LOGIC「いくらお金を稼いでも幸せになれなかった」
新アルバム「Everybody」
が大ヒットをしているラッパーLOGIC(ロジック)。初週で25万枚相当の売上を見せた彼のアルバムであるが、「全員」の平等を主張した作品となっている。このアルバムの注目ポイントと言えばラストトラックに入るJ. Coleのオチであろう。
そんなEverybodyが大ヒットしているLOGICであるが、先日Beats1ラジオに出演した際のインタビューを紹介したい。このなかで彼は「幸せ」について語っている。
なんと彼はカムアップしようとしているラッパーであれば誰もが憧れるポジションにいながらも、近年が人生のなかで最も辛かったと語っている。彼はこのように発言した。
LOGIC:常に不安で押しつぶされそうだった。皆になかなか理解されないけど、俺は去年億単位のお金を稼いだけど、とても不幸に感じていたんだ。お金や成功では幸せは変えないということが証明された瞬間だった。
なんと彼は億単位のお金を稼いだが、不幸に感じていたらしい。彼は私生活では2015年に結婚もしているので、私生活は幸せであったと予想ができるが、音楽という「仕事」の面では満たされなかったと言う。さらに彼はその理由をこのように語った。
LOGIC: ずっとツアーに出ていて、握手会とかでも毎回100人ぐらいのファンと会っていて、それがかなり自分に影響を与えていた。俺はファンもライブも大好きだし、こういうインタビューも好きだけど、「やらされている」気分になっていたんだ。例えば「家を買いたいのであれば、これをやれ」とか「レーベルとマネージャーを喜ばせるためには、これをやれ」とか。他人のために自分に合わない方法をやっているようだった。でもまずは「自分が幸せ」じゃないと、他人を幸せにできないって気がついたんだ。
彼は「自分のためにも他人のためにも、まずは自分が幸せになる必要がある」と語った。「自分の表現のため」にやっていたものが、いつの間にか「他人を喜ばせるため」にすり替わっている場合、やはりアーティストとしては辛いものがあるだろう。アーティストたちがやりたい表現をやり自身が幸せであることが、一番リスナー/ファンを幸せにするのかも知れないと感じる。Run the JewelsやFlying Lotusの話からも、そう想像ができる。
ここで私が思い浮かべたのは以前書いた「ヒップホップと鬱症状」という記事についてだ。以前ヒップホップはある意味マッチョな音楽であったが、エミネムやDMXのようなアーティストが、自分の「弱さ/孤独」というアート表現をラップに含めたのもあり、ヒップホップに「共感」する人が増えたと感じる。ソーシャル時代には、ファンもアーティストを「1人の人間」として支える必要があるのだろう。
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