Wyclef Jeanがカルチャーの「サイクル」について語る。カントリー音楽は彼にとってのギャングスタラップ!?

 

 

ハイチ生まれ

であり、Fugeesの一員として世に出た偉大なアーティストWyclef Jean(ワイクリフ・ジョン)。彼はFugeesが活動停止した後でもヒットを飛ばし続け、彼の楽曲は今でもDJ Khaledによってアレンジされチャートの上位にいる。そんな彼は8枚目のアルバム「Carnival III: The Rise and Fall of a Fugee」を先日リリースした。

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ハイチ、ブルックリン、そしてニュージャージーと様々な文化を味わってきた彼であるが、カルチャーについて語っているインタビューが非常に面白かったので紹介をしたい。

 

 

➖ 音楽業界では昔のスタイルがカムバックしていると思いますか?

Wyclef:例えば今DJ Khaledの「Wild Thoughts」のような曲がヒットしていて、オリジナルは俺のバージョンなわけだけど、DJ Khaledは文化を前に進めた。ソニックでやることによって、オリジナリティの重要さ、そして「全く同じサウンドじゃなくてもいいんだ」と改めて見せてくれた。そういう意味でも昔のサウンドが少し戻ってきているし、前にも進んでいると感じる。

それと同時に、俺の娘の世代も前に進んでいる。音楽や文化について学ばないと、迷子になるんだ。俺は「カルチャーバニー」と呼んでるんだけど、ラキムからフューチャーまで「なんでこれがドープなのか」ってブレイクダウンできるようになるのが重要なんだ。そして「時代」というものを解体して研究する。俺は「カルチャーバニー」として、そうやって音楽について考えるのが凄くエキサイティングだよ。

 

DJ Khaledの「Wild Thoughts」のような曲が、昔のサウンドを使用しつつも、オリジナルな部分を入れていることを「前に進んでいる」ことの例として挙げた。そして昔の音楽と若い音楽の共通点、「この音楽のカッコ良さはどこにあるのか?」という分析の重要さを語った。そのように考える人が増えれば増えるほど、業界が潤うのではないだろうか?とも感じる。

 

Wyclef:俺は「The Score」を自分の地下室で作ったんだ。俺は生まれつきの預言者のようだった。次に来るサウンドがわかっていたんだ。俺は一回ハイチの大統領になろうとして、音楽から離れていたんだけど、常に「次の新しいサウンドはなんだろう?」と考えていた。俺はそこでアコースティックギターとEDMをやっているAviiciの音楽を聞いたんだ。あれは新しかった。俺のような「先生」と呼ばれている人が、「生徒」になって学べることは美しいことだ。俺にとって「興奮」というのは、「再発見と再構築と進化」なんだ。だから俺は「アコースティック・トラップ」というものを作ったんだ。

俺のラップを聞いて娘が「このフローMigosみたい」と言ったんだ。でも俺はこう伝えた。「1994年にお父さんがこう言うフローでやっていたときもあったんだ」ってね。(ラップを実演)だから「カルチャーバニー」として、常に研究していれば、自分の音楽はどの時代にだって通用するんだ。それは自分の曲が「流行り」をベースに作ったものではなく、「20年後に残る音楽ってなんだろう」って考えて作っていたものだからだ。

 

「流行り」をベースに作るのではなく、20年後も残る音楽を意識していたと語った。ここで感じたのは、「20年後に残る音楽」というのは実際には意識してできるものではなく、「今現在では自分にしか考えつかないもの」なのではないだろうか?それに影響された人たちが徐々にファミリーツリーを広げ、「ジャンル」となっていくのだろう。このエピソードを聞いて、私は個人的にファンクレジェンドのロイ・エアーズとお話しをしたことを思い出した。「音楽はサイクルだから、自分の信じることをやり続けろ」と言ってくれたのだが、最近になったようやく彼が言わんとしたことが理解できた気がする。これはまた後日詳しく書きたいエピソードである。

さらにはWyclefは「人々が共感する音楽を作る」という観点についてこのように語った。

 

Wyclef:皆笑うけど、俺はカントリー・ミュージックの大ファンなんだ。でも実際に若い頃とかにMarlboroughプロジェクツ(ブルックリン)にいくと、皆ポーカーしながらKenny Rogersの「The Gambler」を歌っていたりするんだ。あれはギャングスタ・ラップのオリジンだよ(笑)俺にとってはカントリーは「体験」を歌ってくれるからヒップホップと同じように共感できるんだ。自分の弱みをそうやって世に出すのは非常に難しいことだ。カントリーはそうやって自分の弱い部分をストーリーにしてくれる。

 

カントリーのように「体験」を歌い、共感を促す音楽は非常にヒップホップと近い位置にいると語った。これを聞いてNasがMemphis Jug Bandというブルースバンドについて語った記事を思い出した。Nasは、昔のメンフィスのブルースバンドが、ラップと同じように自分の体験を語っていると説明した。そのように「ヒップホップ」のストーリーテリングは非常に他のジャンルとも共通しており、その「パーソナルさ」が人々を共感させるのだろう。例えばIce Cubeが「N.W.A.では、俺らの周辺の奴らが共感するストーリーで音楽を作った」と語っており、そのような「自分の体験をラップする」ことが人々を共鳴させるのだ。人々がエミネムやケンドリックが共感するのもそのような理由であろう。

Nasが1920年代のブルース曲をカバーし、ラップとの共通点をDigる。1928年のブルース曲からも見えるラップのルーツとは?

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