ライブ中に2Pacが亡くなったとアナウンスするNasから見る「リスペクト」

 

GOAT

ヒップホップ界の「Greatest of All Time」と言えばやはり2Pacの名前が出てくるだろう。彼の思想は今でもフォローしている人が多く、ブラックリーダーとして多くの人々を先導してきた。先日も2Pacがロックの殿堂入りを果たし、スヌープ・ドッグのインスピレーショナルなスピーチも話題となった。

2Pacロックの殿堂入りスヌープ・ドッグのスピーチを全文紹介【パート①】

 

2Pacは西海岸/東海岸ビーフの渦中にいた人物として、東海岸のラッパーとの関係は良くないと思われていた。しかしどのような関係性でも、やはり彼ほどのアーティストは多くの人に愛されていた。そんなことがわかるのはNasのライブである。2Pacは亡くなった直後、Nasはニューヨークのロングアイランドにてライブをしていたのだが、彼のライブでの出来事を紹介したい。Nasがライブを中断をし、Hot97のラジオパーソナリティであり、ラッパーでもあるEd Loverがステージに出てきたのだ。

 

Ed Lover:皆落ち着け、Hot97のエド・ラバーだ。皆静かにしてくれ。俺とNasはクイーンズブリッジをレプリゼントしているわけだが、Nasがライブを中断して伝えたいことがある。皆静かにしたまま立ってくれ。そして全員帽子を脱いでくれ。

ニューヨークの19:03、LAの16:03にラッパー2Pacが亡くなった。皆黙祷をしてくれ。Hot97を聞いていた人なら2PacとNas、Mobb Deepの間にビーフがあったということを知っているかもしれない。でもNasはライブを中断してまでも、ヒップホップの歴史の一部である2Pacを追悼する時間を取ってくれた。

2Pacが曲のなかで何を言ったかなんて関係ない。彼のような人物がこのように亡くなるなんてあってはならないことだ。いつこのような状況が終わるんだ?いつ皆で愛し合うときがくるんだ?メディアが盛り上げることを信じるな。2Pacは西海岸/東海岸のビーフで殺されたわけではないし、LA内部で起こった確執で亡くなったんだ。ヒップホップの歴史で最も素晴らしいラッパーのために皆黙祷を捧げてくれ。

Nas:皆ありがとう。とてもリアルなモーメントだった。

 

Nasは自分のライブを中断して、客に黙祷を捧げるようにお願いしたのだ。確かに海岸同士のビーフのようなものはあったが、彼は「2Pacをリスペクトをするのにそんなのは関係ない」と語った。確かにヒップホップ界では何か確執が生まれることはある。しかし確執があったとしても、「ラッパー」として、さらに人としてリスペクトをする必要があるのだ。以前私がSMIF-N-WESSUNのTekに話を聞いたとき、「昔は皆違うスタイルを持っていたからリスペクトし合っていた。確執があった人たちもいるが、それは違うスタイルへのリスペクトを持った上でだった」と語っていたのを思い出す(Tekのインタビューはこちら)。Nasのこのライブはヒップホップの歴史上でも、とても重要な出来事であったと感じる。

ビーフにてパーソナルな領域に入るのはどうなのだろうか?Foxy Brown、Remy Ma、Jay Z、Ice Cubeから考える

いいね!して、ちょっと「濃い」
ヒップホップ記事をチェック!