Frank Oceanの作品たちを手がけたエンジニアから学ぶ。作品を作り上げるための「自信」

 

 

作品を作り上げる

のに必要な要素はなんだろうか?これは人によって非常に回答がわかれる質問であると感じる。スキル、機材、サンプル、人手、タイミングなど様々な答えがあるだろう。その数ある答えのなかでも個人的に重要だと思っているのは「メンタリティ」である。そのような作品をリリースするメンタリティを勇気づける目的でPlayatunerは今までにアーティストのプロセスについて発信してきた。

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そんな作品を作り上げる上での「メンタリティ」について考えているとき、非常に面白いインタビューを見つけたので紹介したい。これはFrank OceanのBlondeとChannel Orangeを手掛けたエンジニアのJeff EllisがDJBoothに語ったことなのだが、現代を生きるアーティストにとって非常に重要なメンタリティが語られている。「自信のなさ」「不安」について、「自信がなくて大学のオープンマイクにいくことができなかった」というエピソードと共に下記を語った。Via DJBooth

 

Jeff:自分をフルに表現する自信や確実性がなければ、自分から良いアートなんて出せないんだ。いつも「あぁ俺はいい仕事ができるのかな?俺は上手くやれてるのかな?」って思いながら過ごすわけにはいかないんだ。最高の作曲家たちを見てみると、自分を表現することに自信がない人はいないし、自然になるようになる形で落とし込んでいる。そして私たちはそんな曲と恋に落ちる。

曲をミックスするのも同じだ。もし俺が「こんなボーカルエフェクトかけたら失礼なんじゃないかな…」とか「こんな変なパンのかけ方して大丈夫かな?」とか思ったら、既に自分が正しいと思ったことにたいして「恐れている」ことになる。超有名なミュージシャンが自分の後ろに座ってたとしても、「俺は失敗しない」という自信をもたないといけないんだ。もし「失敗する」という恐れがあると、失敗するんだ。

 

自分をフルに表現する自信として「確実性」が必要だと語った。ここで一番響いたのが、ミックスの具体例である。「こんなボーカルエフェクトかけたら失礼なんじゃないかな…」というフレーズから伝わるのように、「他人から承認されること第一に気にして行動する」ことがいかにクリエイティブにとってよくないか、ということが伝わる。これはケンドリックが言っていた「ワック」の定義にも通じることだと感じる。さらに彼はミックスについてこのように語る。

 

Jeff:現代の音楽は結構実験的だから、ミックスにたいする「正しい」答えは存在しない。だからアーティストとは話し合う必要があるんだ。例えば俺がかなり攻めたミックスをして、アーティストが「ちょっとこれは…」ってなったとき、なんでそう感じたのかを聞き出したい。その理由が作品を作るという観点での「自信のなさ」から来ているのか、それが信頼できないアイディアなのか。誰も本当は時間なんてかけたくはないから、安全なミックスをするのは簡単なんだ。でも本当に「良い」ミックスはアグレッシブであり、実験的なものだと思う。

 

これは単純にミックスだけの話ではない。人生で何らかの選択をするときに自分に聞かないといけないことであると感じる。自分がその選択肢を選んだのは「本当に自分が良いと思ったから」なのか「その形をとっておけば世間的に安全だから」なのか?作品を作っているとき、どうしてもその自信のなさから後者を選んでしまいがちであるが、「作品を作る」ということは、本当に他人のために後者をまとめあげることなのだろうか?Jeffはそのような疑問を私たちに問いかけてくれているのだ。

これはPlayatunerでも度々カバーしてきたポイントかもしれない。Run the Jewelsが「他人の目はFuckだと言っていたように、Anderson .Paakが「自分の皮でいることと言っていたように、ScHoolboy Qが「自分に”真”でいろと言っていたように、これが作品を作るにおいて最も重要なことなのかもしれない。

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