Redmanは今も「あの家」に住んでいる。彼から学ぶソーシャル時代を乗り越える「個の価値観」

 

 

リアルなラッパー

という言葉を聞くと、私は毎度のことRedman(レッドマン)を思い浮かべる。PlayatunerではRedmanのリアルさを度々取り上げており、人気コンテンツとなっているが、そのなかでも彼のラッパーとしてのパーソナリティが現れているのが、彼のかの有名な「あの家」である。その記事はこちらで読むことができる。

RedmanがラッパーたちとMTVの嘘を暴露をする?「皆が豪邸に住んでいるわけではないぞ」

 

彼はMTV Cribsという「ラッパーたちの豪邸」を紹介する番組にて、フッドにある、非常に散らかった家を紹介したのだ。

MTVから番組の依頼がきたときに、「豪邸を借りてください」って言われたんだよ。俺は自分が住んでいるところをちゃんと「リアル」に伝えたかったから「そのままで大丈夫」って伝えたんだ

と語っており、それだけでも彼がいかにリアルかがわかる。そしてあれから16年経った今、彼は今だに「あの家」に住んでいると語ったのだ。

 

彼は高級住宅街に引っ越そうと試みたけど、毎日のように住民や警察にハラスメントされるのもあり、やはり自分の肌にはフッドの環境が合っていると語っている。「お手伝いさんはいるのか?」と聞かれ、「俺の家は3、4人しか入れないぐらい狭いから無理」と答えており、「自分が大きい家に住んでいても、どうすればいいかわかんない」とも語っている。

Redman:母や子供たちに大きい家を買い与えようと思ったけど、俺は小さい家が好きなんだ。豪邸があっても、そのなかでどう過ごせばいいのかがわからない。ミクシングボードの隣で寝て、起きて仕事をする。それ以外には飯を作ってトイレに行くだけだ。

彼のアルバムたちはプラチナ認定されており、今でも仕事を活発にしているので、決して経済的に困っているわけではない。他のラッパーたちがいつまでもこのような環境に住むことを「恥ずかしい」と思ってしまうなか、彼は自分の行動を恥ずかしがるどころか、「自分の感覚は他の人達と違う、価値観なんて違くて当たり前」ということを理解し、自分の選択に誇りと愛を持っている

これはソーシャル時代に非常に重要なメンタリティであると感じる。他人と比べることが今まで以上に簡単になった時代で、他人の「幸せそうな瞬間」ばかりが目に入ってくると、「自分の確固たる価値観」というものを持てなくなる人も多い。常に他人良く見られることを気にして、そのようなマテリアルな価値観に飲み込まれ、最終的にはストレスが溜まっていく人も多いのではないだろうか?そのなかでRedmanは、他人にどう思われようが、フッドにある小さくてボロい家が「心地よい」から住み続けているのである。以前Vince Staplesが「ラッパーたちに社会的ステータスを求めるのを止めろ」と語っていたが、まさに自分自身の肌にあった幸せを理解し、追い求めることが重要なのだろう。

そう考えると、Redmanは「インスタグラムでデカいケツを見た瞬間に♡をつける」と語っており、このような事例からも自分の行動を全く恥ずかしがっていないことがわかる。「セクシーなインスタグラムをストーキングしているのではない、堂々と好きだとアピールしているんだ」と語る彼は、表面と内面の違いがない「リアル」な人間なのだ。一般的には弱みになるようなことも、強みに変え、さらけ出す。そんな彼は「リアル」なラッパーの代名詞でもあるようにも思える。だからこそ彼のラップは最高にファンキーなのだろう。

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