Anderson .Paakの軌跡PT.2 〜Dr. Dreとの出会い〜

Writer: 渡邉航光(Kaz Skellington)

 

PT.1の続きです!

前回はAnderson .Paakが妻子持ちホームレス生活からの復活したエピソードやLAのアンダーグランドで名前を売っていったエピソードを紹介した。そのAnderson .Paakにとってきっかけとなる曲がある。それがStones Throw Records所属のプロデューサーKnxwledge 一緒にやっているNxWorriesのSuedeという曲である。

(このPVはDr. Dreとの出会いの後にリリースされているがそれ以前に曲は公開されていた)

 

この曲を聞いたプロデューサーのDJ Dahiとアフターマス(ドクター・ドレーのレーベル)のA&RをやっているTy Cannonが彼にある日電話した。

「DJ DahiとDr. Dreがやっているプロジェクトがあるんだけど興味ある?」

ドクター・ドレーといえばDetoxというアルバムを10年ぐらいリリースすると言いつつずっと出していなかった。そのため誰もがもうアルバムを出さないのであろうと信じていたのだ。Anderson .Paakもこの話しを聞いた時は「Dr. Dreと一緒というのは多分嘘だろうけどDJ Dahiと仕事ができるならやりたい」ぐらいに思っていたとインタビューで語っている。

しかし約束のスタジオに言ってみたらそこにいたのはなんとそのDr. DreとDr. Dreの長年の共演者のD.O.C.であった。DJ Dahiと既に集められていた他の若手から「君のSuedeという曲を何回も聞いているよ。是非一緒に働きたい」と言われたらしい。

しかし驚いたのはその時ドクター・ドレーは彼の曲を聞いた事がなかったのである…

 

Dr. Dre「曲を聞かせてくれ」

 

そう言ったドレーはその場で無言でSuedeを三回聞いたとのこと。Anderson .Paakはインタビューでその時の緊張感は半端ないものだったと語っている。ドレーは呼んだアーティストをすぐにNG出すことでも知られている

その場で三回聞いたDr. Dreはその場で彼の新アルバムComptonに入る予定であった「All in the Day’s Work」を流し、Andersonにボーカルブースに入りアドリブで歌うように要望した。(下記)その結果Dr. Dreに気に入られ、アルバムの内6曲もフィーチャリングされることになったのだ!

2015年Dr. Dreのアルバム「Compton」がリリースされ、Anderson .Paakの名前は瞬く間にヒップホップファンの間に広まった。そしてタイミングを合わせたかのように2016年にAnderson .Paakとしての2ndアルバム「Malibu」を発表した。

 

このアルバムはAnderson .Paakの中でも伝説となるであろう。正直グラミーにノミネートされてもおかしくないクオリティの作品となっている(追記2017年1月:グラミーノミネートされました)。そして2016年1月30日についにDr. DreのAftermath Entertainmentと契約し、所属アーティストとなった。ここまではこのAnderson .Paakがどのような経歴なのかを説明した。では何故彼がここまで期待されているのかを考察してみた。

 

1. ブラックミュージックや黒人文化を発信していく事に対する姿勢


 

「メディアなどがゲットーのような街にスポットライトを当てるのは何か悪いことが起こっている時だけだ」

 

彼は上記のインタビューでこう語り、ドレーのアルバムで彼が作詞したAnimalsという曲の詞の披露する。

 

「俺らが住んでいる場所に来て、「動物の集まりのようだ」なんて言わないでくれ。彼らがカメラをこちらに向ける時は俺らが何かミスをしていたり過ちを犯していたりする時だけだ」

 

ちょうどこの曲は2015年のボルチモアのデモ抗議が行われていた頃に書かれた曲である。その時代のサウンドトラックを作るアーティストとして今起こっている事に対しての自分の意見を伝えたかったと語っている。

また音楽面でも昔のヒップホップやファンクサウンドを正当に継承したようなサウンドでかつ、現代のフィーリングのあるボーカルを乗せているため、どの時代のブラックミュージックファンからもリスペクトされるポテンシャルを持っている。真面目な曲だけでなく、ダンスチューンやドラッグについての曲も自然に出来るというバランスの持ち主である。

 

2. 音楽的スキルの持ち主


 

Dr. Dreと初対面の時にアドリブで歌をのせ、驚かせたというエピソードからわかるように、「なんの編集も時間もいらない、素材としてそのまま最高のものを提供する」ことができるスキルを持っていると本人は語る。近年のアーティストではこれは珍しいという部分もあり、なんとなくKendrick Lamarと同じような才能の持ち主の匂いがする。

上記の動画はAnderson .Paakの初のテレビ演奏なのだが、ドラムを叩きながらこのクオリティで歌い、さらにはドラムソロを披露する。このようなボーカリストが今までいただろうか?(D’Angeloやプリンス以外に)

ただのボーカリストではなく「アーティスト」としての姿勢を追求しているのだ。

ドクター・ドレーがその才能に惚れるのもわかる。今後も彼の活動から目が離せない。

Anderson .Paakの軌跡PT.1 〜ホームレスからスターへ〜
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