Nasがレガシーを保つ方法を語る。「文句を言うことが職業になっている人たちもいる」
ロンジェヴィティ
という言葉に関してはPlayatunerにて頻繁に紹介している。世間で時の人になった後、数年でシーンから消えてしまうアーティストもいれば、何年経っても多くのファンに支持されているアーティストもいる。アーティストとしては、そのように何年経ってもキャリアが安定している状態が好ましい。そのようにキャリアを安定的に長続きさせるのが「ロンジェヴィティ」である。以前はE-40の「ロンジェヴィティ」に対するアドバイスを紹介した。
そんなロンジェヴィティだけではなく、「レガシー」をずっと保っているアーティストといえばNasであろう。1994年にIllmaticをリリースして依頼、彼は常にアンタッチャブルな存在としてラップ・ゲームに君臨してきた。そんな彼がビルボードのインタビューにて「レガシー/伝説を汚さない方法」について語っているので紹介をしたい。これは以前書いた「Nasが政治と自分の役目について語る」という記事に共通することであるが、彼はこのように語る。
➖あなたは以前「ラップは若者のスポーツだ」と言いました。そのなかで自分の活動を顧みて「俺は25年上グラインドしてきているけど、まだレガシーが保たれてる…」って驚くことはありますか?どのようにしてそのように伝説的ステータスを保つことができるのですか?
Nas:自分のキャリアには色々なステージやレベルがあることを理解して、各レベルを噛み締めながら活動することかな。そして何事も私的に捉えすぎないこと。多くの人があまりにも私情を働かせたり私的に捉えているのを見る。でも実際にはそうしていないかのような振る舞いをする。多くの人は上手くいかないことに、多くの言い訳や文句を言うんだ。その言い訳/文句を言うことが職業になっている人たちもいる。
実際に自分がいるキャリアのレベルを理解し、その各レベルにいる自分を認めること重要だと語った。さらに、言い訳/文句を言うことだけを「職業」としているアーティストが多く、そのようなアーティストはレガシーを残すことができないという旨を論じた。状況に文句を言うことは簡単だが、以前の彼の発言と照らし合わせると、そのアウトプットという「グラインド」がない状態で言い訳/文句を言っている場合ではない、ということなのだろう。さらに彼はこのように語る。
Nas:俺は失敗を受け入れることができないし、失敗は選択肢のうちの一つではない。誰かに「これをやれ/これをやるな」って指図させることはできないし、自分の生き方をしているだけだ。それをヒップホップというアートに落とし込んでいる。
そもそも誰もここにたどり着く方法を教えてくれなかったのに、何故やり方が間違えているとか、何かをやるべきではないとか、言われないといけないんだ。俺もまだ自分の旅の途中だ。また、レガシーが汚れないのは「アーティスト」としてどういう振る舞いをするかだけが重要なわけではない。その前に「人間」としてどのような人物か?が重要になってくる。音楽はそれを反映する。人間として、やるべきことをやっている限り、他のものはそれについてくるんだ。
言い訳/文句を言って自分のエゴを満たすことをしない理由は、「失敗できない」からだと語る。その文句を言うだけで終わってしまったら、そもそも失敗が選択肢に入ってしまうことになるのであろう。
これだけでは少し伝わづらいかもしれないので、私が個人的に感じたことから自分なりにブレイクダウンしてみようと思う。実際には人生において「最終的ではない失敗」というのは重要であると感じている。最終的に諦めない限りは、失敗は失敗ではなく「検証」であり、その検証を上手く活かすためには、他を責める「文句」ではなく、自分が前に進む「反省→実行」が重要であると考えている。そう考えると、Nasが言っている「文句」と「失敗という選択肢」の関係性が見えてくるだろう。彼のレガシーが保たれているのは、その「文句→失敗」ではなく「反省→実行」を彼が体現しているからなのではないだろうか?この思考プロセスであれば、彼のレガシーから私たちが具体的にどのように自分の人生に当てはめることができるのかも見えてくる。
Nasは確かに今まであまり評価が高くなかった作品もあるかもしれない。だからこそ彼はそこから学び、作り続けるのだろう。そして自分のプラットフォームを有効活用し、自分が信じているDave Eastのような才能をレーベルMass Appealから輩出する「行動」を取る。後は彼の新アルバムを首を長くして待つのみだ。
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