Nasが音楽との出会いについて語る。「そのとき音楽はユニバーサルだと学んだ」
第一線で活動し続ける
のは簡単なことではない。むしろ今までラッパーとして第一線で活動し、どの世代にもリスペクトされ続けているアーティストは数えるほどしかいないだろう。そんなレジェンダリーなステータスを保有しているラッパーと言ったらNasである。彼はリリック、思考性、カリスマ性など全てにおいて真のトップMCである。
今回そんな彼をフィーチャーしたブランドがTimberlandである。彼らは2018年に100周年を迎えるのだが、それに合わせて「The Legend Continues」というシリーズを公開している。そのシリーズのなかのVol. 7でNasが音楽との出会いについて語っているのだ。子供時代のNasをアニメ化したものとなっており、短い動画であるが、面白いので紹介をしたい。アニメーションも綺麗なので、是非見て頂きたい。
Nas:ラップが存在する以前から、ジャズは存在していた。俺の父親はトランペット奏者だった。自分にとっては、そこから音楽の旅が始まった。俺はよく近所でトランペットを演奏をしていて、ネイバーフッドの至る所からそれを聞きに来る人たちがいた。そのときに、音楽がユニバーサルな言語であること学んだ。音楽は形が違えど、全部同じように共通しているものだって知った。
人々の内側に入り込む音符、メロディ、ビート、小節…人々を踊らせ、グルーヴさせ、揺らすことができるものだ。自分の体と心だけを使用して生まれたサウンドが、耳から入ってくる気持ち…そんな気持ちが自分を今の自分へと成長させてくれた。
彼の父親Olu Daraはコルネット奏者であり、Nasは彼の影響で自分もトランペットを演奏していたと語った。若い頃から近所のブロックで演奏をしており、その演奏を聞くために様々な人が訪れたらしい。そこで音楽で踊る人たちを見て、「音楽の人を躍らせる力」に気がつくのだ。その魅力に取り憑かれ、ここまでキャリアを積むことになったのだろう。彼はここで人前に立つメンタリティをつけたと言いたいところであるが、楽曲Halftimeでは「若い頃はマイクを握る勇気がなかった」と語っているので、そんなことはなかったのかもしれない。
彼はビート選びが下手と言われているが、彼の言葉の入れ方やずらし方を聞いていると、音楽のバックボーンがあることがわかる。彼もジャズと楽器演奏のバックグラウンドがあると語っているが、ジャズと楽器演奏のバックグラウンドがあるのは彼だけではない。同じくNYのマスターMCのラキムもジャズサックスの経験がある人だ。ラキムは「ジョン・コルトレーンのリズムからフローのヒントを得た」と語っており、彼以外にはファロア・モンチとBig Daddy Kaneのフローからもジャズを感じることができる。
そのように考えると、フローに悩んでいるラッパーたちは一度音楽としてのヒップホップだけではなく、ジャズ、ファンク、ソウル、ロックなどの音楽から「グッときたリズム」を探してみるのもいいかもしれない。様々な音楽からインスパイアされることが、ヒップホップサウンドに直接繋がってくるのだ。Nasは以前も1920年代のブルース曲を研究しており、ヒップホップとの共通点について語っている。このような知識を得た上でアウトプットしているからこそ、NasはGOAT(グレイテスト・オブ・オールタイム)なのだろう。
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