれたのだ。その後「Buck Dancing」を検索してみた結果、非常にこれは深い歴史のあるダンスであることに知ることができた。黒人文化とアメリカ史の深いところに根付いている歴史なので、まだまだリサーチが必要なトピックというのもあり、これに関しては考えをまとめてPart.2として後日再度書きたいと感じる。

ロイ・エアーズが私に語ってくれたことは、アーティストとして、そして「何かしらを作って生きていく人」として非常に重要なメンタリティだったのではないだろうか。これはアーティストとしてだけではなく、自分でメディアを立ち上げて記事を書く立場になった今でも非常に共感できる内容である。「このネタを書いたら”ウケるwww”って感じでたくさんRTされて、アクセス数増えるんだろうな〜」という”ウケる”ネタはもちろん世の中にたくさんある。しかし「自分がカルチャー/アーティストにとって重要だと思うことを書いて、読んでもらったほうが気持ち良いぜ!」と心の軌道修正をするきっかけになる言葉を与えてくれたのだ。「ビジネスマン」としてはあまり好ましいメンタリティではないと言われてしまうことも多々あるが、今のところ(経済的な面以外は)精神衛生上も良い気がするし、もし失敗したとしても後悔の度合いが少ないだろう。こんな感じで、とりあえず自分が「伝えたい」と思えるコンテンツを、今後は記事に限らず作っていこうと思うので、その時は何卒よろしくお願いします。m(. .)m Kaz Skellington

ScHoolboy Qのアドバイスから考える「アーティスト」であること

いいね!して、ちょっと「濃い」
ヒップホップ記事をチェック!